菊 | ミナミのブログ

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のんびり、、まったり

2003/10/28 (Tue)横濱俳句倶楽部ほのぼのとから

庭の菊の、固い蕾が綻びて
中から
臙脂の花の色が見えてきた。

菊は
春の梅を花の兄というのに
対し、
花の弟という。

このほかにも
千代見草、延齢客、長生草、
陰君子、いなて草、星見草、
契草、
弟(おとと)草、
少女(おとめ)草、
かわらよもぎ、かたみ草、
齢(よわい)草、
大(だい)般 若、残り草、
草の主、山路草、鞠花、
金(こがね)草、
秋しくの花
女花(じょか)、承和の花、
百夜(ももよ)草、
そして酔楊妃、
という別名がある。

菊が不老長寿の仙花になった
という
中国の伝説をもとにした
狂言に、
慈童仙人というものがある。

シテ(主役である童子)と、
ワキ(帝の勅使)の会話。

シテ
「山いりとして霜侵せる紅樹。
水えい回として露潤す黄菊。
あら面白の折からやな。

ワキ
「不思議やなこれなる
庵の内を見れば。
いと美しき童子あり。
そも御身は、いかなる人ぞ。

中国の魏の文帝の勅使は
山奥の霊水を探す命を受け
秘境に分け入ると、
そこに
菊の花が咲き乱れており、
そこに慈童という仙人がいて、
自分は何百年も前の、
周の穆王に仕えていたが、
王の枕をまたいた罪で
山に流され、
流罪されるにあたり
王は憐れみ、
枕に法華経の偈を書いてくれ、
その経文を菊の葉に書くと
葉の露が
不労不死の霊薬となり、
以来それを飲み続けたことで
年を取らなくなった、
という内容だ。

菊は
奈良時代に
遣唐使が持ち帰ったもの
なのだそうで、
万葉集には菊を愛でる歌は
出てこない。

その、奈良時代以降の、
日本独特の行事として、
重陽の節句
九月九日の前日、
菊に真綿を被せ、
露をため、
その、菊の香のする露で
体を拭く、
菊の被綿(きせわた)
という長寿のお呪いが
あるそうだ。

俳句の世界には
山口青邨の作品に、
菊咲けり陶淵明の菊咲けり 

というものがあるが、
これは、陶淵明の、

飮酒其五
結廬在人境而無車馬喧
問君何能爾心遠地自偏
采菊東籬下悠然見南山
山氣日夕佳飛鳥相與還
此中有眞意欲辨已忘言

という作品の、
采菊東籬から生まれた、
籬の菊、を表現している。
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菊の季節になると
スーパーの入り口に
並べられる
色とりどりの
ボサギクと呼ばれる鉢植えの
菊を全て買いたくなる
年老いたら
縁側の有る家に住み、
庭一杯に聞くの花を咲かせる

今の家はそれが叶ったような
引戸の先に庭の有る家

ところが近隣のスーパーでは
あのボサギクを売る店を
見かけない

ならばと
近くの植木屋で野菊を
数種買って
植えると
何故か付いて来たのだろう
女郎花がすごい勢いで育ち
肝心な野菊は消えてしまった

人生は全て満点
というわけには
いかないという
見本みたいだが
たぶん
土壌が合わないのだろうから
明日植木屋さんで土を買い
植木鉢で育ててみようと思う

植木鉢で野菊というのも、
趣の無い話だけど
仕方あるまい