人は死によって、今自分だと思っている自分が消えてゆきます。ほとんどの人はこの自分が自分だと思っているので、この自分がイメージしている自分が消えると、自分を見失い、自分は何者か分からなくなります。
そういう意味で、死とは先が分からない真っ暗闇の中に飛び込んでゆく時でもあります。
私たちは薄々、自分の思っている自分は死によって消えてゆくと感じています。
でも、この自分以外自分を知らないので、この自分が消えてゆく現実を認めることができず、この自分は消えることがないのだと思って執着します。
これが永遠に生きていると思う心です。
私たちはこの自分に執着する余り、自分は死ぬことなんてないのだと思って生きているし、たとえ死んだとしても、この自分は残り続けると思っています。
しかし、現実はそのどちらでもなく、この自分が消えてゆくという残酷な現実が待っています。
仏教とは、この自分が消えてゆくという現実を受け入れることから始まります。
そして、本当の自分を知り、受け入れることを目的としています。
自分の思っている自分は消えても、本当の自分を受け入れることができたならば、穏やかに死んでゆけるし、死後真っ暗闇になることもありません。
死を明るく迎える為にあるものが仏教ねのです。