ハリウッド・スリラー映画 第12位 「キング・コング」モンスター・アドベンチャー! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「キング・コング」

(原題:King Kong

 

キング・コング (1933年の映画) - Wikipedia

 

「キング・コング」 予告編

 

1933年3月2日公開。

ハリウッド初のモンスター・アドベンチャー映画。

興行収入:$1,856,000。

 

キャスト:

アン・ダーロウ:フェイ・レイ

カール・デンハム:ロバート・アームストロング

ジョン・ドリスコル:ブルース・キャボット

 

King Kong (1933)

 

あらすじ:

カール・デンハムは猛獣映画等の撮影で儲けている男であるが、ノルウェーの一帆船の船長から手にいれた秘密の楽園によって世界未知の島に怪獣を撮影しに出かけた。

従来デンハムの映画には1人の女性も出なかったので、色気がなさすぎるという評判だったが、今度の遠征撮影には、危うく倫落の淵に陥ろうとしていたアン・ダーロウという美人を救い、彼女を主役として同伴することとなった。

一行は数週間の航海の後、スマトラ島の西南遥かに、普通の海図には記載されていない一孤島をついに発見した。

この島にはどくろの形をした山と大きな城壁があって、コングという巨大なゴリラが棲んでいると言われていた。

コングは島の「ぬし」で、原住民たちは毎年一人の処女を生け贄として捧げる風習があった。

そしてデンハム一行が上陸した時は、この祭典を行う時季に相当していた。

島の酋長は美しいアンを見て、黄金の女であると喜び、コングに捧げるには絶好と、夜半船に忍び込んでアンを誘拐した。

アンはかくて祭壇に縛り付けられ、コングに奪われた。

数週間旅行を共にしている間にアンに恋を感じるようになっていた若者ジョン・ドリスコルは、身を挺して彼女を助けに赴いた。

コングの棲む深山には前世紀の怪獣が棲息していて、コングと闘うのであった。

ドリスコルは苦心の結果、コングの虚を利してアンを救いだした。

そして、生け贄を奪還されて怒って襲来したコングは、毒ガス弾のために気絶して倒れ、生け捕られてしまう。

デンハムは怪獣コングをニューヨークに連れ帰り大儲けをしようと考えた。

ニューヨークの大劇場で初演の日、舞台に鉄鎖で縛りつけられたコングは、新聞社写真班のフラッシュがアンを殺すと誤解して驚き、必死の力をだして厳重な鉄輪と鉄鎖を切って逃げだした。

コングはニューヨークの雑踏中に横行して、高架電車を破壊し、アンをホテルの窓から奪い、ニューヨーク第一の摩天楼エンパイア・ステート・ビルの頂上に登った。

警察は飛行機4機を出動させて機関銃を乱射して、ついにコングを倒し、アンを救うことに成功したのであった。

 

キングコング(1933年)│番組一覧│映画専門チャンネル「ムービープラス」

 

コメント:

 

ハリウッド初の本格的モンスター・アドベンチャー映画である。

 

『キング・コング』以前にも「ジャングル映画」の伝統が存在し、ドラマであれドキュメンタリーであれ、こうした映画では『Stark Mad』のように「研究のためにジャングルに向かった研究者・探検隊が森の中で怪物のような異形な生物を発見する」というパターンが確立していた。

ジャングル映画では科学知識は常に覆され、それがジャンルの活力や魅力、耐久性に繋がっていた。

 

20世紀初頭に霊長類を飼育している動物園は少なかったため、「映画で霊長類を見たい」という人々が多数存在した。この要望に応える形で、リュミエール兄弟は西洋人が足を踏み入れたことのない場所に映画ドキュメンタリー班を派遣し、ジョルジュ・メリエスはトリック撮影を駆使して後年の『キング・コング』のような幻想的な映画を製作した。

 

こうした中で1913年に『Beasts in the Jungle』がアメリカで公開され、同作のヒットにより『ターザン』などの類似するジャングル映画が多数製作された。

その中でも1925年に製作された『ロスト・ワールド』は、後に『キング・コング』を手掛けるウィリス・オブライエンのチームによる特殊効果によって映画史に残る作品となった。

また、『キング・コング』の共同監督アーネスト・B・シュードサックは『チャング』で猿を題材にした経験があり、『ランゴ』ではジャングルを舞台に猿を題材にした物語を描いていた。

 

1930年にはコンゴ・ピクチャーズが「生きた女性がマンモス・ゴリラの犠牲になった姿を描く、議論の余地のない本物のセルロイド・ドキュメント」と称するモキュメンタリー映画『インガギ』を製作した。

同作は「黒人女性がゴリラと性行為した結果、極めて猿に近い子供を産む」という描写から、現代では人種差別的なエクスプロイテーション映画として認識されているが、公開当時は400万ドルの興行収入を記録し、1930年代に最も大きな興行成績を収めたヒット作品の一つだった。

 

