「風の中の瞳」
1959年6月9日公開。
原作:新田次郎「風の中の瞳」
脚本:楠田芳子
監督:川頭義郎
キャスト:
田村高廣 | 寺島先生 | |
有沢正子 | 堀山先生 | |
富永ユキ | 岩井まさ | |
平山芙美子 | 荒木雪子 | |
瓜生登代子 | 澄田千穂 | |
高橋民子 | 望月さか江 | |
北竜二 | さか江の父PTA会長 | |
永田靖 | 町工場主木村 | |
石川竜二 | 日野敏男 | |
坂井重男 | 川村広三 | |
杉本修 | 宮崎厚 |
あらすじ:
寺島(田村高廣)は飛塚中学に就職し、三年のあるクラスの担当教師となった。
このクラスの秀才は日野(石川竜二)で、彼はクラブ活動の議長をつとめ、女生徒・荒木雪子(平山芙美子)とコンビだった。
川村(坂井重男)は、小学校の頃から日野とせり合った仲だったが、家が貧しく、高校進学は諦めていた。
近くの八百屋を手伝い、自転車の配達をしていた。
関西へ修学旅行が行われた。川村は残留組にまじっていた。
このように川村だけが孤立していくのが、担任の寺島の心を痛めた。
--夏が来た。
有志が蓼科山へ行くことになった。
寺島は川村を誘った。
旅費は、川村が社会人となってから返済することにして、寺島が立替えたのだ。
ところが、頂上附近で雷雨にあい、一行は危うく遭難しかかった。
健脚の日野と荒木が下山し、救助隊に告げた。
全員が無事に救い出されたが、PTAが寺島の行動を非難した。
卒業期。
川村はある町工場へ就職が決まった。
高校進学組の生徒たちも、それぞれ合格の通知を受け取った。
だが、宮崎という生徒だけが失敗した。
宮崎は服毒自殺を図った。
川村がいち早く発見して救った。
かつて二人は犬猿の仲だったのだが。
卒業式の日、修学旅行の留守を気象観測していた川村らの論文が、新聞社の選考で一等に選ばれるという朗報が届いた。
寺島は川村の手を握った。
生徒たちを前にして、寺島はとっておきの歌を公開した。
コメント:
原作は、新田次郎の同名小説。
1958年に東都書房から刊行された。
この当時の新田次郎は、気象庁の職員と作家との兼業をしていた。
山岳小説と並行して、青春を生きる若者の姿を描いたものも多い。
本作も、少年少女向けに書いた中学生の物語だ。
清々しい内容の本で、読んで心が洗われると、多くの人に人気を得た小説である。
映画は、富士山をバックにでっかく「グランドスコープ」。
中学校に赴任してきた新任教師を田村髙広が演じている。
3年B組の担任となる。
勉強はできるが貧乏なので進学をあきらめている子、医者の息子で受験に失敗する子などいろいろな生徒を描いている。
有名唱歌などのメロディが流れてくる。
中学校は木造2階建て校舎。
夏山登山で、生徒たちが蓼科山へ行くが、遭難してしまう。
幸いにして救助されるが、このあたりは『八甲田山死の彷徨』(1971年)を予感させる。
この映画は、今年2月にシネマヴェーラ渋谷で上映されたようだが、その後の上映の記録は不明。
動画配信もレンタルも見当たらない。