「ポルターガイスト」
(原題: Poltergeist)
1982年6月4日公開。
超常現象にみまわれた平凡な一家の恐怖と混乱を描くホラー映画。
スティーヴン・スピルバーグの制作・脚本。
興行収入:$76,606,280。
受賞歴:
1982年度第10回サターンホラー映画賞
脚本:スティーヴン・スピルバーグ、マイケル・グレイス、マーク・ヴィクター
監督:トビー・フーパー
キャスト:
- スティーヴ・フリーリング - クレイグ・T・ネルソン
- ダイアン・フリーリング、スティーヴの妻 - ジョベス・ウィリアムズ
- ダナ・フリーリング、フリーリング家の長女 - ドミニク・ダン
- ロビー・フリーリング、フリーリング家の長男 - オリヴァー・ロビンス
- キャロル・アン・フリーリング、フリーリング家の末娘 - ヘザー・オルーク
- レシュ博士 - ビアトリス・ストレイト
- タンジーナ - ゼルダ・ルビンスタイン
- ライアン - リチャード・ローソン
- Mr.ティーグ - ジェームズ・カレン
- ベン・タットヒル - マイケル・マクマナス
- タットヒル夫人 - ヴァージニア・カイザー
あらすじ:
クエスタ・ベルデ・エステーツなる郊外の宅地開発の行なわれた1区画に住む、不動産会社勤務のスティーヴ(クレイグ・T・ネルンン)一家。
妻ダイアン(ジョベス・ウィリアムス)と16歳の長女デイナ(ドミニク・ダン)、7歳の長男ロビー(オリバー・ロビンス)、5歳の末娘キャロル=アン(ヘザー・オルーク)が、その家族構成だ。
そして、不思議な一連の出来事はある夜、始まった。
放送が終了して何も写ってないTV画面とキャロル=アンが、言葉を交わしていたのだ。
さらに翌日、再びTVは彼女を呼び出し、家はゆれ、霊のようなものがTVから飛び出した。
それ以降、家では奇妙な現象が頻発し、嵐の夜に庭の木がロビーを襲う。
と同時に、キャロル=アンが怪しい光を帯びた戸棚に吸い込まれ、家からその姿を消してしまった。
間もなくTVの中から彼女の声が聞こえてくる…。
スティーヴは、超心理学の権威レシュ博士(ベアトリス・ストレイト)に助けを求め、博士は助手のライアンとマーティを伴い、家で科学的調査を始めた。
一方、スティーヴは、会社の社長からこの住宅地がその昔インディアンの墓地だったことを聞く。
そのため行き場を失った霊が、現われ出たのだ。
博士はタニヤ(ゼルダ・ルビンスタイン)という超能力を持った女性の力を借り、異次元への入口と化した戸棚の中へ、ダイアンが飛び込む。
そしてキャロル=アンが、その姿を現わした。
こうして一件落着したかにみえたが、霊は怒り、土中より、ミイラ化した屍が続々と現われ、ダイアンたちを襲う。
必死の思いで家を出て、車で彼らが逃げ出した時、家は異次元へ吸い込まれるように、消えていった。
モテルに一家は宿を取り、スティーヴは部屋からTVセットを外に押し出す。
コメント:
スティーヴン・スピルバーグが製作したホラー映画「ポルターガイスト・シリーズ」の第1作。
本作の制作期間が『E.T.』の公開と重なり多忙を極めたスピルバーグは、監督をトビー・フーパーに任せ、自身は製作に回った。
監督の重複契約が禁止されているためでもある。
タイトルの「ポルターガイスト」とは、「騒がしい霊」という意味。
心霊現象の一つ。
物理的な原因なしに家具が動いたり音を立てたり発光したりする現象をいう。
1986年に第2作『ポルターガイスト2』、1988年に第3作『ポルターガイスト3 / 少女の霊に捧ぐ…』が公開された。全作品がメトロ・ゴールドウィン・メイヤー製作だが、第1作のみ版権がターナー・エンターテイメントに移され、第2作以降は版権分割後の製作なのでMGMに残された。
また、本作はスピルバーグがMGMで仕事をした唯一の作品でもある。
本作公開後、2本の続編が作られたが、出演者の怪死(恋人による殺害、原因不明の病による死など、ほとんどが若年層で最年少は12歳)が相次ぐという不幸が話題となった。
そもそも、ポルターガイストというのは、本当にあるのだろうか?
