「ミセス・ダウト」
(原題: Mrs. Doubtfire)
1993年11月24日公開。
ロビン・ウィリアムズの女装シーンが大うけ。
興行収入:$441,286,195。
脚本:ランディ・メイエム・シンガー、 レスリー・ディクソン
監督:クリス・コロンバス
出演者:
ロビン・ウィリアムズ、サリー・フィールド、リサ・ジャクブほか
登場人物:
- ダニエル・ヒラード / ミセス・ダウトファイア
- 本作の主人公で3人の子供に愛される父親。俳優・声優として働いており、演技の実力は確かなものの、自分の信念を曲げない頑固な性格が災いして一度周囲と意見がぶつかり合うとすぐ仕事を投げてしまい、まともな仕事が出来た試しが無い。根明でポジティブに物事を考える傾向があり、子供に対する愛情と責任感は強い。一方で家庭内の事情についてはてんで無頓着で、長年ヒモ同然の生活を続けていた上に家事にも協力しなかったため、ついに妻ミランダから愛想をつかされて離婚を言い渡され、親権を失ってしまう。
- その後ミランダが家政婦を募集すると知った彼は、子供達のそばにいたい一心で、映画の特殊メイクの業界で成功していた兄のフランクの力を借り、お淑やかな英国出身の老婦人に化ける。 “ダウトファイア” という名前の由来は、ダニエルが面接申し込みの電話中に妻から名前を聞かれたとき、偶然目にした新聞に放火の疑い(Doubt Fire:ダウトファイア)の記事からとっさに名乗ってしまったためである。ミセス・ダウトファイアとして生活する時は周りからは品格がある女性として好印象だが、失敗をしてダニエルの地が出るたびに強烈でユーモラスな印象を残す。ダウトファイアに変身してからはこれまでの自堕落な生活を改め、家事全般と子供の宿題や勉強に対して厳格になっていく。当初は今までのだらしない生活が災いして料理はおろか部屋の掃除すらままならない有様であったが、家政婦としての役を追及すると共に料理や家事を一から勉強していき、家族に無くてはならない存在へと変化する。
- ミランダ・ヒラード
- ダニエルの妻でインテリアデザイナー。仕事に関しては相当なやり手だがそれゆえにダニエルから「仕事人間」と揶揄され、彼とは反対に何事も深刻に真剣に考える「息を抜けない」性格な上、仕事が多忙なためヒステリックになりがちである。ダニエルとは結婚当初は仲が良かったが失業してだらしない生活を続ける夫にとうとう堪忍袋の緒が切れ、離婚の意思を告げる。離婚後も職がなくだらしない生活を送る夫に嫌気が差し、子供を遠ざけていた。家政婦の面接の際、家庭の事情を見抜いていたダウトファイアにすぐに好印象を持ち採用する。ダウトファイアが来てからは生活が楽になり、次第に笑顔を取り戻していく。
- スチュワート・ダンマイア
- やり手のビジネスマン。ニックネームはスチュー。ミランダの大学時代の恋人。仕事でミランダと再会し再び付き合い始める。二枚目で性格的にも他者を思いやる優しさがあり、全く非の打ち所がない。唯一の欠点は唐辛子アレルギー持ちなことだが、食事などの必要な場面ではきちんと先んじて説明している。
- 家族に溶け込んで行くスチューを見たダニエルは劣等感を感じながら嫉妬し、ミセス・ダウトの姿を利用して嫌がらせを始める。プールで遊んでいた時にダニエルの悪口をこぼしたところダウトファイアに立ち聞きされ後頭部にフルーツを投げられたり、レストランで食事を注文した際「唐辛子アレルギーだからかけないで下さい」と断ってもダウトファイアの陰謀で厨房でジャンバラヤに唐辛子を混入されるなどの憂き目に遭う。最終的には唐辛子のせいで呼吸困難を起こし、やりすぎたと慌てたミセス・ダウトに助けられたが、その際に正体がダニエルだということがバレてしまう。
- 当初の脚本では裏表のある二枚舌の悪役として描かれていたが、監督が「彼を悪役にしたら作品に説得力が持てない」と考え、ダニエルとは対照的な聖人君子へと徹底的に書き換えられた。
- フランク・ヒラード
- ダニエルの兄。映画業界のメイキャップアーティスト。典型的なお姉系であり、ダニエルが女装する際、とても喜んでいた。フランク曰く、ダウトファイアは母親にソックリである。
- ジョナサン・ランディ社長
- ダニエルがフィルムの発送係として雇われることになった放送局の社長。長年放送している子供番組の視聴率が低いことに悩んでいる。
- グロリア・チェイニー
- ヒラード家の隣人。ダニエルとは犬猿の仲で、派手な誕生パーティのことでミランダに苦情をだして離婚の原因を作る。趣味はガーデニングだが、未公開シーンでは家族を奪われたダニエルがその腹いせにミセスダウトに扮した際にとんでもない助言をしたせいで、庭の園芸が全て台無しになる。
- リディア・ヒラード
- ダニエルの娘。長女。しっかり者で、父親のダニエルの事を心配しながら、離婚を告げたミランダを憎んでいた。離婚が原因で反抗的になりダニエルはもちろん、ミセス・ダウトにさえも当初は冷たく当たっていた。
