アヘンから作られたもの | LEO幸福人生のすすめ

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6000年前のシュメール人が発見したフル・ギル──喜びをもたらす植物──と呼ばれた植物は、ある薬物を誕生させ、現在は年間2万人の米国人がその薬物で命を落としている。

 

この薬物とは何であろう。その解説は以下の著書に載っている。

 

 

 

著者は医学研究者、臨床医。

 

35 年間にわたってワクチン研究を続けてきた科学者として、私は科学が万能の力を発揮する喜びと、予期せぬ結果を生む悲しみの両方を目にしてきた。例えば、経口ポリオワクチンは西半球からポリオをなくし、今でも世界中で使われているが、ワクチン自体がポリオの感染を引き起こすことがある。このような副作用はまれだが、現実に起こっている。

 

 

ワクチンの研究を35年続けてきた医師が書いているエッセイ。

 

別にコロナワクチンがこれと同じ、ということを言いたくて引用するわけではないが、

 

ワクチンには効能と同時に、わずかであってもトラブルを起こすことがある、予想もしなかった副作用を起こすことがある、ということは知っておかなくてはならないだろう。

 

 

第一章では、恐るべき効果を人類に与えた有名な薬品のことが紹介されている。

 

章題は 『神の薬 アヘン』

 

アヘン戦争、アヘン中毒、という言葉があることは知っていたが、そのアヘンの発見の歴史、それが多くの人たちにとって、有難い薬品だと思われ、使われ続けてきたこと。

そうして、このアヘンの変化形として生まれた薬品たち――名を聞けば誰もが知っている――についての解説が続いてゆくのを読んでいくと、

 

そんな歴史があったのか。アヘンと、そのアヘンの危険性を排除して作った新薬品にも、実はきわめて危険な副作用があって、どうこう … そうしてまた改良型が作られるも、それにもまた効能以上の、有害な問題点が発覚する、という繰り返しのサイクル。

 

薬品には、効能だけでなく、未知の副作用、意外な症状をあとで生む可能性、危険性がある、ということを、このアヘン改良史から学んでおきたいと思う。

 

彼ら(シュメール人)はある植物を発見した。歴史上で、これほど多くの喜びと、多くの苦しみをもたらした植物は他にない。彼らはこの植物をフル・ギル、「喜びをもたらす植物(※ケシ)」と呼んだ。 

(中略)

ケシの実からとれるアヘンは非常に効力が強く、古代文明においては神から与えられたものだと考えられていた。

 

17世紀のイギリスの医師・トーマス・シデナムは、「全能の神が苦しみを和らげるために人間に与えた治療薬のなかでも、アヘンほど万能で効き目のあるものはない」と言った。アヘンを神からの贈り物だとする考え方は、 20 世紀まで続いた。1900年代の初めに、当時最も高名な医師にしてジョンズ・ホプキンス病院の創設者でもあったウィリアム・オスラーは、アヘンを「神の薬」と呼んだ。

 

鎮痛薬としてだけでなく、あらゆる病状に対する万能の薬のごとく重宝されて、古代から近代まで使われてきたアヘン。

しかしその効果が絶大であるのと同じくらい、中毒性のある劇薬として危険な薬でもあったことは、次の歴史的大事件からもよく知られているだろう。

アヘンが中国に広まって、アヘン中毒者が続出、これに危機感を持って抗議した中国人とイギリスのあいだにアヘン戦争が起こる。

一国の存亡にも関わる大変な原因ともなった、こうした歴史を見てもわかろうというものだ。

 

 

アヘンは個人に中毒を、社会に破滅をもたらすことが明らかになっているが、優れた鎮静効果があることも確かだ。これに匹敵する薬物は他にない。科学者たちは、アヘンの中毒性をなくし、鎮静効果だけを残す方法を懸命に模索した。

 

中毒患者を数多く生み出すアヘンは危険である。

 

アメリカにもアヘンが入ってきて、主要都市のすべてに広まり、アヘン窟には犯罪者がたむろし、などという事態になってくると、アヘンの輸入を法的に禁止することになったが、アヘンの薬効、効能は捨てがたい。

 

なんとか、鎮痛剤としての効能のみを残して、中毒性を廃した薬品を作れないだろうか、といって生み出されたのが、モルヒネ、なのだという。

 

モルヒネは、アヘンの中に含まれる5つの有効成分のうちの一つで、この部分を抽出して、鎮痛効果の大を期待して作られたのが、モルヒネという薬品なのだという。

 

