生きろ | ミナミのブログ

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のんびり、、まったり

日本時間で1960年5月23日午前4時過ぎに

チリ南部でマグニチュード9.5という

観測史上最大の超巨大地震により生じた大きな津波は

平均時速750kmという高速で太平洋を横断し

22時間半後の午前3時ごろに太平洋の真向かいにある

日本列島の沿岸に到達する

 

と記録されている

 

当時中学一年だったその人は

音に驚いて飛び起き、寝ていた母親の手を引いて外に出ると

薄暗い中に大きな山が迫っているように見えたとか

 

懸命に走り、学校がある高台に登ろうとしたときに、波にさらわれ

気がついたときは男の人によって引き上げられていた

 

我に返ると、握っていた筈の母の手が無い

 

助けなくては

 

再び海水に戻ろうとしたその時男の人が

助かったんだから生きろ

と言ったそう

 

彼の二の腕にはその時に付いた大きな傷跡が有った

 

父親は既になく母を亡くした彼はその後どんなふうに生きたかは

語らなかったが、海が怖いと思いながら、海を離れることが出来なくて

東京湾岸に住まいを構え、車で魚を売り歩く商売を始めて

我が家にもやって来た

 

彼の持ってくる魚介類は大半が陸前高田の広田湾で採れたもの

 

牡蠣や帆立、若芽 干し魚 

我が家の食卓の定番だった

 

都合で転居することになり、彼の販売ルートから外れてからは

直接広田湾にあるお店に連絡をして送って貰った

 

彼は元気でいるだろうか そんなことを思っていた数年後、東日本大震災

今までお願いしていた店に電話しても繋がらなくなった

 

ただ注文をして、注文を受けて、それだけの会話

 

昨年、娘に連れられて陸前高田から釜石まで旅をして

祭りに参加している人たちを見た

 

あの人が生きていてくれなかったら

私は陸前高田の魚介類のおいしさを知ることも

この風景を見ることも無かっただろうと思う

 

助かったんだから生きろ

何気ない言葉だけど、大きな意味がある言葉だと思った