私たちは過去を振り返ると、今までの自分の人生はあっという間に過ぎていったと感じるのに、未来に向かっては、まだまだあると思ってしまう。
だから、死を遠くに眺めて、まだまだ死なないと思ってしまう。
本当は死も遠い先のことではないのに、どんなに歳をとっても自分が死ぬとは思いません。
だから、仏教では、整理をして、日常生活に目を向けなさいと教えられます。
日常生活に目を向けた時、毎日が同じことの繰り返しだと知らされます。この同じことの繰り返しというのが、大切なことで、同じことの繰り返しを続けてゆくことで、私たちは容易に未来のことも考えることができます。
私たちは人生いろんなことをやって死んでゆくと思いますが、同じことを繰り返してゆくことで、こうやって同じことを繰り返してゆくうちに十年二十年が過ぎてゆくように感じます。
だから、これからどれだけ長生きをしたとしても、同じことを繰り返して、その次に死が来ると感じるのです。
この同じことの繰り返しは、遠くにあった死を身近なものにしてくれる。否応なしに死を考えずにはおれなくさせます。
本来は整理をして日常生活に力を入れることは出家の人がやること。それを在家であってもやってゆくことで、出家の人と同じ修行ができます。
仏教は出家の教えと思われがちですが、修行の中身さえ分かれば、在家でもできる。
大事なことは出家、在家とこだわりがちですが、大事なことは、教えを実践すること。
教えを実践するから真理が知らされる。
死を意識することができるようになるのです。