浅田次郎の映画 「日輪の遺産」戦前の財宝を探す異色作! 堺雅人主演だが大コケ! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「日輪の遺産」

 

日輪の遺産 特別版 [DVD]

 

「日輪の遺産」 プレビュー

 

2011年8月27日公開。

角川映画。

戦時中に日本軍部が盗んだマッカーサーの財宝を描く。

 

原作:浅田次郎「日輪の遺産」

脚本:青島武 

監督:佐々部清

 

キャスト:

戦中・戦後

極秘任務班
  • 真柴司郎(近衛第一師団・少佐) - 堺雅人
  • 望月庄造(座間五百一連隊・曹長) - 中村獅童
  • 小泉重雄(東部軍経理部・主計中尉) - 福士誠治
森脇女学校
  • 野口孝吉(森脇女学校教師) - ユースケ・サンタマリア
  • 久枝(森脇女学校女生徒) - 森迫永依
  • スーちゃん(森脇女学校女生徒) - 土屋太鳳
  • マツさん(森脇女学校女生徒) - 遠藤恵里奈
  • サッちゃん(森脇女学校女生徒) - 松本花奈
軍首脳
  • 阿南惟幾(陸軍大臣) - 柴俊夫
  • 梅津美治郎(参謀総長) - 串田和美
  • 田中静壱(東部軍司令官) - 山田明郷
  • 森赳(近衛師団長) - 野添義弘
  • 杉山元(第一総軍司令官) - 麿赤兒
GHQ
  • ダグラス・マッカーサー(連合国軍最高司令官) - ジョン・サヴェージ
  • イガラシ中尉(GHQ通訳) - 三船力也
その他
  • 伝令の男 - 金児憲史

現代

金原家
  • 金原久枝(庄造の妻) - 八千草薫
  • 金原庄造(旧姓望月) - 八名信夫
  • 金原荘一郎 - 北見敏之
  • 金原涼子(森脇女子学園中等部教師) - 麻生久美子
  • 後藤俊太郎(森脇女子学園中等部教師) - 塩谷瞬
イガラシ邸
  • マイケル・エツオ・イガラシ(元在日アメリカ軍司令) - ミッキー・カーチス
  • ダニエル・ニシオカ(日系新聞記者) - 中野裕太

 

日輪の遺産 : 作品情報 - 映画.com

 

あらすじ:

終戦間近の昭和20年8月10日。帝国陸軍の真柴少佐(堺雅人)は、阿南陸軍大臣ら軍トップに呼集され、ある重大な密命を帯びる。

山下将軍が奪取した900億円(現在の貨幣価値で約200兆円)ものマッカーサーの財宝を、秘密裡に陸軍工場へ移送し隠匿せよ―。

その財宝は、敗戦を悟った阿南らが祖国復興を託した軍資金であった。

真柴は、小泉中尉(福士誠治)、望月曹長(中村獅童)と共に極秘任務を遂行。

勤労動員として20名の少女達が呼集される。

御国のため、それとは知らず財宝隠しに加担するが、任務の終わりが見えた頃、上層部は彼女らに非情きわまる命令を下す。

果たして少女達の運命は。そして財宝の行方は……。

 

日輪の遺産』 - 大衆文化評論家 指田文夫公式サイト | 「さすらい日乗」

 

コメント:

 

太平洋戦争終戦末期、マッカーサーの財宝を巡る極秘作戦に関わった帝国陸軍将校たちと20名の少女たちの運命を描く異色作。

 

太平洋戦争終戦間近に祖国の復興を願い、GHQ最高司令官マッカーサーの財宝を盗み出した帝国陸軍将校たちと、それに巻き込まれた20名の少女たちを描いている奇想天外な物語を映画化している。

 

こんな話がなぜ小説にできたのか訳が分からない。

 

この世とあの世の交流を描いた変な小説が数多くある浅田次郎ならではの作品である。

 

小説では以下のような展開になっている:

1992年12月。メジロパーマーが逃げ切り勝ちで大穴を開けた有馬記念を、府中競馬場で観戦した地上げ屋の丹羽は、不思議な縁により一緒に観戦した老人 真柴から1冊の古い手帳を託された。

その手帳に書き留められていた内容は、「府中競馬場から多摩川を隔てて見える山林に、莫大な財宝が隠されている」という驚くべきものであった。老人の死を知って現れた地元の大地主の金原は、何かを知っているようだが……。

丹羽は同じく、老人から秘密を託された福祉活動家の海老沢とともに、旧日本軍とマッカーサー将軍が終戦前後に壮絶な奪い合いを演じた「財宝の恐るべき秘密」に迫っていく。

 

浅田次郎お得意の、地上げ屋や競馬といったおふざけタッチで始まる作品だが、太平洋戦争のさなかに記されたと思われる軍人の記録を偶然読んだことが発端で、一気に舞台は戦中の軍人たちの物語に移ってゆく。

 

そして、マッカーサーが所有したとされる財宝を日本軍が奪取し、それを日本に運び入れて、山中のある場所に秘蔵し、敗戦後の日本の復興の財源にしようとしたという。

 

そして、その財宝を山の中の洞穴に運び入れる作業を少女たち20人にやらせ、そのあとで自決させたという。

 

そんな馬鹿な!

