Comfort foodという語の初出は
少なくとも1966年アメリカ・フロリダ州の地方紙
パームビーチ・ポストの記事のなかで
以下のように言及されたことに遡る。
Adults, when under severe emotional stress, turn to
what could be called 'comfort food'—food associated with
the security of childhood, like mother's poached egg
or famous chicken soup.
大人は、深刻な感情的ストレスにさらされると
「コンフォートフード」と呼ばれるものに目を向けます
母親のポーチドエッグや有名店のなチキンスープなど
子どもの頃に満足感を得られた食べ物がべたくなる
というようなことから
大人なって精神的に疲れると、子どもの頃に、カロリーなど一切気にせずに
食べていたアイスクリームやチョコレート、フライドポテトなどが
無性に食べたくなるが、そのことで脳の報酬系回路
人間の欲=快感を制御する回路が刺激されて、一時的には満足するが
実際は高脂肪、塩分、砂糖などを過剰摂取することになり
体にとって弊害でしかないということのよう
コンフォートとは直訳すれば、心地よい、快適であるという意味で
日本流にいうとおふくろの味になるらしい
母親の味、と言って思い出せるのは
きんぴらとたらこのふりかけ
それにクリームチーズを塗ったトースト
厚手のベーコンエッグくらいだろうか
あとは御節
これには母のこだわりが有って、野菜は素材そのものの色を保つために
干し椎茸の戻し汁とカツオ出汁で
色の薄い、火の通りの早い野菜から七種類
人参、里芋、蓮根、牛蒡、八つ頭の順に煮て行き
椎茸になるとお砂糖と醤油を加え、最後に手綱の蒟蒻、たっだと思った
因みに御節に詰める具材の謂れは
黒豆は健康でマメに働けるように
数の子は子孫繁栄
田作り=カタクチイワシの稚魚は五穀豊穣
伊達巻きはその形が巻物を模していて、知識を得られるように
金団(きんとん)は金運を呼ぶため
紅白の膾は源平が一皿織りなすことで平和を願い
(源氏は赤い旗、平氏は白い旗を掲げていたことで
運動会の紅白のハチマキの色もそこから来ているそう)
海老は腰が曲がるまで生きるという長寿を願い
ハマグリは左右の殻がぴったりと付くことから夫婦円満
昆布は、喜びを表し
慈姑は芽が大きいということで立身出世を願い
御節はもともと日本人の大半が農耕民族の時代に
春夏秋冬の節句に田の神様に祈るために作られたもので
人日1月7日 上巳3月3日 端午5月5日 七夕7月7日 重陽9月9日
に供されたそう
母の作るたらこのふりかけは
本牧通りに有る本郷町の公設市場で売られていた形の崩れたたらこを
大量に買ってきて
弱火のフライパンでパラパラになるまっで炒めて
青のりとゴマを加えるという至ってシンプルなもの
で、子どもの頃に美味しく食べることだけを考えて作って貰えた料理を
大人になったらやたらにとらず
カロリーとか栄養価をしっかりと考えながら食事しないと良くないよ
ということなのだそうだが
マズラーの欲5段階説の
一番最下位にある、生理的欲求 を一切合切封じ込めるというのは
不可能に思える