歓楽尽きて哀情多しという諺があります。
これは人生に於いて楽しみを求めれば求めるほど、その後には何も残らず虚しさと悲しみだけが残るということです。
私たちは旅行に行ったり、ゲームをしたり、友達と遊んだら、充実した楽しい人生になると思っています。
もちろんこういうことが楽しい時期もあります。それはまだ若くて人生が果てしなく続くと思っている間です。
しかし、人生の終わりが見えてくると、自分の人生を振り返って、同じことの繰り返しで何も残らなかったことが知らされてきます。
これはたとえ大金を手にしても、地位や名誉を得たとしても、どんなに有名人になったとしても、死んでゆく時には何も持って行けないので、本質的には何も変わらないのです。
このまま変わらないまま、人生が終わっていいのか、そんな不安が押し寄せます。
でも、そんな不安を振り払うように、死んでゆく時に持って行けないものばかりを求めて我を拡大してゆく。
どんなに死ぬまで思い通りにできたとして、死んでゆく時には何一つ持って行けないし、思い出さえも失ってゆく。何も変わらないまま、死んでゆく。
でも、何もない人生、何も変わらない人生を何も変わらないのだなと受け入れることによって、今まで外ばかりに向いていた眼が心に向く。
この心を幸せにすることが人生にとって何よりも大切であったと気付く。
そこからが本当の人生が始まる。
人生は無意味だと知らされてからが本当の人生が出発する時。
そこからが意味のある人生となるのです。