- クリストファー(クリス)・ヒラード
- ダニエルの息子。サッカーが好き。勉強嫌いで成績が悪い事をミランダから心配されている。
- ナタリー・ヒラード
- ダニエルの娘。次女。『スチュアート・リトル』の絵本が好きで、寝る前にダニエルに読んでもらうことを楽しみにしている。
- ミセス・セルナー
- ダニエルが親権を得るために、国選で生活環境をチェックするために派遣された家庭訪問員。毒舌で、役者としてダニエルが行った即興劇を『それ自分でおもしろいと思ってるの?』とあしらう。ダニエルが訪問日程を忘れたためにミセス・ダウトに扮した時に鉢合わせ、ダニエルがとっさに(「ミセス・ダウト」としてダニエルの)姉と名乗ったため、その後ミランダにダニエルは女と同居していると情報が流れてしまう。
- オーディオ・コメンタリーではロビンのコミカルな演技に周りのスタッフは笑いを必死にこらえていたのに対して、セルナー役のヘイニーは一切動じずに役に臨んでおり、監督はベテラン俳優の凄さを思い知らされたと語っている。
あらすじ:
7色の声を使い分ける声優のダニエル(ロビン・ウィリアムズ)は仕事中にボスともめ、クビになる。
インテリアデザイナーの妻ミランダ(サリー・フィールド)は、子供と遊ぶしか能のない夫にうんざりしていた。
長男クリス(マシュー・ローレンス)の12歳の誕生パーティで子供や動物たちとバカ騒ぎをしたダニエルに、ついにミランダの怒りが爆発し、離婚を宣言する。
クリスの姉リディア(リサ・ジャクブ)と5歳の妹ナタリー(マラ・ウィルソン)も落胆するが、それ以上にショックだったのは、子ぼんのうなダニエルだった。
裁判の結果、養育権はミランダのものとなり、ダニエルは週に1度しか彼らに会えなくなった。
一方、ミランダは昔の恋人スチュ(ピアース・ブロスナン)と交際を始める。
ミランダは留守中に子供の世話をしてくれる家政婦を雇う新聞広告を出すが、それを知ったダニエルは、オカマで映画の特殊メイクアップ・マンの兄フランク(ハーヴェイ・ファイアスティン)の協力で、初老のイギリス夫人に変身。
ミセス・ダウトと名乗ってミランダを訪れた彼はすっかり気に入られ、家政婦として雇われる。
ミランダも子供たちもフランクとは気づかず、何度もバレそうになるのをごまかしながら、彼は子供たちを厳しくしつける。
ある日、クリスとリディアはダウトの正体に気づくが、パパの本心を知り3人だけの秘密にする。
その頃、ダニエルはTV局の社長ランディ(ロバート・プロスキー)に気に入られ、新番組の打ち合わせにレストラン″ブリッジス″に招待される。
ところが同時刻、同じ場所でミランダの誕生祝いがあった。
仕方なくレストランに向かった彼は、トイレで忙しく変装しながら、2組のテーブルを往復する。
酔ったフランクは、スチュにいたずらを仕掛けてさんざんな目に遭わせるが、逆に正体がバレてしまう。
子供たちに対する愛情を知ったミランダは、フランクと和解する。
TV番組のホストも好評を博した彼は、子供たちの良きパパだった。
コメント:
離婚した父親が子供たちに会いたい一心で、女装して元妻の家庭へ家政婦として潜り込んでの騒動を描いたコメディ。
ロビン・ウィリアムズが主演を務めた。
1987年にイギリスの作家アン・ファインが発表した小説『Madame Doubtfire』(または『Alias Madame Doubtfire』、邦題『ミセス・ダウト』)が原作。
ロビン・ウィリアムズが60歳近くの女性に扮し、特殊メイク担当のグレッグ・キャノンがアカデミーメイクアップ賞を受賞した。
2014年には続編の製作も発表されたが、主演のウィリアムズの死去に伴い、実現へと至らなかった。
特殊メイクで老婆になり家政婦になりすますという、まあ普通はありえない状況を主演のロビン・ウィリアムズが見事に演じることで、見ている側もその異様な状況に少しも違和感なく楽しめちゃう素敵なコメディ。
ストーリーも、笑いあり、涙もありの、心あたたまる最高の作品だ。
着替えのたびに見える肉襦袢姿のなんとも生々しいこと。
本編ではダニエルがミセスダウトに変装する際は一枚のマスクで顔を覆っているが、実際は8枚のパーツにマスクは分かれており、メイクをするのには4時間近くかかる。
マスクを作成する過程は実際の特殊メイクの技法と同じだが、マスクを一枚にしたのはレストランのシーンで早変りをするために設定された。
これはトッツィのダスティンホフマンと同じ技法でも行っていることだという。
また冒頭でダニエルが声優として、アニメにアテレコ作業を行っているが、アメリカでは作画を描く前に声優の声を撮るプレスコ作業が基本となっている。
ダニエルがフランクが女装を色々と試すシーンは、実際に企画段階で行った打ち合わせで行った女装が元となっている。
「家政婦のミタゾノ」は、絶対にこの映画の真似をしている。
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