古典の流儀学問の伝播の話 1 | サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ

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 我々、中国武術を学ぶ人間からすると、唐と宋というのは非常に気になる時代です。

 というのも、実質的にいまの形に中国武術がアップデートされたのが明、清であり、民国からは新武術、あるいは国術という形になったということはかなり手応えのあるお話として感じられます。

 しかし、一方でそれらの武術の原型は、すでに宋代にはあったと言われることが多い。

 なぜならみんな水滸伝が好きだからです。

 それと、岳飛伝説に仮託されたものが多い。

 一方で、それら宋代武術の原型はというと、これが唐代に由来するという説が多いのです。

 ですがこれ、実は武術の歴史だけに関したことではなくて、中国史全体、中国思想全体のパラダイム・シフトによるものであるようです。

 まず、そもが科挙制度が行き渡って文明が発展し、中国が世界的な大都市になって国としての基礎が作られたのが唐代です。

 この唐代の反映を、アップデートさせたのが宋代だと言えるようなのです。

 まず一つには、仏教の発展というものがあります。

 インドから伝わった仏教が広まって、人心の向上がありました。

 これはもちろん、文字を読み、哲学が理解出来る上流層の話になります。

 科挙制度によってこの知識階級によるシビリアン・コントロールが一般化されました。

 ですが、この制度は次第に腐敗してゆきます。

 当然賄賂が横行して、特定の受験者が不正に合格するようになってゆきます。

 宋代の科挙ではこれを防ぐために、答案からは受験者の名前が伏せられるようになりました。

 根本的にはそれでも不正は発生するのですが、制度側が根本的にはこの不正が国力において問題だと認識していたということは間違いありません。

 先に上げた仏教による人心の向上と併せて、この科挙制度などの政治制度を司る儒教の影響が非常に刷新されます。

 宋代には有名な王安石の変や朱子学の発生などがあって、古代から伝わる孔子儒教が大幅にアップデートされるのですね。

 四書五経が制定されるのもこのときです。

 結果、中国文化における法令意識も大きく変化しました。

 人心と法令意識が変わればそれは国が大きく変わりますよね。

 ではこれをなしえたのは一体なんでしょうか。

 それは次回にお話しましょう


                                          つづく