ハリウッド・スリラー映画 第96位「ブルーベルベット」変態とホラー! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「ブルーベルベット」

(原題:Blue Velvet

 

ブルーベルベット : 作品情報 - 映画.com

 

「ブルーベルベット」 予告編

 

1986年9月19日公開。

米国のある町を舞台にした殺人、脅迫、倒錯の物語。

「カルトの帝王」デヴィッド・リンチ監督の復活作。

観たくなかったシーンが数々ある変態ホラー作品。

 

 

受賞歴:

全米批評家協会賞作品賞・監督賞。

LA批評家協会賞監督賞。

 

希少!デヴィッド・リンチ監督映画『ブルーベルベット』スペイン版オリジナルポスター! - コレクション、趣味

 

監督・脚本:デヴィッド・リンチ

 

キャスト:

ジェフリー:カイル・マクラクラン

ドロシー:イザベラ・ロッセリーニ

サンディ:ローラ・ダーン

フランク:デニス・ホッパー

ウィリアムズ刑事:ジョージ・ディッカーソン

黄色い服の男:フレッド・ピックラー

おかまのベン:ディーン・ストックウェル

 

ブルーベルベット : 作品情報 - 映画.com

 

あらすじ:

ノース・キャロライナ州ランバートン。

製材が主産業の、絵に描いたようにのどかな町だ。

大学生のジェフリー(カイル・マクラクラン)は父の急病のため帰郷し、病院に見舞いに行った帰り、野原で人間の片耳を発見。

警察でウィリアムズ刑事(ジョージ・ディッカーソン)に渡す。

夜、刑事宅を尋ねたジェフリーは、同家の娘サンディ(ローラ・ダーン)から、「この耳の事件はディープ・リヴァー荘に住む歌手がかかわっているらしい」と聞かされる。

翌日、彼は歌手ドロシー(イザベラ・ロッセリーニ)の部屋に消毒と称して入り込み、鍵を盗み出す。

彼はサンディとスロー・クラブに行き、ドロシーが官能的に歌う「ブルー・ベルベット」を聞く。

その後、ドロシーの部屋に忍びこんだジェフリーは、彼女が戻ってきたのでクロゼットに隠れて覗き見する。

フランク(デニス・ホッパー)が来て、卑猥な言葉をわめき、酸素吸入器を使い、青いベルベットを咥えつつドロシーを犯す。

どうやらフランクは彼女の息子と夫を人質にとっているらしい。

ジェフリーはフランクを尾行し黄色い服の男(フレッド・ピックラー)と接触するところを目撃。

翌日、ドロシー宅を訪れたジェフリーは彼女と煽情的な愛を交わす。

だが、フランクに見つかり、子分たちにこずかれながら、おかまのベン(ディーン・ストックウェル)の店へ。

彼は麻薬密売人で彼女の息子はここに監禁されていた。

ジェフリーはさんざん殴られてしまう。

翌日、ジェフリーは警察に行き、黄色の服の男はゴードンという刑事であることを知り、驚く。

サンディとパーティに行って帰宅すると、全裸のドロシーが待っていて、その姿を見たサンディはショックと嫉妬で半狂乱となる。

ドロシーの部屋に行ったジェフリーは耳のない男とゴードンの死体を発見する。

フランクが現われるが、ジェフリーが射殺する。

ランバートンに再び平和がもどってきた。

 

美しい表層の裏に隠された魑魅魍魎を炙り出すデヴィッド・リンチの悪夢的世界『ブルーベルベット』|洋画専門チャンネル ザ・シネマ

 

コメント:

 

1950年代のオールディーズを背景に、のどかな田舎町に潜む欲望と暴力が渦巻く暗部を、伝統的なミステリーの手法に則って暴き出しつつ、美しい芝生とその下で蠢く昆虫という導入部に象徴されるような善と悪の葛藤が描かれる。

不法侵入や覗き見、性的虐待といった倒錯的行為が物語の重要な役割を果たしており、特に性的虐待の描写については公開と同時に論争を巻き起こしたが、結果的には興行的成功を収めることとなった。

 

