縁談の挨拶には喜月の最中を
持っていく。
私はこれを日本の風習だと思っていた。
今でもたぶん縁談が有れば持参すると思う。
喜月とは横浜の本郷町にある
喜月堂という和菓子店の小判型の最中。
二人の義兄も結婚の挨拶に持参したし、私も夫の両親が顔合わせのために、たぶん同發だと思う、に泊まったおりにお届けした。
その時初めて喜月の最中が全国区では無いことを知ったのだけど。
最近この最中がネット販売で全国区になったことを知って、縁談の最中も全国区にならないかと、密かに期待している。
人には各々れ、生まれ育った環境や好みや推しがあり、友人のご主人もまた自分より立場が上で有ろう人には是非ともというお菓子が有ったそうだ。そのためにわざわざ赤坂の本店まで赴いて、豹柄…竹の皮模様の羊羮を買って妻が大層お世話になる家に届けさせた。
それから数日後、その羊羮の箱に謎の数字が記されて、妻が、、私の母から、誰が持ってきたか分からないけど良かったら食べて、と、渡されて持ち帰ったとか。
ご主人は大層呆れて、お宅には二度と何かを買って来ないと宣言された。
メモに困ると、子どもの教科書や果ては伯父から頂いた、国鉄最後のカレンダーまで即座に切り取って利用する夫にとらやの羊羮の価値を理解するのは無理だったかもしれないと内心思いながら、猛反省したふりして帰って、その話を母にしたら、あらぁ、Tさんが持ってきたの? テーブルの上に置きっぱなしだったし、うちにもう一本伯母さんがくれたのが有ったから、それも一緒に渡しちゃったわ、と言われて、思わず、何だと?と返事をしてしまった。
以降は頂き物は即座に回収するように心掛けているが、隠遁生活のような今はそんな心配も要らなくなった。