『キング・コング』の共同監督メリアン・C・クーパーは『インガギ』を『キング・コング』製作に影響を与えた作品には挙げていないものの、RKOが『キング・コング』の製作を承認した背景には『インガギ』に代表されるような「ゴリラ+セクシーな女性=莫大な利益」という図式が存在したといわれている。

 

クーパーがゴリラに魅せられたのは、少年時代にポール・デュ・シャイユの『赤道アフリカの探検と冒険』を読んだことに始まり、『四枚の羽根』の撮影のためにアフリカのヒヒを研究したことがきっかけだった。

彼はウィリアム・ダグラス・バーデンの『The Dragon Lizards of Komodo』を読み、「アフリカのゴリラとコモドオオトカゲが戦う」というシナリオを執筆した。

シナリオではメインキャラクターをコモドオオトカゲと戦うゴリラ一頭に絞り、「ロマンス要素を軽視している」という批判に応えるために女性を探検隊メンバーに加えた。

舞台は離島に設定され、ゴリラはニューヨークで劇的な最期を迎えることになっていた。

 

クーパーはパラマウント・ピクチャーズに脚本を売り込んだが、同社は世界恐慌の時期にアフリカやコモド島へのロケーション撮影が必要となる企画は「予算が膨大になる」という理由で難色を示した。その後、彼はデヴィッド・O・セルズニックの招きでRKOのエグゼクティブ・アシスタントに就任し、同時に「好きな映画を作って良い」と確約された。

クーパーはすぐに『猟奇島』の製作に取り掛かり、シュードサックを監督に起用した。

主演にはロバート・アームストロングとフェイ・レイを起用し、巨大なジャングルの撮影セットを作成した。

同作の製作が軌道に乗ったころ、クーパーはオブライエンを招いて恐竜の住む島に漂着した人間の冒険を描く『Creation』の製作に取り掛かった。

彼はオブライエンのストップモーション・アニメーションには感銘を受けなかったが、コモドオオトカゲの代わりにオブライエンの恐竜アニメーションとスタジオにあるジャングルの撮影セットを利用することで、自分が理想とするゴリラを題材にした映画を低コストで製作できることに気が付いた。

コングがエンパイア・ステート・ビルディングで最期を迎えるという構想は、このころに思い付いたといわれている。

 

 

 

 

RKO幹部はクーパーの企画に慎重な姿勢を見せたが、彼はフェイ・レイ、ロバート・アームストロング、ブルース・キャボットの起用と、オブライエンの恐竜の模型を持参したプレゼンテーションを行い、RKOから製作の承認を取り付けた。

これを受けたクーパーは『Creation』の製作を中止し、同作のスタッフを『キング・コング』の製作に動員した。

 

脚本家にはイギリスのベストセラー作家で、PKOに採用されたばかりのエドガー・ウォーレスが起用された。

クーパーはウォーレス作品の商業的な魅力を理解しており、映画を「エドガー・ウォーレスの小説を原作にした映画」として宣伝することを計画した。

ウォーレスは1932年1月1日から脚本の執筆を始め、同月5日に初稿『The Beast』を完成させた。

クーパーは初稿に多くの追加作業が必要と考えていたが、ウォーレスは脚本修正を始めた直後の2月10日に死去している。

ウォーレスの初稿は『キング・コング』には最終的に一切採用されなかったが、クーパーは契約時の約束を守り、『キング・コング』にウォーレスの名前をクレジットしている。

クーパーはウォーレスに代わり、『猟奇島』で脚本を手掛けるジェームズ・アシュモア・クリールマンを起用し、共同で『The Eighth Wonder』と題した複数の草稿を書き上げた。

ウォーレスの初稿には「脱走した囚人を船で運ぶ」というシーンがあり、彼が描いた「猛獣ハンターのダンビー・デンハム」は「映画監督カール・デンハム」に、ヒロインの「シャーリー」は「アン・ダロウ」に、「シャーリーの恋人である囚人ジョン」は「一等航海士ジャック・ドリスコル」にそれぞれ変更された。

デンハムのキャラクターは、当時アフリカで危険動物を捕獲しヨーロッパで公開して時の人となっていたドイツの動物商カール・ハーゲンベックがモデルとなっている。

 

Rotten Tomatoesには64件の批評が寄せられ、支持率98%、平均評価9/10となっており、「『キング・コング』は怪物の魂を探求し、観客が悲鳴を上げたり泣いたりする映画だが、それはコングの画期的な特殊効果によるところが大きい」と批評している。

Metacriticでは12人の批評に基づき90/100の評価となっている。

バラエティ誌は『キング・コング』を力強い冒険映画と評しており、ニューヨーク・タイムズも魅力的な冒険映画と評している。

ザ・ニューヨーカーは「バカバカしい」としながらも、「この映画には、確かに興味を惹かれるシーンが数多くある」と批評している。

ニューヨーク・ワールド・テレグラムは「映画界で最も巧妙なカメラ・トリックを駆使した、あらゆるスクリーン・スリラーの中でも最高の作品の一つ」と批評している。

シカゴ・トリビューンは「映画スタジオから登場した、最も独創的でスリリング、そして巨大な新しさの一つ」と批評している。

 

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