ホルモン | サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ

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気持ちよく生きるためのライフスタイルとしての南派拳法(カンフー)蔡李佛拳とエスクリマ(フィリピン武術)ラプンティ・アルニス・デ・アバニコを横浜、湘南、都内で練習しています。オンライン・レッスン一か月@10000で行っております。
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 カイロプラティックの理論というのは、脳の髄膜から脊椎内を通る液体の循環を良くすることで、免疫系などが向上して各種の症状が改善されるという物であるそうです。

 これと似た理論を掲げているのが私も愛好しているキャリステニクスで、単に筋トレをして使った部分を鍛えるというのではなくて、特定のトレーニングを通して脊椎に繋がる神経系を刺激し、それによって脳からの成長ホルモンの分泌を活性化させて肉体を進化させるというのです。

 この理論を聞いて、トレーニング通が想像されるのは加圧トレーニングではないでしょうか。

 あれもやはり、圧を用いることで成長ホルモンを促すと言う理屈で成り立っていると聴きます。

 私のEXガールフレンドがやっていたのですが、トレ直後にはあちこちに青あざが出来ていて痛々しかった。

 ちなみに同様のあざは、スロー・トレーニングでも発生します。

 スロトレは、クレージー5、クレージー8と呼ばれるように、一つの動作の片道を5、または8秒かけてゆき、行った先で同じ時間制止させ、また同じ時間かけて戻ってくるというものです。

 回数自体は通常のトレーニングより少なくても、やっている時間は長い。

 そして、外圧は使いませんが長時間の運動に寄る自分の筋肉の圧が内側に強くかかります。そのためにあざが出来ます。

 つまり、こちらも充分にホルモンの分泌を促している可能性があります。

 現代のトレーニング理論においては、単に栄養補給や超回復にとどまらず、こういった部分の研究が盛んとなっている部分があるようです。

 私が師父の元に付いたばかりの頃、最初に習ったのはある短勁の南派武術でした。

 伝統的な門派にはありがちなように、師父のところでも初めから生徒が志望する武術は習えません。

 まずは土台となる拳法を学ぶ必要があります。

 師父が私に要求したのは、身体を龍のようにくねらせることを主体とした武術でした。

 中国武術で龍のようと言えば龍身、龍腰と言った物が知られています。

 私が以前習っていた先生は、龍腰とは体幹のある部分のことだと教えてくれました。

 また、ある他派の先生は龍腰のことを単に身体をくねらせることだと解釈していました。その動きは中身が何もなく、まるで制御がされていないものでした。

 師父が教えてくれた龍の拳法は、背骨をくねらせることで短勁を発生させる拳法で、正直即物的でつまらない物だと思ってしまいました。

 しかし、もちろんそれは何もわかっていない素人の浅はかな見解です。

 いまとなっては、それがおそらくは、背骨を刺激して肉体を改造するための練功であったのであろうと推測することが出来ます。

 というのも、少林武術の本質として知られている二つの要素が「易筋行」と「洗髄行」だからです。

 どちらも龍の拳法の後にならう基本功でやるのですが、この洗髄行(功)というのは、神経系を洗ってつまりや淀みを改善し、働きをよくする、という物です。

 つまり、カイロプラティックと同じようなことを旨としています。

 それと並行して筋を変える易筋功を行うというのはつまり、加圧やスロトレと同じことをしているのであり、キャリステニクスであるということです。

 この、分泌されるホルモンのことを気そのものだと言った先生もいます。

 その部分を理解すると、なぜ伝統中国武術家というのは同じような体型になるのかとか、内功を重んじるのかと言ったことが見えてくるのではないでしょうか。

 単純に現代的な方法で身体を育てて、格闘技的な練習をしていても決して伝統的な物に近づくことはありません。

 基本的な部分がまったく違うのです。

 技や形ではないのだと繰り返し書いている理由がそこにあります。

 中身を学ばないと至らない。

 学んで自分自身の中身を変えてゆくのです。

 我々の学派において、内臓の調整をして感情に繋がる、すなわち脳に繋がるホルモンの調整をする気内臓が重視されている理由もこのあたりの在るのではないかと思われます。

 そのようにして中身を成長させてゆくからこそ、精神の向上に至るということなのでしょう。