青蜜柑 | ミナミのブログ

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のんびり、、まったり

2009年9月10日のamebaブログから

 

秋刀魚を買いに魚屋さんまで出かけたら、途中の八百屋さんの店先に
笊に盛られた青蜜柑が売られていました。


さんま さんま
そが上に 
青き蜜柑の酸(す)をしたたらせて (佐藤春夫=秋刀魚の歌)
なんて、心の中で口ずさみながら、
その蜜柑を一山と、秋刀魚を三尾買ってきました。

けど、結局、秋刀魚は三枚におろし、パプリカ入りのチーズをロールして
ローズマリー風味のオリーブオイル焼きってのにしたので、
青蜜柑の出番はなく。

佐藤春夫というと、今から40年ほど前に

文学散歩という、ちょっと長い散歩で彼が住んでいた

緑区鉄町の家を見に行ったことがあります。

 

当時は横浜線で中山まで行き

そこから延々とバスに乗って行ったんだったと思います。

今は青葉区になってたくさんの家が建ってますけど、
その頃はまだ発展途上の町で、広大な野原がありました。

その野原の真ん中あたりから青空めがけて一直線に飛ぶ、雲雀を見たときには
えらく感動したのを思い出します。

そしてまた、バス停の近くには、手作りの鳥籠を売る店があり、
その店の鳥籠に、雲雀のほかにも、いろんな野鳥が入れられてもいました。


鳥獣保護法というか、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律というものが出来たのは、
1963年ですから、当時は既に野鳥を捕獲することは禁じられていたんでしょうけど、

 

当時、そんな法律が通じたのは、コンクリートの街中のことでもあったようです。

鳥獣保護といえば

最近は、蛍でも、勝手に捕まえたりすると、逮捕されるんだそうですね。
まことに、自然は遠くなりにけり、、です。

 

 

青い蜜柑を食べながら、いろいろと書いているせいか

ちょっと酸っぱい話になりました。

法律で思い出しましたが、日本という国はなんと奥深い国なんだろうと

痛感したことがありました。

公の場で書く言葉には、いろいろと、書いてはいけない言葉というものがありますが、

10年ほど前に北海道から来られた方が持ってこられた健康診断書には
その内容をそのまま平仮名で書きますと、

あへ ちゅう く、し らん、  っこ、 たわ、、、

ではない、と

 

その診断書の日付を10回くらい確認しましたが

何度見ても、平成8年○月○月と、書かれて

医師の名前と、印が捺されていたのです。

私は、一度でいいからこの診断書を書かれた先生に会ってみたいと、そう思いました。

東北に住む、夫の親族によると、狩猟をする先生に、
このような表現をする人がいたという話を聞き、
その思いは益々強くなって

とりあえず、当時愛読していた、

本日休診というという本の作者である、那須の山医者と名乗る

見川鯛山先生の診療所を訪ねて、先生に聞いてみようと思ったんですけど、
行ったその日も診療所は『本日休診』でした。

 


話は戻りますが、佐藤春夫はこの歌を書いている頃

友人である谷崎潤一郎の妻に思いを寄せ

一度は谷崎から、譲ってやろうといわれたものを、撤回されたために
心を病んでいたんだそうです。

―あはれ 人に捨てられんとする人妻と
妻にそむかれたる男と食卓にむかへば
愛うすき父を持ちし女の児は
小さき箸をあやつりなやみつつ
父ならぬ男にさんまの腸(はら)をくれむと言ふにあらずや―

結局、10年の歳月の後、谷崎は妻を佐藤春夫に譲るという誓約文を、

佐藤と妻と谷崎の連名で新聞に載せ、

それは、細君譲渡事件として世に知れ渡ったのだそうです。

 

青蜜柑は、早生蜜柑 ともします。

家々の庭などにも、そろそろ青蜜柑の成る頃ですね。

同じ色の葉っぱの中に、その青い実を見つけると、なんとも嬉しいものです。

行く秋のなほ頼もしや青蜜柑 松尾芭蕉

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神奈川新聞社から発行されている季刊誌、横濱に

中山駅から黒鉄町辺りの河川には

1972年には絶滅したと言われている

獺がその後もいたとの記事を読んだことが有りますが

その当時は殆どが田園と森林と、中山の駅の前も舗装がされておらず

あの風景の中でなら確かにいたのだろうと思えました

 

中山駅は、帰りのバスを降りてから駅までの道の土に映る心許ない街灯

近隣の店から漏れてくる明りに

見知らぬ世界に入り込んだのではと、物凄く不安感を抱いた思い出があります

 

今は横浜のどこの駅前もアスファルトが敷かれ、タイルで舗装され

街灯も電柱に一つではなく煌々と照らされていて

旅愁などというものを感じるいとまもない程です

 

そんな風景を見ていると、あの高い家など一つも無くて、夜には人気も無くなり

駅舎の明かりだけは煌々としていた頃が妙に懐かしくなります

 

因みに藤沢市には獺郷(おそごう)という地名が有るそうで、もしかすると

日本獺は今でもどこかで生存しているのかもしれません

 

青蜜柑はスーパーでも笊に盛られているので

チラシに載っていたら明日買いに行こうかと思います