BLラノベ
『吉原夢幻恋情』
~紳士で男前な攻め~
水月真兎/タカツキノボル
(2007)
 
これ、面白かったわ~
というか、1番の見せ場のラブシーンがかなりツボでした。私のタイプのど真ん中でした。
 
紳士で男前で、しかもちょっと強引なところもあるの。
 
 
▼この表紙をご覧ください。
 
奥の髪長い人が受けさんなんですが、顔に注目。(角度的に手前の攻めさんの方に焦点合ってますがすいません。)
 
男っぽいですよね。
凄い「男」な受けです。
 
BLの挿絵(漫画)って受けさんがすごい美人に描かれすぎて、女じゃん!!てなることがあるのですが。いやそれはそれで可愛いから良いんだけどね。
 
でもこのタカツキ先生の受けはちゃんと「男」ですよね。男なのに、この色気ですよ。凄い。
 
▼ちなみに比較対象としてこちらをご覧ください。

↑鈴木あみ先生原作の『華園を遠く離れて』(2006)
イラストは樹要先生です。
 
有名作品なのでご存知の方も多いと思いますが、改めて。ちょ、これ、BLなの?全員女子やろ?て思った方。そうですよね~ちなみにこの中で向かって右奥の金髪さんのみ攻めです。全員男です。遊郭にいる色子なのでこんな恰好をしています。
 
これ買ってったとき、夫に「BL買うんじゃなかったの」と言われました。私(腐女子)にはこれでも男に見える(男だと思って読んでるから)んだけど、知らない人が見たらまんま女だよなって納得しました。
 
良い意味でです。『花降楼シリーズ』は、この可愛い絵も最高なんです。ちなみにこの『花降楼シリーズ』では他にもたくさんの攻め様が出て来ますが、他の人は皆ちゃんと「男」な見た目ですのでご安心くださいね!
 

 

(↑1巻のドラマCDでの声は大川さんと下野さんです。)

 

 

というわけで、この『花降楼シリーズ』の表紙を見たあとに、この『吉原~』の表紙を見ていただくと、かなり男っぽい受けなことがよく分かると思います。

 

 

◇あらすじ

吉原で小見世『夢幻楼』を経営する当真(受け)に、幼馴染で代議士の修一郎(攻め)は、幼いころから恋心を抱いていた。けれども当真は代議士になった修一郎と自分は住む世界が違うのだと、その気持ちをいつもはぐらかしていた。近頃、小見世の『夢幻楼』は大見世から嫌がらせを受けていて・・・。

 

 

◇感想

この作者さんの物語は初めてですが・・・凄く良かった!何が良かったって、さっきも言ったけど、見せ場のラブシーンが、私のタイプすぎて・・・

 

いや、まさかこんなに素晴らしい物語とは思わず、期待せずに読んだので感動も3倍くらい凄いことになりました。(本当に失礼)

 

2007年出版ですが、『花降楼』も1巻が2006年発売、我らが『VIP』も無題が2005年(確か)発売ですから、私は2000年代初期のBLノベルが大好物だなぁとしみじみ思いました。この頃、前線で活躍なさってた方々、本当に感謝感謝です。もうすぐ『抱擁』発売・・・そろそろ再読祭を始めないと!

 

 

 

 

p114~p136の1行目まで・・・最高です。これが私のど真ん中です。え、誰も興味ないかもしれないけど、いやそれでも言わせて。

 

p113まで、ずっと紳士的で優しい良い男だった幼馴染の修一郎。冒頭では夢幻楼の花魁たちにあたしで遊んでってよ~なんて誘われ軽~くかわしながら当真一筋と、みんな分かっています。おいしい!!

 

二人とも吉原育ちの幼馴染なので、女のあしらいに慣れた大人の余裕たっぷりの修一郎!!ああ、私のことも掌の上で転がしていただきたい!!!体の関係を望むとかじゃなく、その甘く色気のあるやり取りに参加させて欲しい。くだらない冗談や軽口が、相手が良い男だとこんなに甘くなるのか!!!そうそう余裕のある色男に弱いんだわ私は・・・はぁ。あと強引な王子様ね。あと一途なヤクザの幹部ね。

 

もう、その優雅な言葉遊びを私にも楽しませて!!

 

否、体を売るってことは優雅なだけではけっしてないのだろうけど、それでもゆとりど真ん中の私には遊郭は優雅な世界に思える(やっぱ漫画や小説の中限定で)。

 

小見世とはいえ女を売るのが仕事の遊女たちを軽くかっこよく転がす色男の修一郎が、当真のある行動に怒って本性出すんです。

 

あー最高。

 

なんか、凄くよくてネタバレしたくないんだけど・・・。なので、興味出た人はもうこの先読まずに、小説読んで良いと思います。

 

 

 

真摯な男にちょっと強引に暴かれるそのエロさといったら・・・もうよだれが・・・じゅるり・・・。いやーヨダレって感じでも無いか。なんだろう。巷に溢れるエロ小説(どれの話をしてるんだ)程のエロスじゃないんだけど、このシチュエーションと台詞にすごく萌えました。

 

例えば『捨てられた皇妃』だったら、あの清廉潔白な王子のルブリスがちょっと強引だったり、ティアのこと気にしてないようで実は結構気にしてたんだ・・・という部分に萌えるわけで。

 

*NLです。

 

 

 

表紙のイラストはかなり男前なんですが、中身の挿絵は少し可愛いめに描かれてます。もうちょっとクールでも良かったのでは・・・と思うけど、そこは(ネタバレになるけど)いやよ嫌よも好きのうちというか。嫌だ嫌だと突っぱねながらも、本当は当真も修一郎のことが大好きだったんですよね。

 

最後に結ばれるところは、萌えなかったー残念。たぶんこっちがメインなんだと思うけど、私にとってはもうラストのラブシーンはおまけのおまけになってしまいました。メインの濡れ場がツボすぎたので。

イヤイヤして可愛かった当真がいきなり素直になったのが残念。流れとしては普通なんだけど、もっと嫌々して欲しかったー。



 

でもラスト

p224の5行め

「~俺のこと捨てないでくれよっ・・・」のところはもう当真が可愛すぎて可愛すぎて、切なくて泣いてしまいました。わーん。可愛い・・・健気すぎる。

 

あとがきで作者さんも書かれてますが、遊郭もので珍しく楼主が受け。しかも有名な大見世じゃなくて吉原の隅の隅の小見世が舞台とは・・・私もBLに関わらず少女漫画でも遊郭ものが大好きなので、本当に珍しい作品だと思うのですが、凄く面白かったです。

 

修一郎、かっこいいし、修一郎の姉ちゃんも良い味出てますし、大見世の看板遊女、薄雲と当真の関係もおいしいし・・・物語につっこむ所がない。凄い掘り出し物でした。

 

あー面白かった。

 

こないだ読んだ『傲慢皇子と叛逆の花嫁』も良かったんですが。こっちはファンタジーで甘ギャグだったけど、どちらも、受けが男らしいのに可愛いところもあるのが魅力です。

 

 

 

 

 

 

私「また名作に出会ってしまったわー」

夫「soyoちゃん、よく名作に出会うね。良かったね」

 

というわけで、うちは今夜も平和です。棚の肥やし(だいぶ前に文庫本を20冊くらい一気に大人買いしたけど気分が変わってそのまま放置してたやつ)の中に思わぬ掘り出し物が!!!←失礼だぞ。

 

ここまで閲覧して下さったかたありがとうございます。