人は、死を目の前にすると、人生の中で悪いことをしたことが思い出されるという。でも、どうして悪いことが思い出されるのでしょうか?
私たちが悪い人間だから、悪いことを思い出されるのではないと思います。
私たちは生きている時は自分は正しいという我の上に立っています。だから、正しい所に立って、相手が傷つくことを何とも思わずに否定してきたことも何度もあったと思います。
この正しい所に立って相手を否定する心は、自分が正しい時は、否定する刃は相手に向いていて、自分を傷つけることはなかったのですが、死を目の前にして我が崩れると、正しい所に立ちたい一心で、自分の悪を見て攻撃を始める。つまり、自分が悪いことをしたから、悪いことが思い出されるのではなくて、正しい所に立ちたいから、自分の悪を見つけて攻撃するのです。
悪を攻撃している間は正しい自分でおれる。そんな無意識の思いから、自分の悪を否定し苦しむ。人は悪人だから、悪を攻撃するのではなく、善人に立ちたいから、悪を攻撃するのですね。