ハリウッド・スリラー映画 第15位 「脱出」 ハンフリー・ボガート主演のサスペンス映画! | 人生・嵐も晴れもあり!

人生・嵐も晴れもあり!

人生はドラマ!
映画、音楽、文学、歴史、毎日の暮らしなどさまざまな分野についての情報やコメントをアップしています。

「脱出」

(原題:  To Have and Have Not

 

 

「脱出」 予告編

 

 

1944年10月11日米国公開。

1947年11月11日日本公開。

アーネスト・ヘミングウェイ原作の映画化。

興行収入:$3,652,000

 

 

脚本:ジュールス・ファースマン、ウィリアム・フォークナー

監督:ハワード・ホークス

出演者:

  • ハンフリー・ボガート
  • ローレン・バコール
  • ウォルター・ブレナン
  • ホーギー・カーマイケル
  • ドロレス・モラン
  • ダン・シーモア
  • ウォルター・サンド
  • シェルドン・レナード

 

 

あらすじ:

フランスがヒットラーに屈服した頃、フランス領マルチニク群島でのことである。 

アメリカ人のハリー・モーガン(ハンフリー・ボガート)はエディーを運転手として、大型モーターボートの賃貸をしていた。

釣りに行ったジョンソン(ウォルター・サンド)を乗せて帰港すると、ホテルの亭主ジェラールが同志救出に力を貸してくれと申し込まれた。

ジェラールはドゴール派のこの地方での指導者だった。

不偏不党のモーガンはそれを拒絶した。

モーガンがジョンソンと共にトリニダッドから飛行機で来たアメリカ美人マリー(ローレン・バコール)と食事をしていると、ヴィシー政府の警視ルナール(ダン・シーモア)が取り調べにきた。

ジョンソンは流れ弾にあたって死に、モーガンは所持の金品を仮差し押さえされた。

しかもルナールはマリーのほほをなぐるという乱暴さであった。

これにはモーガンも憤慨しないではいられず、ジェラールに協力を申し出た。

そしてモーガンはマリーがアメリカに帰る飛行機を用意してやり、近くの小島からポール・ド・ビュルサックとその妻エレーヌ(ドロレス・モラン)を救い出す。

ところがヴィシー側の警備艇に見咎められ、モーガンはその警備艇の照明燈を射ったが、ポールが肩を負傷した。

モーガンはホテルの地下室でポールの肩から銃弾を抜き取る手術をしてやる。

一方マリーは飛行機で帰らず、ホテルのピアノ伴奏で歌をうたっていたが、モーガンは危機が迫っているのを感じ、マリーとエディー(ウォルター・ブレナン)に旅立つ準備を急がせる。

手術をすませた後エディーが行方不明になっていたが、ルナールの口ぶりで彼が人質になっていることがわかる。

ルナールはポール夫妻の所在を知らせろと言うのだった。

モーガンはルナールの用心棒を倒して、ルナールにエディーの放免状を書かせる。

そしてマリー、ポール夫婦を客として、モーガンの船はマルチニクを脱出することができたのである。

 

 

コメント:

 

ストーリーは、ほぼ第2の「カサブランカ」だ。

本作の最大の見どころは、ローレン・バコール(19歳)。

彼女は映画初出演だが、本作が完全に彼女を観る映画であるとの評論家の一致したコメントになっている。

慣れた手つきでマッチを擦り、絶妙のタイミングでクールに差し出す。

キスの後、呼ぶときには言葉は要らない、ただ口笛を吹いて、と洒落たセリフを言い捨てる。

別れをサラリと告げながら、茶目っ気タップリに腰を振る。



粋な物腰とハスキーボイスを携えて、紫煙にくぐもった酒場や夜の窓辺に佇むその姿を観ると、これほどハードボイルド映画に相応しい女優もそうザラにはいまい。

この映画、ボギーよりも、ホークスよりも、そんなバコールがメッタヤタラとカッコイイ映画。

彼女が登場するだけで画面の空気がキュッと引き締まる、スター映画の逸品だ。

 

 

 

バコールとピアノのクリケットとの会話が粋だ。

ラストのバコールの幸せに溢れた笑顔が際立つシーンがこちら:

(スリムというのは、バコール扮するマリーのニックネーム)

スリム「お別れよ。ありがとう」

クリケット「スリム。幸せか?」

スリム「どう見える?」

クリケットがピアノを弾く。

それに合わせて腰を振りながらボガートの方へ来る。

ボガートに満面の笑みを投げる。

The End。

ボギーとバコールは、大ヒットした次作「三つ数えろ」(1946)の撮影終了3日後に婚約した。

監督のホークスは自分が見出したバコールとボガートの撮影中の接近に大いに不満だったが、「本物の恋にはかなわない」と言った。     

 

我らがボギーは、生涯女性に不自由しなかった幸せ者である。

彼の結婚遍歴をリストアップしてみると以下の通り:

ヘレン・メンケン(1926-1927)
Mary Philips (1928-1937)
Mayo Methot (1938-1945)
ローレン・バコール (1945–1957)

 

これを見ると、ボギーが全部で4回結婚しているが、その合間がないことに気づく。

まるで無駄なく転職するように、きっちりと結婚生活を継続しているのだ。

そして、最後の妻・バコールとは、彼があの世に行く寸前まで一緒だったという。

 

今わの際に、むせび泣くバコールに対して、

ボギーは:

 "Goodbye Kid. Hurry back"

「さようならキッド。急いで戻れ」

と妻のローレン・バコールに告げたという。

 

何と彼は、死の寸前まで、スマートで、うろたえることなく、ダンディだったのだ!

これぞ、ボギーの真骨頂だ。

 

その後、彼女は子供を迎えに病院のベッドサイドを少し離れた。

彼女が子供と共に戻ってきたときは、彼はもう昏睡状態になっており、もはや意識を取り戻すことはなかったという。
 

「Kid」というのは、ごく親しい女性に語りかける際に、ボギーが好んで使った言葉のようだ。

あの「カサブランカ」で、恋人だったバーグマンに何度も語った

「君の瞳に乾杯!」。

この原語は

「Here's looking at you, kid.」

だった。

 

 

この映画は、Amazon Primeで動画配信可能:

https://www.amazon.co.jp/%E8%84%B1%E5%87%BA-%E5%AD%97%E5%B9%95%E7%89%88-%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%88/dp/B00UMAR65U