浄土真宗では、私たちが捨てなければならない心に計らいがあります。計らいとは心で思ったことやまわりで起きたことに善悪をつけ、こんな悪い心を起こしてはならないとか、こう思うことが正しいからこう思わなければならないと自分の心を否定したり、強制する心のことです。
たとえば、自分の心から醜い心が起きたとします。その時、こんな心を起こすなんて、なんて悪い自分なんだと思って否定します。
この自分の心を計らう心を浄土真宗では計らいと言います。
人は計らいを起こす為に苦しみます。自分で起こした心はどんなに悪い心であっても仕方ないのに、それを仕方ないと思えず、自分の中でこんな悪い心を起こすなんて良くない心だと否定します。そして、自分を否定することで苦しむことになるのです。
浄土真宗ではこの計らいを捨てて、ありのままの自分を受け入れなさいと教えられます。
悪の心が起きたならば、自分はこんな悪い心を起こすなんて悪人なんだなと自分を受け入れることです。
こんな悪い心を起こすなんて、ダメなんだと自分を否定しないことです。
もちろん悪を造ったら、その報いで苦しむこともあります。でも、多くの場合、私たちは悪の報いで苦しむことよりも、自分で自分を否定することで苦しんでいるのです。
だから、どんな悪いことを思ったとしても、そんな自分は良くないと否定するのではなく、これも自分なんだと受け入れる。
思ったことは悪い心だけど、それをこれは良くないと否定するのではなく、そのまま受け入れる。
そうすることで人生の多くの苦しみは無くなります。
正しい所に立って、これは良くないとか、こうしなければならない気持ちを捨てて、ありのままに受け入れる。
この計らいを捨てることで、すべてのことを流れのままにまかせる安心した心になることができるのです。