戦争映画などでは、、被弾して大怪我をした兵士たちに、衛生兵が駆け寄ってモルヒネを打ったりするシーンがよくありますね。

モルヒネというのは、ひどい激痛に苦しんでいる病人に対しても、その痛みをやわらげるのに効果的に鎮痛剤として使われる。

実際に、痛みを鎮める劇的な効果がある反面、使いすぎたり、使い方を誤ると命にもかかわる劇薬でもあって、

フランシス・アイルズの『殺意』という有名推理小説では、医師が自分の妻をモルヒネによって殺害する、という犯罪が描かれています。

 

アヘンからモルヒネを抽出した人物ゼルチュナーいわく、

 

ゼルチュルナーは、モルヒネがアヘンより約6倍も効果が強く、短時間で高揚感が得られ、ついで気分の落ち込みと依存状態になることを発見した。研究を終えた頃には、ゼルチュルナーは依存症になっていた。彼は恐ろしいものを作り出してしまったのではないかという不安にかられ、「私は、大きな不幸を避けられるように、モルフィウムと名づけたこの新物質の恐るべき影響が注目されるようにすることが自分の務めだと考える」と警告した。しかし、世間はゼルチュルナーの警告に耳を貸さなかった。

 

古代ギリシアにおいても、アヘンの中毒性と危険性を警告した、ディアゴラスという医師がいたそうですが、この医師の警告を無視して、アヘンは世間で使われ続けたのだとありました。2500年ものあいだ、中毒性があることが知られていたにも関わらず、その効能ゆえに使われ続けた。中毒の危険性は見て見ぬふりをしてかどうかは知りませんが、役に立つ部分のみを重宝して、危険な特徴には目をつぶった。それほど有難い効能があったのかもしれませんが … 、

 

モルヒネに関しても同じことが起きて、その製造者が危険性をいち早く見抜いて、これは恐ろしい薬品だ、と警告したにも関わらず、これまた無視されてしまったとのこと。

 

結果、モルヒネは大量生産され、医師たちはモルヒネを処方すること頻繁となり、結果、モルヒネ中毒者が続出したそうです。

 

今度はモルヒネ中毒を回避せねばならぬ、となって、

 

アヘン──それに主成分であるモルヒネ──の効果はしっかりと残しながら、これらに常につきまとう中毒や依存症を起こさない、鎮痛薬を発明することはできなかったのだろうか? この時点では、科学者は自然の産物のみを使っていた。しかし、最新の化学を駆使すれば、必ずや中毒性のない鎮痛剤を合成することができるはず

 

薬効のみを残し、危険な中毒性、有害性を排除した薬品は作れないだろうか。

作れるはずである。進歩した現代の化学知識をもって、化学的な合成、抽出法によって新薬を開発することが、かならずや出来るはずだ。

 

こうして作られた、モルヒネのさらに5倍の効果がある、とされる新薬が開発されたのだといいます。

 

開発者は、今度こそは完璧な薬だ、これはモルヒネ中毒者をなくすことが出来る、より安全で、かつ、効果も絶大、モルヒネの5倍の効能のある素晴らしい薬品である。

 

薬品名をつけねばならぬ。

 

バイエル社はヘロインという名前で新薬を発売した。

 

ヘロインの売り上げは好調だった。第一次世界大戦中には、軍隊で戦場に送られた兵士たちにヘロインが注射された。

 

なんと、モルヒネの改良バージョンとして生まれたのがヘロインなのだという。

 

アヘンが麻薬なら、ヘロインも麻薬、モルヒネも麻薬なんですよね。

鎮痛剤としての効果が確かにあるのだけれども、中毒性があり、依存性がある、そうした危険な薬物なわけです。

 

これらは当初は、善意でもって作られ、人類に対する救いとなることを目指して開発された薬だったわけでしょう。

アヘンにしても、痛み苦しんでいる人に与えることで、その痛みをやわらげてくれる有難い薬だとして重宝された。しかして、その代償として、薬物依存の中毒状態を引き起こし … 、

 

これは、モルヒネにしてもそうだし、ヘロインも同じく、使った人間の精神を高揚させ、痛みをやわらげ、精神に(まがいものの)安楽を与える、そういう薬物であったのだ、ということ。

 

 

この医学エッセイは、そのタイトルを見ればわかるように、禍となった科学的発見、医学的なエピソードを集めた本なので、こうした悲観面を多く語っているのですが、

 

善意によって生まれたもの、必ずしも全面的な、絶対的な善となるものではない。

知恵と十分な配慮が足りざれば、そこから新たに別の問題が生じることがある。

 

そういった謙虚なる気持ちを忘れないためにも、こうした視点を一つ持っておく必要があるのかな、と思った次第。

そういう意味を込めて、記事として紹介してみました。