学名をMalus hallianaという
英名はflowering crab apple
直訳すれば
赤い蟹のように咲く林檎の花
とでもいうのだろうか
学名のMalusは古代ギリシャ語に由来するラテン語で
林檎のことをいうそうだ
hallianaはこの花を世に知らしめた造園技師の名前だとか
この実を改良して今の林檎が作られたそうだが
海棠の実を食べても単に渋いだけだと思う たぶん
この海棠がシルクロードを渡り、中国に入った当時のことは
唐の時代の署の楊貴妃伝に出てくる
此眞海棠睡未足耶
酔って寝たりない楊貴妃の顔はまるで海棠の花のように美しい
唐の時代の玄宗皇帝が酔っ払って眠気に襲われている
楊貴妃を見て詠んだ歌なのだとか
この時の玄宗は56歳で、楊貴妃は22歳
老いらくの恋などと表現する作品を見るが
この老いらくの恋は
昭和23年に68歳で有った歌人
川田順が若い弟子と恋愛の上に出奔し
墓場に近き老いらくの、恋はおそるるなにも無し
と詠んだことに由来する
因みにこの英名は桃や桜の花にも表現されることが有る
蟹の爪のような林檎の花の形をして咲く花
バラ科の植物は大体が該当するからだ
俳句を作るときに英訳すると、ここでいつも迷う
私が一番最初に海棠を見たのはもう四十年以上前だ
それまでの住まいから転居した広い家の庭に花を植えようとしたら
以前住んでいた家の近くの人が庭から幾つかの花の木を持ってきてくれた
椿に金雀枝、金木犀 そして深紅の、香りの高い弦薔薇など
その中にあった海棠
春になって咲く、桜とも、梅とも、桃とも違うその花の色に
甚く感激し、春が来るのが楽しみになっていたが
家の建て替えで泣く泣く手放すことになった
以降、マンションや賃貸の家で、樹木を植えることが出来ず
諦めていたが、先日、近隣の植木屋さんで鉢植えならあると言われて
注文した
今日入荷したというので、行ってみると、確かに鉢に植えられていたが
盆栽ほどというわけではない
すると花屋さんが一回り大きい鉢をくれて、ここで育てて
引っ越すようになって困ったら、うちの畑の脇に植えてあげると
優しい申し出をしてくれたので、買って帰って来た
枝には既に膨らみ染めた蟹の爪のような蕾が幾つもついている
今年の春は楽しみだ