徐々に、メンズの服ではなく、自分で許せる範囲のレディースものを買うようになる。
髪も伸ばして、女性としての試行錯誤の生活が始まる。気持ち悪い自分と、折り合いをつけながら、新しい友人と、新しい自分を生きた。
自分がどうしたいかではなく、周りに合わせ、社会に合わせ、そこについていこうと必死だった。そうすれば孤独にならないはずだ。自分の存在価値(自尊感情)は無いに等しいと感じていた。孤独にならないために必死だった。社会・世間・親…その縛りの中で、その限られた枠の中で、自分が欲するものを選べばいいのだ。そっちの方が楽だ。そうするしか、生きる道はない。そんなもんだ。みんな何かに縛られて生きている。みんなも手に入らないものがある。みんな与えられたもの背負って生きている…だから自分も「女性」という体に沿って生きればいいんだ。
そう言い聞かせていた。
勉強とバイトに打ち込んだ。環境に関する仕事をするために、その分野の団体の活動に参加したり、必死で勉強した。
自然の中で活動することも増えてきた。それまで都会での生活では味わったことがなかったが、生きている実感があった。自然の成り立ち、自分の生きている世界について、あまりにも何も知らなかったことに気付いた。
今までも、悩んでばかりで、ひとりで時間を過ごすことが多かった自分は、人一倍孤独が怖かったように思うが、人間関係が苦手だった。人との距離感がうまく保てなかった。周りの人とと比べては、その差に、自分は人間じゃないのかも、なんて本当に思っていた。
精神的に不安定で、自分の存在価値を見いだせず、だからこそ余計に誰かに自分を認めてほしくて、四苦八苦していた。
孤独を埋めようと、彼氏をつくった。安心感を、恋人に求めていた。
もう女性を好きにならないようにしよう、男性と付き合おう、そう決めていた(理屈で)。
あとになって思えば、その頃は(その男性を)好きだと思っていたし、恋愛をしているつもりでいたが、感情より理屈で恋愛をしていた。その人の好きなところを、文章で書ける感じだ。
でも、自分を必要としてくれる人がこの世に一人はいる、そう思えるだけで、当時の自分はかなり救われていたんだろう。
油断してると、女性を好きになりそうになる。
その気持ちは、なかったことにしたかった。振り払らおうとした。
でもそんな簡単に気持ちがコントロールできるわけもなく、やはり苦しい時もたくさんあった。
自己紹介 その5 (社会人 調理師時代)