 

荒唐無稽な話をでっちあげるのが大好きな浅田次郎の真骨頂ともいえる変てこりんな空想物語だ。

 

だが、これが単なるコメディではなく、この財宝隠匿に関わった幼い少女たちの最悪な最期のシーンと共に、戦争で死んだ日本人たちへの鎮魂の祈りで終わるという生真面目なエンドになっている。

 

実に変だ。

 

あり得ない話なら、最初から最後までコメディにすべきだろう。

 

浅田次郎という精神分裂症作家の、人の心をめちゃめちゃにおもちゃにする卑しい根性が鼻につく、嫌な小説である。

こんな悪書が、どういうわけか、50万部も売れたというから、訳が分からない。

 

こういう原作を映画化しても、ヒットするはずがない。

 

映画は大コケだった。

 

まあ、せっかくブログにアップしたので、映画のネタバレはしておきたい:

 

ネタバレ:

 

帝国陸軍の真柴少佐(堺雅人)は、阿南惟幾(柴俊夫)に極秘に参謀本部に呼び出され、同じく呼び出しを受けていた小泉重雄(福士誠治)とともに、軍の首脳から思いもかけない命令を受ける。

それは、山下将軍が奪取したマッカーサー(ジョン・サヴェージ)の財宝900億円(現在の価値は200兆円)を、秘密裡に陸軍工場へ移送し、隠匿せよ、というものだった。

首脳たちは、敗戦が濃厚なのを知り、日本の復興のためにこの財宝は隠すという考えだった。

 

真柴は、命令に従い、行動に移す。

それを補佐するのが望月曹長(中村獅童)だった。

望月は、内容は知らず、二人の護衛が任務だった。

命令書は古い軍服を着た謎の伝令(金児憲史)が届けに来た。

 

 

その作戦を実行するために招集されたのは、森脇女学校の野口孝吉(ユースケサンタマリア)学級の女生徒たちだった。

班長の久枝(森迫永依)、スーちゃん(土屋太鳳)、マツさん(遠藤恵里奈)がいた。

 

彼らには、日本軍が新しく開発した兵器をアメリカ軍から隠すための作業だと説明されていた。

野口は危険思想の持ち主として憲兵ににらまれていた。

その彼の学級が、この秘密任務に当たらされたことは、何か含みがあるようだった。

 

 

そんなことに関わりなく、少女たちは一生懸命に重い荷物を運んだ。

辛い作業にも、少女たちは明るくたくましかった。

 

8月14日、「ポツダム宣言受諾 日本敗戦」のビラが撒かれた。

真柴たちは生徒たちに「これは敵の陰謀だから惑わされないように」ときつく言う。

しかし、貧血をおこして寝ていたスーちゃんがそのビラを読んでしまった。

 

真柴の元には、命令書が届き「明日の玉音放送の後、この計画を知る女学生と先生に青酸カリを飲ませて財宝とともに眠らせ、入り口を閉じて隠すように」という内容だった。

驚愕し、小泉と話し合う真柴。

その話をスーちゃんが聞いていた。

 

真柴は命令を撤回してもらうよう、参謀本部を訪れると、近衛兵団が反乱を起こしていた。

真柴が阿南の家に行くと、阿南は自決をしようとしていた。

「命令を撤回してほしい」と真柴が頼むと、「命令なんかしていない、民間人を守れ」と言って阿南は息絶えた。

 

真柴は胸を撫で下ろし、急いで戻るが、秘密の命令書と同封してあった青酸カリが無くなっていた。

 

軍人の娘であったスーちゃんは、日本が降伏したことを知り、玉音放送の後、みんなを財宝の場所に集めて青酸カリを飲んで集団自決をした。

 

玉音放送の間、久枝と望月曹長は風呂掃除をしていた。

青酸カリが無くなっているのに気づいた真柴、小泉、野口が洞窟に駆けつけるが、少女たちは青酸カリを飲んだ後だった。

小泉は、苦しんでいる少女をピストルで撃った。

久枝も殺そうとするが、望月に阻まれ、小泉は正気を取り戻す。

野口は久枝に「生きて書き残せ」と言って、生徒たちの後を追って自決した。

 

自決した人たちの遺品を焼きながら、この事実は永遠に秘密にしようと誓い合った。

そこに、謎の伝令が現れ、久枝を殺そうとするが、真柴は伝令を殺し、久枝を守った。

 

後日談。

戦後、久枝を送って来た望月は久枝の実家に居着いて、後に久枝の婿となった。

真柴も秘密を守り続けた。

小泉は、マッカーサーに財宝と日本の将来の政策に付いて直談判したが、物別れに終わり、マッカーサーに撃ち殺された。

その後、マッカーサーは、自力で財宝を見つけたが、その周りで自決した少女たちの姿を見て、彼女たちの怨霊を恐れ、洞窟の入り口を閉じて、逃げ帰ってしまった。

 

 

という変な話なのだ。

 

こんなことがありうるはずがない。

 

自決した日本人の姿を発見しても、そんなことでマッカーサーが自分の虎の子の900億円の財宝を持ち出さないことなどあり得ない!

 

思いつきで書きなぐったこの小説がそのまま発刊され、それがほぼ翻案されることもなく映画化されると、大コケになるのは当たり前だ。

 

カドカワの映画は、大ホームランか、大コケかのどちらかになることが定説だが、これは大コケの典型だ。

 

浅田次郎が大嫌いになる作品だ!