◼︎レタリングという世界
最近では少なくなりましたが、わたしたちのサイン・ディスプレイ業界でも手書きで看板文字を書く職人さんは、文字そのものの知識を習得して、看板のデザインをされていたと聞きます。
「レタリング」と呼ばれる世界です。
今やデジタルでデザインし、出力できてしまうので、文字の知識なんぞ無くても、直感的にレイアウトが出来てしまいます。
この文字レイアウト-レタリングの歴史をさかのぼると、活版印刷の発明に行き着きます。
ひとつひとつの文字の規格を決めて、その配置のルールを整理すること。
「タイポグラフィ」と呼ばれ、
・形や構造 = 書体
・大きさ
・行の間隔
・文字と文字の間隔
・配置、構成
が厳密に定義されました。
それを基本に「レタリング」の世界が広がり、さらに文字そのものを装飾する「カリグラフィー」の分野が発展していきます。
スティーブジョブズがこのカリグラフィーを研究したんで、今デジタルの世界にこんなにたくさんのフォントが存在するらしいです。他大学のカリグラフィーの講義に忍び混んでたのは有名な逸話です。
◼︎フォントの種類
わたし達が一般的にふれる文字はこのフォント=書体 という分類がされてます。
日本語だと明朝体とゴシック体が大きいくくりです。
明朝体は新聞や文庫本などの掲載文字。
ゴシック体はタテヨコ太さが一緒の線で書かれた文字。
一般的によく見る文字です。
あとは漢字系の文字体系で、
篆書、隷書、楷書、行書、草書の五体なんてのも。
看板文字も色々あり、華やかさや場に合わせて使い分けていきます。
英語体(ラテン字)の書体も分類分けはされてて、
明朝体にあたるのがローマン体
ゴシック体にあたるのがサンセリフ
というフォントになります。
このあたりは活版印刷の写植(一文字一文字に版があった)の時代からのものですが、時代が流れて環境は変わりました。
コンピューターが出来て、デジタルでの文字処理が可能になったんです。
これにより、もちろん文字の種類も増やせますが、タイポグラフィの分野での行間や文字間の調整が任意でできるというのが一番のポイントでした。
その結果生まれたのが、見やすいフォント。今でもどんどん新しいフォントが生まれてます。
◼︎デジタルフォントの世界
コンピューターの普及とともに、フォントの概念が変わり、今までの文字の縦横比率にも変化がおきました。
以前の文字の大きさエントリーのに書きましたが、同じ大きさ、ptでも漢字、ひらがな、数字だと大きさも変わります。
ただ、これは写植の時から変わらないんですが、正方形の中に収まった形になってました。
これが、デジタルフォントの誕生で文字ひとつひとつのバランスによって縦横比率を変えたフォントが作られました。
これをプロモーショナルフォントと言い、
Windowsだと
MSPゴシック、MSP明朝、メイリオなど
Macだと
Osaka、ヒラギノなど
がこれに当たります。
反対に等幅のフォントは
Windowsだと
MSゴシック、MS明朝など
Macだと
Osaka-等幅など
になります。
レイアウトの際、文字間が詰まった感じになるのは文字の縦横比率の違いなんですね。どちらにするかはレイアウトのバランスですが。
ざっとフォントの歴史から見てきましたが、現在われわれはここまでの知識を必要とすることはなく、パソコンが的確なものを選んでくれて、デザインパターンもインターネットの世界にカッコいい見本がいっぱいあります。
ただ、何事も先人たちの知恵の積み重ねの上に今の技術があることをありがたく思い、今後さらに発展する技術も柔軟に受け入れていかなくてはと感じました。
たとえば新しいパソコンにした時に、フォント増えてスマートになってます。そのままデータつくり、古いパソコンで見ると…。文字化けしたり、ズレたり。
便利なものに切替わる時は多少のストレスはありますが、きちんと勉強して、効果的に使っていきたいですね。
参考になりましたら幸いです。