ポルターガイスト現象あるいはポルターガイスト(独: Poltergeist)とは、特定の場所において、誰一人として手を触れていないのに、物体の移動、物をたたく音の発生、発光、発火などが繰り返し起こるとされる、通常では説明のつかない現象。
いわゆる 心霊現象の一種とされている。
「ポルターガイスト(Poltergeist)」とはドイツ語で、poltern(騒々しい音を立てる)+ Geist(霊)、すなわち「騒がしい霊」という意味の合成語である。
日本では心霊科学研究会の浅野和三郎が「ポルタアガイスト=騒々しい幽霊」と和訳、幽霊屋敷に起きる現象として紹介した。
実際に起こった事例として以下のような事件が挙げられている:
- 1661年 - 1663年、イギリスのテッドワースで起きたポルターガイスト現象。治安判事のジョン・モンペッソンは放浪者ドリールを逮捕し、ドリールから取り上げた太鼓を自分の屋敷に置いたが、それ以来太鼓の音が家中にこだまするようになった。さらに子供が空中に放り投げられたり、灰や排泄物がまき散らされたりするようになった、とされている。
- 1741年 - 1747年(寛保から延享年間)のころ江戸で起きた次のような事例が1839年(天保10年)ごろに出版された東随舎(とうずいしゃ)の手による『古今雑談思出草紙(ここんぞうだんおもいでぞうし)』に記述があるとされている。評定所書役(現在の裁判所書記官に相当)の大竹栄蔵が幼少のころ、父親が池尻村(現在の東京都世田谷区池尻)の娘を下働きに雇ったところ、不思議な現象が起こり始めた。天井の上に大きな石が落ちたようなものすごい音がしたり、行灯がふいに舞い上がったり、茶碗や皿などの食器が飛んだり、隣の部屋に移動したりした。現象は次第にエスカレートし、ある日には、雇った男が台所の庭で石臼(いしうす)を使い玄米を精米中、一服している間に、石臼が垣根を飛び越え、座敷の庭へと移動していた。栄蔵の父は連日怪音が続いて困り果てていたが、ある老人が怪現象のことを聞きつけて大竹家を訪ね、もしも池尻村の娘を雇っているなら村へ帰したほうがいい、と助言し、それに従ったところ怪現象が止まった、とされている。
- 1818年 - 1829年(文政年間)に書かれた『遊歴雑記(ゆうれきざっき)』の記述。ある与力が池袋村(現在の東京都豊島区池袋)出身の娘を下働きに雇い入れたところ、家の中に石が降ったり、戸棚の中の皿・椀・鉢などがひとりでに外へ飛び出してこなごなに壊れたり、火鉢がひっくり返って灰かぐらになった釜の蓋が宙へ浮き上がるなどの現象が起きた、といった記述があるとされている。
- 1848年のニューヨーク州での「フォックス姉妹事件」は、かなり有名な事件のようだ。
フォックス姉妹(フォックスしまい)とは、霊と交流できると告白したことで一大交霊ブームを引き起こし、近代スピリチュアリズムのきっかけを作ったとされる19世紀アメリカの姉妹である。アメリカ人家族、フォックス家の3人姉妹のうち、次女・マーガレット・フォックス(Margaret Fox、1838年‐1893年)と、三女・キャサリーン・フォックス(Catherine Fox、1841年‐1892年、愛称は、ケイト、ケティー)の二人を指す。(二人の生年には別の記述もあり。英語版では、マーガレットの生年は1836年。)
彼女らは後に、超常現象・心霊現象の一つとされる、ラップ現象を起こす事が可能な、言い方を変えるなら、死者の霊といわれる目に見えない存在と、音を介して対話や交信できる霊媒師(霊能者)として有名になり、その事が一大センセーションを巻き起こした。また、その現象に対して、当時のマスコミ関係者や大学の研究者を巻き込んでの、騒動や論議となったことでも有名となった。また、この発端となった出来事は、一家の住んでいた村の名をとって、ハイズビル事件とも、研究者の多くの間では呼ばれている。
この出来事がきっかけとなり、19世紀後半から20世紀初頭にかけて顕著になった、交霊会や心霊主義による心霊現象研究が盛んとなった。特に、アメリカやイギリスでこういった研究やイベントが盛んとなり、ヨーロッパ各国や日本にも、研究目的、好奇問わずに広まってゆくこととなる。
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