悪いことするな いいことしろ | そうゆうクンのおはなし

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ちょっと「へぇ~」な仏教のお話、宜しければお付き合いください。

お寺の門前に掲示板があって、「今月の言葉」なる一言がよくある。

 

掲示伝道とかいう。

 

お寺によって、あるいは坊さんによって、吟味された一文を

 

多くは、縦書き、筆書きで模造紙なんかに書いてある。

 

青山通りに面した梅窓院にも、最近新設した掲示板がある。

 

いまのところ、「一言」はない。

 

行事がかなりあるから、そのお知らせで一杯になっている。

 

SNSの時代に、そんなん見る人おるん?

 

とおもうでしょう?

 

それが、レトロな情報伝達って、こればかにできない。

 

けっこう、チラ見するひとおります。

 

京都のある寺。  常林寺さま。

 

「この花 散らすも 雨と風  この花 咲かすも 雨と風」

 

解説不要。

 

なんか、落ち込んでいる時。

 

おーっし、となる言葉。

 

拙僧何回か、目にした「今月の一言」に、つまり多くの寺に掲示されていた一文。

 

「諸悪莫作 衆善奉行・・・・」 しょあくまくさ しゅうぜんぶぎょう・・・

 

っていうのがある。

 

むかし、中国に白居易という有名な詩人がいましたね。

 

その白楽天(ともいう)さんが、禅宗の坊さんのところに行った。

 

仏教を一言(いちげん)でいうと、なにか。

 

「よいことをしなさい わるいことはするな」

 

けっ~~~~。

 

(白)そんなん、3歳児だってしってら~。

 

(坊)80歳の老人だってできへんで~。

 

というあのはなし。

 

いまどきの3歳児に「よいことってな~に?」ってきいてみたことないから

 

どういう風に返事するかはわからないけど。

 

要するに、知ってることと、実行することは、イッチしない、という事。

 

                  ★

 

2011年3月11日。

 

梅窓院の建物も揺れた。

 

建物から外に飛び出したら、池の水面がちゃぷちゃぷ波だっていた。周囲のビルが

 

ゆっくりゆ~らゆ~ら。

 

人が建物から飛び出して騒ぎだった。

 

そのうち、早く帰宅しろということになった。銀座線はホームが混雑危険な状態。

 

電車動かない。

 

寺から歩いて帰ることにした。

 

新宿の近くまで、1時間以上かけてあるいた。

 

歩道は人で一杯。普通の速度であるけない。

 

向かいから、かなりの年齢に見えるおばあさんが歩いてきた。杖をついている。

 

立ち止まって、聞かれた。

 

「渋谷へはどういけばいいんでしょう?」

 

このおばあさんが、ここから渋谷まであるけるか、難しい、と思った。

 

じゃ、一緒に行きましょう、というのが「いいことしろ」。

 

でも、「この道をまっすぐいって、まただれかに聞いてください」と言った。

 

あのおばあちゃんは、渋谷までたどり着けたのか。

 

家まで行きついたか。

 

ときどき思い出しては、いいことなんて自分はできないと思い、

 

悪いことする、と思っている。