五月の連休をゴールデンウイークとしたのは
1951年に上映された獅子文六の自由学校という映画の興行成績が
頗るよかったことで
大映、松竹のそれぞれが連休中の顧客獲得の宣伝文句に
新聞紙上に黄金週間・ゴールデンウイークとしたことが始まりだそうで。
夫達が若者と言われた時代はゴールデンウィークの名に相応しく
映画館がにぎわって、特に日活の仁侠映画を見た後の若者は一様に
トムとジェリーに出てくる不良の猫のごとく肩をイカらせて出てくると
揶揄されるくらいだったそうです。
夫の勤め先の近くには大映と日活の撮影所が有ったそうで
俳優にあこがれてスカウトを夢見る先輩に誘われて何度か見学に行ったそうです。
私自身が初めて映画館に行ったのは、横浜の麦田のトンネルの先に有った
麦座という映画館で
当時、父が運転する黒塗りの大きな自転車の荷台に乗せられて行くのですが
その映画の題名が児雷也という
目玉のまっちゃんと呼ばれた歌舞伎役者の尾上松之助が主役のそれも弁士が語る白黒映画でした。
この映画は上映された当時、尾上松之助が映画の中で行う
忍術を持って電車を止めようとした子が痛ましい事故に遭ったことで
監督の牧野氏はその後教育的な映画を主に撮るようになったのだとか。
最近アニメでこの児雷也が有名になっているそうですが、白黒の中での
尾上松之助の児雷也ほどの凄みが果たしてあるかどうか。
その後、ディズニーの101匹わんちゃん
嵐が丘、マルセリーノの歌クリスマスツリーなどを観て
夫と初めて見たのはゴッドファーザーパートⅡでした。
夫はこの映画が好きで、テレビで放映されるたびに観ていましたが
内容のほとんどを覚えていません。
そのうちに一緒に観ている私が説明をするという。
なんで何も覚えられないようなこの映画が好きなのか。
子ども達が成長する中で、テレビアニメのペリーヌ物語を観ている夫をみて
思い当たりました。夫は映画そのものより
映画の場面に若い時代に旅をした街を思い出していたのだと。
ペリーヌ物語を見た後、ワインのボトルに水を入れて飲むようになり
夫はそんなふうにして水を携えて旅をしたのだろうなと
夫の記憶の中にある広大な旅の世界がなんとも羨ましくもなりました。
