里見蘭著『さよなら、ベイビー』を読みました。
4年前主人公の佐藤雅祥(さとうまさよし)が自殺未遂を起こしたところから物語が書き出され、現在21歳で引きこもりの雅祥のもとに、父親がどこのだれか分からない赤ちゃんを連れてきたまま死んでしまうというショッキングな状況から物語が紡がれていきます。
雅祥と赤ちゃんがいる現在と登場人物の過去の事が交互に綴られて話が進められてゆきます。
ここのところが、ちょっとややこしかったですね。
この人のことかなと読み進めていたら違っていて、また戻って読むといったことを繰り返しながら、やっと読み終えることができたという感じです。
この物語では特別養子縁組の制度のことが深く関わってきます。
どんないいと思われる制度でも誰かを傷つけないということはありませんね。
親だと信じていた人から、実は養子だと聞かされた子はどれだけショックを受けるだろうか!
このことをないがしろにしたのでは制度としていかがなものかと思うのですが実際難しいことですね。
また赤ちゃんを産み育てるということも改めて考えさせられました。
どんな状況で生まれてきても、生まれた以上は幸せな人生であってほしいと誰もが願っているはずですよね。
考えさせられる物語でした。