筒井康隆の映画 「パプリカ(PAPRIKA)」ヴェネツィア国際映画祭に出展したアニメ映画! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「パプリカ(PAPRIKA)」

 

パプリカ | ソニー・ピクチャーズ公式

 

「パプリカ(PAPRIKA)」 プレビュー

 

2006年9月2日公開。

他人の夢を共有できるテクノロジーを悪用する“夢のテロリスト”に戦いを挑む夢探偵パプリカを描く。

 

第63回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門出品作品。

第19回東京国際映画祭のanimecs TIFF 2006共同オープニング上映作品。

 

原作:筒井康隆「パプリカ」

脚本:水上清資、今敏

監督:今敏

 

キャスト:

千葉敦子(ちば あつこ) / パプリカ
声 - 林原めぐみ
本作の主人公で、研究所でも一目置かれているサイコセラピスト。DCミニを使用し別人格パプリカの姿で患者の夢に潜り込み、悪夢の原因を探るなどの治療を行っている。
常に冷静沈着で理知的なクールビューティーだが、彼女の別人格であるパプリカは天真爛漫で無邪気な少女のような姿をしている。
DCミニが盗まれたと知ったときには時田の管理能力の低さに厳しい言葉を浴びせるが、彼の天才的な技術には絶大な信頼を寄せている。
装置の悪用による島の発狂現場に居合わせており、悪夢の中に潜って彼を現実世界へと引き戻した。その後も立て続けに起こる事件を食い止めるため犯人探しに奔走する。
島寅太郎(しま とらたろう)
声 - 堀勝之祐
千葉らが所属する研究所の所長ならびにDCミニの開発担当責任者を務める、明朗快活な白髪の男性。
物語序盤でDCミニの悪用による精神攻撃を受けたことで発狂し、研究所の窓から飛び降りて大怪我を負う。昏睡状態のまま悪夢に捕らわれてしまうが、千葉(パプリカ)の活躍により無事に現実世界へ戻ることができた。覚醒後は千葉らと協力し、事件の犯人を追う。
時田浩作(ときた こうさく)
声 - 古谷徹
千葉らと同じ研究所で働く研究員。DCミニの開発者であり天才科学者と称されているが非常に子供っぽい性格で、エレベーターから出るにも苦労するほどの肥満体型。
DCミニを盗んだ氷室とは友人であったため、彼に対して疑問と怒りを覚えていた。同僚の千葉とは親しい仲で、気さくに「あっちゃん」と呼んでいる。
粉川利美(こながわ としみ)
声 - 大塚明夫
千葉(パプリカ)による治療を受けている刑事。悪夢に悩まされており、旧知の仲の島からDCミニによる治療を紹介された。
強面だが少し抜けている面もあり、コミカルで親しみやすい男性。研究所を訪れた際、初対面の千葉に見惚れ、同時にパプリカの正体が彼女であることを見抜いた。
乾精次郎(いぬい せいじろう)
声 - 江守徹
研究所の理事長を務める老人。下半身不随のため車椅子で移動している。DCミニをあまり快く思っておらず、危険性を重視し開発中止も検討している。
小山内守雄(おさない もりお)
声 - 山寺宏一
研究所の職員。千葉に好意を抱いているが相手にされておらず歯がゆい思いをしている。また、優秀な時田に対して嫉妬心を抱いているなど少し影のある青年。
あいつ
声 - 田中秀幸
粉川の悪夢に登場する男性で、シルエットに覆われておりはっきりとした姿は見えない。終盤でようやく粉川は彼の正体に気づく。
日本人形
声 - こおろぎさとみ
劇中の悪夢に必ず登場する、おかっぱで赤い着物を着た無表情の日本人形。他人の顔に変化したり、巨大化することもある。
氷室啓(ひむろ けい)
声 - 阪口大助
時田と共にDCミニの開発に携わっていた研究員。時田の才能に嫉妬しDCミニを無断で持ち出すが、自身も悪夢に飲み込まれ昏睡状態となる。
津村保志
声 - 岩田光央
柿本信枝
声 - 愛河里花子
レポーター
声 - 太田真一郎
奇術師
声 - ふくまつ進紗
ウェイトレス
声 - 川瀬晶子
アナウンス
声 - 泉久実子
研究員
声 - 勝杏里
所員
声 - 宮下栄治
ピエロ
声 - 三戸耕三
 
玖珂
声 - 筒井康隆(特別出演)
ネット上でのバー「RADIO CLUB」のバーテン。
陣内
声 - 今敏(特別出演)
「RADIO CLUB」のバーテン。

パプリカ (2006)3枚目の写真・画像|cinemacafe.net

 

あらすじ:

千葉敦子(林原めぐみ)は研究所に勤める若きサイコ・セラピスト。

敦子は時折、所長の島寅太郎(堀勝之進)から極秘の依頼を受け、開発されたサイコセラピー機器を用いてクライアントの治療を行うことがある。

そんな時、敦子は少女「パプリカ」に変身する。

それは他人の夢の中に入り込み、心の秘密を探り出す”夢探偵”のコードネームだ。

そんな敦子の同僚・時田浩作(古谷徹)が頭部に装着して眠るだけで、機器を使用している者同士が同じ夢を共有できるというモバイルユニット”DCミニ”を考案する。

だがDCミニは悪用されれば他人の人格を破壊することもできるという危険な側面も持っている。

悪夢は、DCミニのサンプル3機が盗まれるという事件からはじまった。

開発者として責任を感じた時田は、手がかりを得ようと、自らDCミニを装着して疑わしい人物の夢にアクセスするが、逆に夢の中に取り込まれてしまう。

時田を救うため、そして真犯人をつきとめるため、敦子はパプリカとなって出動した! 

だがそれは邪悪な者たちが支配する、罠に満ちた危険きわまりない夢である。

敵が思いのままに操る世界で、パプリカはどう戦うのだろうか!?

 

画像・写真 | 今敏監督『パプリカ』映画天国で放送 アニメーター・安藤雅司がコメント「大きな財産」 3枚目 | ORICON NEWS

 

コメント:

 

同名の筒井康隆によるベストセラー小説を今敏監督がアニメ化した作品。

 

パプリカ(筒井康隆) / 古本、中古本、古書籍の通販は「日本の古本屋」 / 日本の古本屋

 

2010年に逝去した今敏の最後の劇場作品であり、それまでに培った今敏の演出テクニックがまとめて投入された総決算とも言うべき作品で、主人公パプリカの造形をはじめ、今敏作品の中では最もキャラクター性が前面に出たエンターテインメント性の高い"アニメらしい"作品でもある。

 

他人と夢を共有できる画期的な装置の発明を巡って、悪夢を見させる夢のテロリストと、夢探偵「パプリカ」の戦いを描いている。

夢の中に入って事件を追うという原作の設定を踏襲しつつ、ストーリーは大胆に脚色されている。

製作では、『千年女優』より平沢進とタッグを組んでいた今敏が、平沢に先に音楽を作成して貰い、そこから更に映像に描きだす手法が使用された。

 

ヴェネツィア国際映画祭ではオフィシャルコンペティションに選出される快挙を果たした。

世界3大映画祭と呼ばれるベルリン、カンヌ、ヴェネツィアで一般映画に混じったオフィシャルコンペティションへの出品は、当時、日本アニメの監督では宮崎駿、押井守と今敏の3人しかいなかった。

 

予算は約3億円で、制作期間は企画から完成までに約2年半かかった。

その内訳は、脚本などのプリプロダクションに半年、絵コンテから実際の作画や撮影、音響作業、完成までが約2年である。

 

『パプリカ』の国内での配給は、前作『東京ゴッドファーザーズ』から引き続き日本のソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが担当し、2006年11月25日から公開された。

関東圏3館でまず限定公開され、初日2日間で合計動員2,210人、興収3,460,500円を記録、公開8週間目に累計で71,236人を動員、興行収入1億円を突破した。

 

本作は2007年5月24日より北米でも公開を始め、配給会社も『東京ゴッドファーザーズ』の時より大きなソニー・ピクチャーズ・クラシックスに移った。

公開当初はニューヨークとロサンゼルスの2館上映だけだったが、その後公開劇場を次第に拡大して行き、最大で37スクリーン同時上映となった。

しかし、トータルの公開劇場数はこれを大きく上回り、最終的に上映館数は80館以上となった。これは限定公開と言われる方法で、都市部などの熱心な映画ファンに向けた小規模公開になる。

米国で日本アニメが劇場公開されること自体が珍しく、2000館から4000館の劇場数を必要とする全米公開が行なわれることは滅多にないため、日本の劇場アニメの米国での公開は、この限定公開が一般的となっている。

しかし、限定公開とは言え、80館を超える上映規模は、かなり大きなものとなる。

今監督の前作『東京ゴッドファーザーズ』は10館、『千年女優』は6館であった。また同じ日本アニメでは、比較的劇場数が多かった2004年の『イノセンス』で55館、2005年の『スチームボーイ』で39館であった。

興行収入は、公開19週目には87万ドル(当時の円換算115.5円で1億円)を突破し、最終的には88万2267ドル(約1億2,000万円)となった。

当時、アメリカで日本の劇場アニメが興収1億円を突破したのは2005年の『ハウルの動く城』以来2年ぶり(通算12作目)であり、なおかつ成人向けを示すR指定の劇場アニメに限れば、本作と2003年に公開された『カウボーイビバップ 天国の扉』の2作品しかなかった。

『パプリカ』は大人向けの劇場アニメが受け入れられないとされる米国で、着実な実績を築き大きな成果を残したと言える。

 

映画批評サイトRotten Tomatoesでは批評家から84%、観客から87%の肯定的評価を得ている。

2008年の米国ニューズウィーク誌日本版が選んだ歴代映画ベスト100には『パプリカ』(2006)が、日本アニメから唯一選ばれた。

世界最古の映画機関の一つである英国映画協会(BFI)が選択した、「1925年から2020年までの年代別傑作日本映画」にて選ばれた数少ないアニメ作品の中で、1988年度の『AKIRA』や2001年度の『千と千尋の神隠し』などと共に、2006年度の傑作日本映画として選ばれている。

ハリウッド・リポーター選出の大人向けアニメ映画のベスト10において8位にランクインした。

クリストファー・ノーラン監督・脚本・製作による2010年のアメリカ映画『インセプション』にインスピレーションを与えたと言われる。

 

まあ、興行的には成功とはいえないが、ヴェネチア映画祭に出展できたということは目出度いことである。

 

今後、筒井作品海外の映画祭への出展をめざす人たちがさらに現れることを祈りたい。

 

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