永井荷風の映画 「踊子」 淡島千景、京マチ子、船越英二の共演! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「踊子」

 

踊子 - Maison de la culture du Japon à Paris

 

「踊子」 全編

 

1957年2月12日公開。

浅草六区で踊り子をしている女性の人生を描く。

 

原作:永井荷風「踊子」

脚本:田中澄江 

監督:清水宏 

 

キャスト:

淡島千景 花村花技
京マチ子 妹千代美
船越英二 山野
田中春男 田村
藤田佳子 踊子てる子
穂高のり子 踊子とし子
町田博子 アパート管理人
楠よし子 お妾
酒井三郎 楽屋番
平井岐代子 女将
阿井美千子 はぎ江

 

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あらすじ:

浅草六区。シャンソン座楽士山野の妻花枝は同じ座で踊り子をしている。

ある日、彼女を頼って金沢から、バスの車掌をしていた妹千代美が尋ねて来た。

ただでさえ狭い六畳一間のアパート暮しに女二人、男一人の同居となる。

遂に蒸し暑い四月の晩、千代美と山野は関係を結んでしまう。

千代美は振付師田村について踊子修業をやる中に田村とも関係をつけ、盗み癖を出して山野を心配させる。

だが、千代美は舞台に出だすや、体のよさで断然ピカ一の存在となる。

その頃、千代美から妊娠を告げられ驚いた山野は、田村からも赤ん坊の父親は自分と告白され、千代美の無軌道ぶりに暗然とする。

千代美の相手が夫山野と知った花枝は嘆き悲しむが、結局はまた仲直り。

その年の大晦日、千代美は女児を出産し、山野と花枝は子種のない折柄、自分達の子として育てる決心をする。

楽屋に赤ん坊を連れ込み、すっかり母親らしく振舞う花枝をよそに、千代美は芸者になると出奔。

忠告に赴いた山野も逆に誘惑されて同泊してしまう。

千代美の子は雪子と名付けられ、すくすくと育つ。

踊子と母親兼業の花枝はいたいたしい程やつれてきた。

そんな時、芸者をやめ鋳物工場主矢木に囲われている、と千代美がやってくる。

山野と花枝は話し合いの上、住み馴れた浅草を出ようと決意。

その年の秋に、山野の兄の実家であるお寺で保育園を経営する二人の許へ、矢木と別れたと千代美が又、訪れて来る。

唖然としつつも涙する花枝。

実の娘・雪子や山野にも会わず黙って帰るという千代美の頬にも大粒の涙。

立ちつくす二人の女のことも知らず、山野は子供達に囲まれてオルガンを弾いていた。

 

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コメント:

 

原作は、永井荷風の同名短編小説。

浅草の踊子が、荒廃・緊迫した時代の中を、逞しく生きる姿を活写した名作である。

 

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お人好しの姉・淡島千景と、目の前の欲望に負けてしまうだらしない亭主・船越英二、その二人を振り回す小悪魔の妹・京マチ子。

 

映画は、浅草で踊子をしている女性のお話である。

人間の業がじんわり伝播してくる作品。


浅草、あれは仁丹塔なのか、それとも戦後建て直された十二階なのか、浅草のシンボルの塔が見える住宅街のアパートで、淡島千景と船越英二の夫婦が目覚める場面から映画は始まる。

 

淡島は浅草の劇場で働く踊子、船越は演出家兼伴奏のヴァイオリン奏者で、二人の会話から彼らが劇場とアパートを行き来する生活に倦んでいること、せめて子供でも作りたいと思いながら出来ずにいることなどが窺える。


そんな淡島千景を頼って故郷から妹の京マチ子がやって来る。

京は踊子の仕事にすぐさま興味津々で、京に対して好色な視線を向ける振付師・田中春男の推薦もあって、彼女は踊りの稽古を始める。

 

踊子の作品情報・あらすじ・キャスト - ぴあ映画

 

そして彼女は、ある夜遅く帰って来て、既に寝ていた淡島の横で寝られずにいた義兄・船越英二を誘惑し、自分の布団に誘って口づけを交わし、翌朝には早く出掛けて行った淡島をよそに船越と関係を結んでしまう。
その後、京マチ子は振付師の田中春男とも肉体関係を結ぶが、義兄・船越英二のほうも京の小悪魔的な魅力に惹かれて関係を重ね、仕事をサボって花やしきで京と遊ぶ始末。


京マチ子は妊娠し(姉の淡島千景も気付く)、田中春男は自分の子供だと思うと京の義兄・船越英二に申告するが、後に船越も京と関係していたので、どちらが赤ん坊の父親なのかはうやむやになる。
そして淡島も、妹の京と夫・船越が関係していたことを知るに至る。

淡島は、一度は妹も夫も許せない気持ちになるものの、妹に赤ん坊を育てることができるのかという思いや、いつまで経っても自分の子供が出来ないという思いからか、京が産む赤ん坊を自分の手で育てると言い始める。

優柔不断な船越は反対も賛成もしない。


京マチ子は女の赤ん坊を産み、病院で知り合った某に感化されて踊子は辞めて芸者になる。

船越英二は芸者になった義妹・京に隅田川沿いに呼び出され、誘われるまま逆さクラゲにフラフラと入る優柔不断さを見せるが、さすがにそれ以上の深みには嵌まらずに帰る。

自宅アパートでは妹の産んだ赤ん坊を育てる妻・淡島がいる。


数ヶ月後、京マチ子は外車に乗って姉・淡島千景のアパートにやって来て、芸者はもう辞めて、某パトロンの二号になったことを告げ、去ってゆく。

京と船越英二の夫妻は、浅草の劇場仕事を辞め、子育てに相応しい田舎に引っ込むことを決める。

 

さらに数ヶ月後、田舎の町に京マチ子がボストンバッグと土産の人形を持って現れる。

海を望む高台の幼稚園で、淡島千景は先生として、船越英二はオルガン弾きとして働いており、彼らが育てている女の子も幼稚園児の中にいる。

京は土産の人形を姉・淡島に託しただけでその幼稚園から立ち去ってゆき、映画は終わる。


なかなかどうして味わい深い映画である。

 

永井荷風原作の映画の中では、最も理解しやすいおとなしい作品といえる。

 

永井荷風は、浅草の踊り子たちに相当親しく付き合ったようだ。

 

これは浅草の踊り子たちと歓談する永井荷風:

 

濹東キネマ on X: "フランス座の踊子に囲まれた永井荷風先生。後列左にはフランス座創業者の松倉宇七。戦前は三友館という映画館だったフランス座。その三友館が9/6一夜限り復活!http://t.co/7K4FSVQMaY  http://t.co/XsGAdg4xA1" / X

 

この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。

 

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