本作はセンセーショナルな作品で、公開当時この作品を嫌うアメリカ国民が多かった。

特に一般国民から憎まれた理由は、映画中に登場するイザベラ・ロッセリーニ扮する女性が、身も心もボロボロの状態で素裸(乳房も下半身もむき出し)で住居から通りへと出てくるシーンが含まれていたことを最たるものとして、全般的に精神的に壊れていてマゾで、暴力シーンも多々あり、良識的な人々の道徳心や美意識をいたく刺激したことである。

 

イザベラ・ロッセリーニ ブルーベルベット - 映画deヌード

 

ゾッとする映像がいくつもあるが、冒頭で、ホースで水を撒いている男が突然倒れるシーンがある。

なぜ倒れたかは分からない。

しばらくすると、主人公の青年が現れて、道で無造作に石を拾って投げているが、その内に、「人間の耳」を見つけて、警察の届ける。

このあたりから、嫌な感じが出始める。

どうやら、水を撒いていた男は耳をやられて倒れたようだ。

 

耳と言えば、つい最近トランプ大統領が耳をライフル銃で撃たれる事件があったことを思い出す。

 

なにやら「耳をやられる」という共通の被害をほぼ同時に知ることになって、さらに嫌な感じがつのってくる。

偶然ではあるが、なんだこりゃ?

 

その後も、主人公が歌手ドロシーが住むアパートに侵入し、ドロシーが性的異常者の男に侵されたあと、どんどんドロシーと深い仲になり、惚れこまれてしまう。

ドロシーはマゾで、主人公との愛が深まると、「叩いて」「ぶって」と泣き叫ぶ。

主人公は、サンディという可愛い女の子とも相思相愛になって行き、最後にドロシーと鉢合わせするというあり得ない展開になる。

こんな話はあるわけない!

 

こんなあり得ない展開が続いて、常人が考えられるストーリーではない、狂った映画になっている。

 

やはり、デヴィッド・リンチという男は、エログロの世界と常識ある世界との区分けすらしない、異星人だったようだ。

 

しかし、結果的には高い評価を受け、多くの賞を受賞し、リンチ自身もアカデミー監督賞にノミネートされて復活を果たしたのだ。

こんな異端をも許すというハリウッド映画界の許容度の広さには、感嘆するしかない。

邦画界では、これだけぶっ飛んだ映画は受け入れないだろう。

 

 

この作品は、「カルトの帝王」デヴィッド・リンチ監督の復活作として知られている。

デヴィッド・リンチは、1980年公開の『エレファント・マン』では評価面、興行面の両方で成功を収め、第53回アカデミー賞において作品賞を含む8部門にノミネートされ、一躍知名度を上げた。

また当時、『イレイザーヘッド』のファンだったジョージ・ルーカスから『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』の監督のオファーが来たものの、これを断った。

1984年、大河SF小説『デューン』を映画化した『デューン/砂の惑星』が公開。

自身にとっては意欲作であったが、ファイナル・カットの権利を有していなかったため、配給会社により大幅にカットされてしまい、興行面と批評面の双方で失敗してしまう。

しかしこの経験から、1986年の本作『ブルー・ベルベット』では大幅な予算カットの代わりにファイナル・カットの権利を手に入れ、自身の思い通りに制作することに成功した。

本作はアメリカ国内でセンセーショナルな話題を呼んで賛否両論を巻き起こしたが、アカデミー監督賞に再びノミネートされたことで復活を果たした。

 

大幅な予算の削減と引き替えにファイナル・カットの権利を得て、その才能を存分に発揮した本作が成功を収めたことによって、リンチ監督にとっては本作が新たな転換点となったとされている。

またこの作品は、ジャンルを問わず複数の題材を多く盛り込むという以後のリンチの作風を確立させることとなる。

 

リンチの作品において、ポップ・ミュージックやロック・ミュージックが大胆に取り入れられるようになったのも本作からで、ボビー・ヴィントンの『ブルー・ベルベット』や、ロイ・オービソンの『イン・ドリームス』などのオールディーズが本作では使用されている。

特にヴィントンの『ブルー・ベルベット』は、リンチが本作を発想するきっかけとなったという。

 

 

 

 

この映画は、以下のサイトで全編無料視聴可能。

日本語ではなく中国語の字幕付き。

音声は英語。

 

 

この映画は、Amazon Primeで動画配信可能: