アヌーク・エーメの逝去を悼み、この女優の出自と経歴を紹介し、出演映画トップ10をレビューして行きます。
アヌーク・エーメは、70年以上のキャリアを誇る、欧州を代表する女優の一人。
欧米各国で各賞を獲得するなど国際的にも高く支持され、「映画史上最もセクシーな女優の一人」とも評された。
晩年期まで各地で名誉賞を受賞した。
1932年4月27日、パリで生まれた。
両親はともにユダヤ系の舞台俳優(コメディ俳優)。
パリ9区のミルトン通り小学校に通っていたが、ユダヤ人迫害が激しくなってきたので、アキテーヌ地方のコニャック近郊バルブジュー=サン=ティレールで育った。
ナチス・ドイツによるフランス占領期には、黄色の星を胸に身に付けるのを避ける為、母親の姓"デュラン"を名乗った。モルジヌの寄宿学校 (パンショナ, Pensionnat) に入り、この頃ロジェ・ヴァディムとも知り合った。
1947年、14歳の時にパリでその美貌からスカウトされ、アンリ・カレフ監督の『密会 (La Maison sous la mer) 』(1947年) に出演し、女優としてデビューした。
その際、この作品の役名"アヌーク"を彼女が芸名に用いた。
続いて、お蔵入りし未発表作品となったデビュー2作目 『La Fleur de l'âge 』(1947年) において、1作目から脚本で関わっていた詩人ジャック・プレヴェールが、芸名に"エーメ"を付け加えることを提案した。
高校課程にあたるリセ課程はイギリスで学び、さらに演劇学校に通った。
1958年の『モンパルナスの灯』ではアメデオ・モディリアーニの妻ジャンヌ・エビュテルヌを演じ、その美貌で世界的な人気を博した。その後、フェデリコ・フェリーニ監督の『甘い生活』(1960年)や『8 1/2』(1963年)やジャック・ドゥミ監督の『ローラ』(1961年)などに出演した。
1966年、クロード・ルルーシュ監督の『男と女』でヒロインを演じ、ゴールデングローブ賞「主演女優賞」と英国アカデミー賞「外国女優賞」を受賞し、「アカデミー主演女優賞」にもノミネートされた。
1980年には『Salto nel vuoto』でカンヌ国際映画祭「女優賞」を受賞した。
晩年期に入ると、2002年 セザール賞「名誉賞」、2003年 ベルリン国際映画祭「金熊名誉賞」などの各名誉賞を受賞している。
出演映画レビュー:
まずは、こちらから:
『火の接吻』
(原題: Les amants de Vérone)
1949年に公開されたアンドレ・カイヤット監督によるフランスのドラマ映画。
ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』を元にしたストーリー。
この映画は脚本家のジャック・プレヴェールと監督のアンドレ・カヤットの共同プロジェクトとして国際的に大きな成功を収めた。
1949年3月7日公開。
16歳の若さだったアヌーク・エーメがヒロインを熱演。
ロミオとジュリエットをモデルにしたラブ・ストーリー。
キャスト:
アンジェロ:セルジュ・レジアニ
ジョルジア:アヌーク・エーメ
ラファエレ:ピエール・ブラッスール
ベッティナ:マルティーヌ・キャロル
あらすじ:
ムラーノの若いガラス細工職人アンジェロ(セルジュ・レジアニ)はガイドのラファエレ(ピエール・ブラッスール)と共に見学に来た映画女優のベッティナ(マルティーヌ・キャロル)を好きになってしまう。
ベッティナは、新作映画『ロミオとジュリエット』の撮影で使用する調度品を探しにプロデューサーと共にムラーノを訪れていたのだった。
ラファエレはベッティナらをサン・マルタン運河にほど近いマリア邸に案内する。
マリア家はかつてはヴェニスの名門貴族であったが今は没落しており、当主エットォレは家名を誇り昔日を夢見るだけ。
従弟アメデオは戦傷が元でおかしくなって機関銃を射つ真似事ばかり。
エットォレの妻ルチア、家政婦レティティアも風変わりで、ただ一人、エットォレの娘ジョルジア(アヌーク・エーメ)が例外であった。
ラファエレは、マリア邸を財政的に援助しており、ジョルジアの婚約者だと主張していた。
ジョルジアはベッティナに働き口を頼み、翌日、撮影所に行ってベッティナのスタンドインの仕事を得る。
アンジェロは、ベッティナを一目見ようと撮影所を訪れるが、エキストラと間違えられ衣裳を着せられる。
撮影は第二幕第二場、有名なバルコニーのシーンだった。
ロミオ役の役者が高い縄梯子に尻ごみしたため、アンジェロが急遽スタンドインとして縄梯子に登らされる。
バルコニーにはジュリエットに扮したジョルジアがいた。
アンジェロとジョルジアは、顔を見合わせた瞬間に激しい恋におちてしまう。
ヴェローナの旧跡でのロケーションにはジョルジアとアンジェロも同行することになり、2人は夢のような日々を過ごす。
しかし、ジョルジアの保護者として同伴していたレティティアの密告で2人の想いはラファエレの知るところになる。ジョルジアを連れ戻しにきたラファエレは、一夜を過ごしてバルコニーにいた2人の姿を目撃して激怒。
与太者を雇ってアンジェロを殺害させようとしたが失敗する。
家名を重んじるエットォレは娘に手を出したアンジェロを憎み、レティティアを使ってアンジェロをマリア邸に呼び出して殺害しようとしたが、これもアンジェロは避ける。
しかし、アメデオの機関銃弾を受けてアンジェロは重傷を負ってしまう。
マリア邸を訪れていたラファェレもこの機関銃の巻ぞえで即死した。
アンジェロは重傷を負ったまま撮影所にたどりつくが、セットの陰でジョルジアの腕に抱かれながら息を引き取った。ジョルジアもガラスの破片で動脈を切って後を追ったのであった。
コメント:
メッセージ映画ではなく、恋愛映画。
二重構造の恋模様が面白い。
エーメの若かりしヌードが見られる。
プチヌードだが。
けっこう豊満なバストのようだ。
(着付けのシーン)
エーメは、16歳ながら堂々と恋愛映画のヒロインを演じており、将来性を感じさせる。
やはり大女優になる人は、若い時から存在感がある。
相手役のアンドレ・カイヤットは、フランス映画で多くの有名作品に出演しているイケメン俳優。
代表作は、情婦マノン(1949年)、火の接吻(1949年)、神々の王国(1949年)、輪舞(1950年)、肉体の冠(1952年)、いぬ(1962年)、山猫(1963年)、ジャガーの眼(1965年)、冒険者たち(1967年)。
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それがこちら:
フランス語のままだが、映像はきれい。
29分経過した頃に、プチ・ヌードが現れる。