「ディスクロージャー」
(原題:Disclosure)
1994年12月9日公開。
女から男への“逆セクハラ”を題材にしたサスペンス・ドラマ。
興行収入:$214,015,089。
原作:マイケル・クライトン「ディスクロージャー」
脚本:ポール・アタナシオ
監督:バリー・レヴィンソン
キャスト:
トム・サンダース:マイケル・ダグラス
メレディス・ジョンソン:デミ・ムーア
ボブ・ガーヴィン:ドナルド・サザーランド
スーザン:キャロライン・グッドール
キャスリーン・アルヴァレス:ローマ・マーフィア
あらすじ:
シアトルのハイテク企業・ディジコム社の重役であるトム・サンダース(マイケル・ダグラス)はその日、上機嫌で家を出た。
先端機器開発部の統括部長のポストが決定される日で、彼が任命されることはほぼ確実だった。
しかし、出社してみると、昇進を見送られた上に、シリコン・バレーの本社から新しい女性上司が来ると知らされ、彼は大きな衝撃を受ける。
その上司、メレディス・ジョンソン(デミ・ムーア)は、社の創設者ボブ・ガーヴィン(ドナルド・サザーランド)が目をかけてきた野心溢れる美しい女性だったが、実はトムと彼女は10年前、激しく愛し合った仲だった。
その夜、メレディスは自分のオフィスに彼を呼び出し、次第に彼を誘惑する。
唇を押しつけ、愛撫する彼女の誘いにトムは負けそうになるが、瀬戸際で思い留まる。
「戻って私を抱きなさい」と叫ぶ彼女を振り切り、彼は部屋をあとにした。
翌日、トムが出社するとメレディスは会社の上層部に、トムにセクハラされたと訴えていた。
経営陣は彼女の申し立てを全面的に支持し、彼は窮地に立たされる。
同僚との信頼関係は揺らぎ、妻スーザン(キャロライン・グッドール)は怒りと困惑をぶつけてくる。
その頃から、彼のコンピューターに、ただ「友人より」とだけある発信人不明の電子メールがひんぱんに送られるようになる。
「友人」は常に、彼に適切なアドバイスを与えた。
トムは仕事と幸福な家庭生活、そして自らの誇りと名誉を取り戻すため、セクハラ訴訟では屈指の実績を持つ女性弁護士キャスリーン・アルヴァレス(ローマ・マーフィア)を雇い、メレディスをセクハラで訴えるとして相手側に揺さぶりをかける。
その結果、メレディスは折れて提訴を取り下げ、トムは歓喜する。
その頃、ディジコム社が革新的な新製品として売り出そうとしているCD―ROMプレイヤーに、重大なトラブルが見つかっていた。
製品は合併の目玉であり、このままではトムが責任を負わされることになる。
孤独と焦燥の中で真実を探ろうとするトムは、社が社運をかけて開発したバーチャル・リアリティ・システムを使って極秘データの検索を行い、生産ラインのトラブルは、メレディスが指示した結果であることを知る。
あの夜、彼女が誘ったことも、全て彼を失脚させようとする、社長も絡んだ陰謀だったのだ。
新製品発表会の当日、トムは問題点を追求するメレディスを反対に窮地に追い込み、彼女に勝利する。
メレディスは左遷され、トムの同僚の女性が昇進した。
「友人」の正体は彼女だった。
コメント:
女の上司から男の部下に対する、いわゆる“逆セクハラ”を題材に、企業内の権力闘争に巻き込まれる男の姿を描いたサスペンス・タッチの人間ドラマ。
原題の「Disclosure」とは、「暴露」のこと。
ここでは、「セクハラされた」という事実をあからさまにすることだ。
今でこそ珍しくもなくなっているが、女性から男性への逆セクハラ、パワハラの奔りとなった記念すべき名作である。
当時は女性の強い米国だからこそと思っていたが、今や日本でもけっこうこういうトラブルが日常茶飯事になってきている。
時代は変わったものだ。
昨今の草食系男子だの、肉食系女子だのというのを見るともはや逆の字も必要ないのかもしれない。
それにしても、「危険な情事」といい、「氷の微笑」といい、マイケル・ダグラスという俳優はどうしていつも危なっかしい女性に狙われる役が多いのだろう。
役柄に合っているということか?
羨ましいほど、こういう映画にはぴったりの男優である。
この映画では、サザーランドは表立って目立つ動きをしないが、実はセクハラを仕掛けるデミ・ムーアの裏で指図するワルの社長を演じている。
おそらく前からデミ・ムーアとは深い仲になっていたという設定なのだろう。
こういう役柄はまさに変幻自在のサザーランドにピッタリだ。
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