アヌーク・エーメの映画「ローラ」 アヌーク・エーメの主演作! ジャック・ドゥミの監督デビュー作! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「ローラ」

(原題:Lola)

 

Lola (1961) | The Criterion Collection

 

「ローラ」 プレビュー

 

1961年3月3日公開。

アヌーク・エーメ主演作。

ヌーヴェル・ヴァーグ左岸派のジャック・ドゥミの監督デビュー作。

 

監督・脚本:ジャック・ドゥミ 

音楽:ミシェル・ルグラン

 

キャスト:

アヌーク・エーメ:ローラ(セシル)

マルク・ミシェル:ローラン

エリナ・ラブールデット:デノワイエ夫人

ジャック・アルダン:ミシェル

アラン・スコット:フランキー

 

Lola de Jacques Demy (1961) - Unifrance

 

あらすじ:

1日目〈出逢い〉。

陽気に騒ぐアメリカの水兵で賑うナントの港町。

全てにうんざりしたローラン(マルク・ミシェル)は自由を求めて旅に出たいと思っていた。

水兵フランキー(アラン・スコット)は仲間と共にキャバレー、エルドラドにくり出す。

目当ては踊り子のローラだった。

ローランは書店でデノワイエ夫人(エリナ・ラブールデット)と娘のセシル(アニー・デュペルー)と知り合い、娘と同じ名の幼馴染みのことを思い出す。

ローランは、紹介された仕事先でローラことセシル(アヌーク・エーメ)と短い再会をする。

彼はそこでヨハネスブルグに行く仕事を引き受けた。

デノワイエ夫人はローランの訪問を喜んでいたが、ローラとの約束が迫っているローランは慌しく辞去する。

翌日のセシルの誕生日にまた来ると言い残して。

ローランとローラは久し振りに2人だけの時を過ごした。

彼女は14歳の初恋を語り始めた。

祭りで出逢ったアメリカの水兵・ミシェル(ジャック・アルダン)。

一目惚れ。

数年後の再会。

そして、息子・イヴォンを宿したこと。

妊娠を知り、姿を消した彼。

7年経っても彼を待つ彼女。

ローランは夜が明けるまでひとりで歩き続けた。 

2日目〈14歳初恋〉。

ローランはローラを愛している自分を知る。

フランキー(アラン・スコット)と一緒にいる彼女を見つけ、後をつけた。

ローランはカフェでローラに愛を打ち明けた。優しく微笑むローラ。

彼女が愛しているのはミシェルだけだった。

ローランはフランキーのことでローラを責め、2人は喧嘩別れした。

明日シェルブールへ旅立つフランキーはローラに別れを告げに来る。

帰り道、フランキーは少女セシルに出逢い、祭りで賑う街で2人は短く楽しい時間を過ごした。

夕刻、ローランはセシルの誕生祝いに訪れた。

彼もまた明日旅立たねばならない。 

3日目〈旅立ち〉。

ローランは雇い主が密売で逮捕されたことを知る。

そして、そこに現れたローラと和解し、2人は別れた。

ローランはデノワイエ夫人から、セシルが実父の住むシェルブールへ家出したことを聞かされる。

夫人も娘の後を追い旅立った。

待てど来ぬ恋人をあきらめたローラは、エルドラドの踊り子たちに別れを告げていた。

そこへ現れたのは、白いキャデラックに乗ったミシェルだった。

熱い抱擁を交わす2人。

走る車の中からローラが目にしたのは、港に急ぐローランの姿だった。

 

Lola (1961, Jacques Demy) – Brandon's movie memory

 

コメント:

 

フランスの名匠ジャック・ドゥミが1961年に発表した長編映画の監督デビュー作。

 

初恋の男性を待ち続ける踊り子ローラを中心に繰り広げられる恋愛模様を情緒豊かに描いた名作ラブストーリーである。

 

主役を演じるのは、アヌーク・エーメ。

 

舞台は、フランス西部の港町ナント。

 

キャバレーの踊り子として生計を立てるシングルマザーのローラは、7年前に姿を消した恋人ミシェルの帰りを未だに待ち続けていた。

ある日彼女は、幼なじみの青年ローランと10年ぶりに再会する。

ローランは初恋相手であるローラへの変わらぬ思いを確信し、彼女に愛を告白するが……。

 

ローラ役に「甘い生活」のアヌーク・エーメ。

初恋の人を7年間待ち続ける踊り子と彼女に思いを寄せる男たちの物語。

 

Lola, 1961 - JazzWax

 

ヌーヴェル・ヴァーグ左岸派のジャック・ドゥミの処女作。

まだ映画音楽家としては無名であったミシェル・ルグランが担当している。

 

キャバレーで踊りながら7年前に恋した男性を待ちわびているダンサー、試用期間中の度重なる遅刻で会社を解雇された男、この男から仏英辞典をもらった母娘、そしてダンサーに愛情を注ぐアメリカ人の水兵、これらの登場人物たちを絶妙のタイミングで交差させ、すれ違わせるという軽妙洒脱な群像劇になっている。

Dr Tony Shaw: Jacques Demy's Lola (1961)

 

 

オープニングでキャデラックに乗った男が車から降りて海を見ている。

実は、この男こそダンサー(アヌーク・エーメ)の恋人であり、7年ぶりに故郷に戻ったものの、女性に会いに行くかどうか思い悩んでいる最中だったことが後半になってわかる仕掛けになっている。

 

おませな14歳の少女による水兵への背伸びした恋心、初恋のダンサーへの想いを素直に伝えられない男の煩悶、書店で会った男を娘の誕生日に自宅へ招き一時だけ女性に戻る母親の女心、バトンをリレーするように次々とエピソードがシンクロを重ね、クライマックスの劇的な再会劇へと進んでいく。

 

小粋なフランス映画の真骨頂である。

 

出会いと失恋を二つの時代で味わうという不思議な恋物語。

おませな少女時代と、大人になったヒロインを、アヌーク・エーメが演じている。

どちらも魅力的な女性なのだ。

 

いよいよ、アヌーク・エーメがフランスを代表する美人女優になろうとしていることが感じられる貴重な作品なのだ。

 

大人の恋、少女の恋、どちらもピュアな乙女心。
初恋は忘れられないものとして、ずっと心の奥底に残るのだろう。
ここに出てくる女性は、母も、彼女も、忍耐強く、強い。
 

「男と女」を思わせるようなオープニングの美しい風景。

アヌーク・エーメの息を呑むような美しさ。

 

ローラの初恋時代そのままに、少女は水兵に淡い想いを抱く。

それはこのナントの町で繰り返されてきた幾つもの物語を思わせる。

散らばっていたピースがひとつに纏まっていく見事なラストにため息。

 

映画の舞台となっているのは、フランスのナント。

国内第6位の都市である。

日本ではフランス王アンリ4世によりナントの勅令が出された歴史ある都市として知られる。

パリから南西に位置する港湾都市である。

 

昔からある港町である。

 

フランス】ナント(Nantes)の交通について | PAPILLON

 

この映画では、「少女・セシルが実父の住むシェルブールに向かって家出した」と告げている。

この続編が「シェルブールの雨傘」の中で出てくる。

 

 

この映画は、Amazon Primeで動画配信可能: