「BUNGO ささやかな欲望 人妻」
2012年09月29日公開。
永井荷風の短編小説を映画化。
オムニバス映画のひとつ。
原作:永井荷風「人妻」
脚本:山田太郎
監督:熊切和嘉
キャスト:
年子:谷村美月
桑田:大西信満
あらすじ:
桑田(大西信満)は町はずれの家を間借りし、快適な新生活を始める。
しかし、天真爛漫で豊満な家主の妻・年子(谷村美月)の桑田に対する何気ない言動や、年子の夫婦生活が気になり、まだ若く独身の桑田は悶々とする。
ある日、年子の夫が家を空けた夜、桑田が帰宅すると、縄で縛られた年子の姿があった……。
コメント:
文豪の名作短編を、注目の俳優と監督が映像化したオムニバス2部作の「淑女編」。
ここには、宮沢賢治原作「注文の多い料理店」、三浦哲郎原作「乳房」、永井荷風原作「人妻」が収録されている。
本ブログでは、永井荷風原作の「人妻」のみレビューする。
原作は、永井荷風の短編小説「人妻」。
YouTubeに朗読がアップされている:
原作は、短編ながら、人妻の性生活を描いている粋な作品であり、永井荷風らしい女性の性を好意的に綴っている名作である、
それをオムニバス映画の一編として映画化した作品も、ヒロインを演じた谷村美月の色香が半端なく、きれいに撮れている。
この女優を主人公にした「墨東奇譚」をぜひ観てみたい。
監督をつとめた熊切和嘉は、現役バリバリの監督で、これまで多くの名作を世に出している。
この人は北海道出身で、大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業。
卒業制作の『鬼畜大宴会』が、自主映画のコンペティション「第20回ぴあフィルムフェスティバル」で準グランプリを受賞した。
2016年にアメリカのWebサイト『Taste of Cinema』が公開した「心がつぶれそうになる傑作映画20本(20 Great Soul-Crushing Films That Are Worth Your Time)」では、日本映画としては本作が唯一のランクインとなっており、第19位を獲得している。
この作品の脚本は当時、教授であり映画監督の中島貞夫から学生離れした内容とあまりに長い原稿枚数に本当にやるのかと問われた。
この作品は、タオルミナ国際映画祭ではグランプリを受賞。
2001年、第10回PFFスカラシップ作品『空の穴』で、劇場デビュー。
2014年、モスクワ国際映画祭において、二階堂ふみの出世作にもなった『私の男』が最優秀作品賞を受賞した。
この映画をはじめ、熊切の作品は日本国内外の映画祭に多数出品・招待されている。
2014年12月より1年間パリに留学。
2023年、第25回上海国際映画祭では菊地凛子主演の『658km、陽子の旅』が最優秀作品賞、最優秀脚本賞、最優秀女優賞の3賞を受賞した。
この映画は、DMMでレンタル可能: