茜雲 | ミナミのブログ

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のんびり、、まったり

■ 2003/08/12 (Tue) 横濱俳句倶楽部ほのぼのとから  

 

 

今日は満月。

 

本来なら、美しい月の光と、そして、ペルセウス座流星群が見られるはずなのだ。

 

しかし、残念なことに、表からは、ひたひたと

忍び足のように雨が降っている音がする。

 

十八年前の今日、今頃、我が家では、夢中になってテレビを観ていた。

 

それは、夕方の、午後六時四十分頃流れた、テロップから始まったのだ。

 

飛行機がレーダーから消えた。

 

その飛行機に搭乗していたとみられる人の名前として出てきたのは

我が社を設立させるときに、大変お世話になり

その後も、右も左も解らない私に、経理の手解きをしてくださり

当社の基礎を作ってくださった方。

 

その二日前、彼は実家の近くで、おなかの大きい奥様と

お神輿を見学していたと、知人から聞いた。

 

その奥様との馴れ初めを、私は何十回聞かされたことだろう。

 

当社の事務所が、駅の傍のマンションにあった頃、

お隣に運転免許を宿泊して取る会社の代理店があった。

 

その合宿に申し込んだ彼は、その地で最愛の人に出会ったのだ。

 

彼は帰ってから、何故か、その代理店に、そのことを報告に行ったようで

翌日、その代理店の看板に、結婚相談可、という文字が書き加えらていた。

 

帰りのバスの中でそれを見つけた私が彼に言うと、ことのほか感激した彼は

わざわざバスに乗り、その看板を見るためだけに、ヒト停留場を三往復した。

 

本当はもっとしたかったようだが

付き合わされた私が、勘弁して下さい、といったので、諦めたそうだ。

 

その奥様は、その後、彼のお子さんと共に、彼の両親がいる家を出て

ご実家に帰られたそうで、一度だけお葉書を頂いたことがあったきりだ。

 

きっと、彼がしっかり見守っていることだと思う。

 

今日、十二日の十五夜が、雨で見られないのは

そんな風にして、ご家族を亡くされた方の涙雨なのかもしれない。

 

当時、悲しみを分かち合われた方同士がメッセージを寄せ合った冊子の題名、茜雲

から、今日を茜雲忌というそうだ。

 

そのような季語は、あろうはずもない。

 

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あれから既に30数年の歳月が経ち、いろんなものが風化されていくが

不思議にあの瞬間のことは昨日のことのように思い出せる

 

前日、彼を私は詰った

大切な決算作成の日をたった一本の電話で変更した彼に

何故か夫が軽んじられているように思えたからだ

 

だから許せなかった

 

しかし彼はその前日に夫を呼び出し、子どもが出来た報告と共に

何故急に大阪に行くことになったかを告げていた

 

夫は、あいつは父親になるんだというとそれ以降は布団の中に潜り込んで

翌朝私が子ども達を連れて夫の実家に行く時間まで起きてこなかった

 

たぶん夫は彼に、会社を興した意味や、そんなものを語り

夫にとって唯一の理解者だったのだと思う

 

その後,その経理会社から派遣されてきた人は、大学時代に既に税理士の資格をとるほど

優秀な若者だった

 

当然、大学になど行っていない夫に対して口先だけで会話していることが良く分かり

途中で詰らなくなったのか、私が入力ミスをした決算書をそのまま税務署に申告し

国税の調査が入った時、調査を受けてる私の前で単行本を読んでいる、そんな人だった

 

調査が終わった国税の人から、奥さんの単純なミスをそのまま計上し

粉飾決算の形を作ったようです

なるべく早く税理士を変えたほうが良いですとアドバイスを頂いた

 

その時税務署員が良かったら税理士を紹介できますよと言って下さったが

何となく税務署と繋がっている税理士というのが懸念されて、銀行にお願いした

 

今思うと、あの時税務署の方からの紹介を受けていれば夫の会社は違った結末が

あったかもしれない

 

ただ、そんなことを言っていたら

あの時彼が誰かの代理で急に大阪に行かなければ、と、その場所に戻ってしまう

 

結局人生なんて自分のモノさえままならないのに、自分が関わっている人々が

どんな人間かなど、分かりようもなく、ましてその人の人生を変えるなんて

不可能でしかない

 

人生を平らにしてみてプラスが多ければ大成功、と教えてくれた高校の教師を

思い出した

 

私の人生は、どうなのか

思えば夫と出会ったこと自体が成功なのだから、大成功かも知れない

 

私の推しで有る夫は、私には一切身体介護をさせてくれず、厳しい数か月を過ごしたが

施設に入った今、施設の皆さんからとても素直で優しい人という評価を得ているようだ

 

うっかり私を忘れられたりして、来世をすっぽかされるといけないから

たまに面会に行き、来世でも必ず私を探せと命令している

 

いつかあの世に行ったら、そんなに早くこっちに来て退屈していなかったかと

夫婦であの税理士に詰問するつもりでもいる

 

歳を取るのもそう悪いことでもなさそうだ