人間は記憶喪失になると、最初に就いた仕事の記憶だけが残る
というのを、サスペンスでやっていた
不倫して略奪した夫が行方不明になり、探し当てると記憶喪失になり
奪った男の、元妻と一緒にいた頃の職業に就いていた
そんな内容だったと思う
学術的にどうなのかは知らないが
この話をテレビで見た時、私が初めて就いた仕事は何だったかを考えてみた
で、子どもの頃タイ人の夫婦の家で
ベビーシッターのアルバイトをしていたことを思い出した
隣は今は国名の無い国の領事館で、そこに若い女性がいて
新しく赴任してきたからと
アップルパイを持ってタイ人のお宅に挨拶に来た
シッターは子どもが寝ると一時休憩になるので散歩に出かけると
その隣のお姉さんからティータイムに誘われた
丁寧にに手入れをされた芝に彩の奇麗な敷物を敷いて
彼女が作ったというアップルパイと紅茶をその女性の妹さんと嗜む
笑うミカエルみたいな会話をした覚えがないから
たぶん、アップルパイの試食に呼ばれたのだと思う
楽しい時間を過ごしてタイ人のお宅に行きかけたら
門の前に腕章を付けた男の人たちがカメラを片手に大勢いた
みんなニコヤカだったから、たぶん試合に勝ったのではなかろうかと思う
私がメディアの人たちと初めて会った瞬間
後に私はカメラマン側の人間になる
思えば奥さんと子どもと一緒に平和島のボートレースを見に行ったことは
何度かあるし
大人になってから、横浜文化体育館でプロレスの興業があったのは
知ったけど
タイ人がどこで試合をしていたのか聞いたことが無かった
今でもそれは謎のまま
高校を卒業後、大学には行かずカメラマン側の仕事に就いて
一番印象にあるのは
タレントの経歴が作られる場面に遭遇したことだと思う
某広告代理店に行くと
テレビ局に行ったときにあまりもの当時の今風の恰好で行ったので
タレントより眼立つ格好で来るな、と、タレントに叱られた私よりも
目立つ格好の女性が受付にいた
流石広告代理店の受付は違うなあと思って帰社したあと
先輩社員に教えると、嘘だろう、という
あの会社に受付なんてないぞ、と
確かに先週は無かった
若さ故に、嘘という言葉に反応して
なんか気分悪いなと思っていた数日後、広告代理店の娘さんは
テレビに出ていた
某事務所の受付嬢をしているときにスカウトされた、らしい
丁度その頃、当時売り出し中の歌手と
それまでの歌のイメージを払拭したい歌手の結婚が報じられた
戸籍まで調べに行き
当然、記者の間では偽装が疑われ、隠したい何かを執拗に追いかけた
ある時は二人で銭湯から帰る姿を追い、ある時は早朝の家の前で張り込み
まるで見世物のように毎週週刊誌のグラビアを飾る
結局二人は何も語らず、一年後に離婚した
ことタレント同士の付き合いや結婚に関しては今も昔も変わらない
一歩間違えばすべてのファンを失くすことになる
一方で事務所同士が認めた間柄と報じられて
どちらかが真実を話せば必ず傷つく人が出てくる
事務所の存在を無視して本当のことを発表出来るほど権限がある
タレントなど今も昔も存在しない
今はネットという存在で、タレントを見る巷の目も変わってきたが
嘗ては事務所の意向で報じられた記事によって潰されて行ったタレントも多くいる
で、記憶喪失になって
メディアの業界のハシックレの仕事をしていた時の記憶を思い出したら
私はとんでもないことをブログに書くかもしれないから
出来るだけベビーシッターの仕事を思い出したいと思う