「生きるべきか死ぬべきか」
(原題:To Be or Not to Be)
1942年3月6日公開。
ポーランドのワルシャワを舞台にしたナチスとの闘いを描くコメディ。
脚本:エドウィン・ジャスタス・メイヤー、レンジェル・メニヘールト
監督:エルンスト・ルビッチ
キャスト:
- キャロル・ロンバード:マリア・トゥーラ
- ジャック・ベニー:ヨーゼフ・トゥーラ
- ロバート・スタック:ソビンスキー中尉
- ライオネル・アトウィル:ラウィッチ
- フェリックス・ブレサート:グリーンバーグ
- シグ・ルーマン:エアハルト大佐
- トム・デューガン:ブロンスキー
- スタンリー・リッジス:アレクサンダー・シレツキー教授
あらすじ:
39年のワルシャワ。俳優のヨーゼフ(ジャック・ベニー)とマリア(キャロル・ロンバート)のトゥーラ夫妻は、シェークスピアの「ハムレット」の中で、2人でハムレットとオフェーリアを演じ、当たりをとっていた。
ある日マリアは、若くハンサムなポーランド空軍のソビンスキー中尉(ロバート・スタック)に言い寄られ、夫ヨーゼフが「生きるべきか、死ぬべきか…」の長ゼリフの場面を演じている間、楽屋で中尉との逢瀬を楽しんでいた。
しかしその間にも、ポーランドの情勢は悪化し、一座もナチスを刺激しないように、政府から風刺劇「ゲシュタポ」の公演中止を言い渡される。
やがてワルシャワもドイツ軍に占領され、ナチの暴虐に対しポーランド人の抵抗は続いた。
その頃ロンドンに配属されていたソビンスキー中尉は、ワルシャワに向かったシレツキー教授(スタンリー・リッジス)がナチスのスパイであることを知り、英国情報部の協力を得て、単身ワルシャワに帰国する。
知らせを聞いたトゥーラ一座は、「ゲシュタポ」の衣裳であるナチの制服を着て、シレツキー教授を迎える大芝居をうつ。
教授の陰謀を未然にくいとめた一座の人々は、やがてヒトラーがポーランドを訪れたチャンスを利用して、ポーランドから脱出する計画をたてる。
そして中尉の先導のもと、彼らは一座の人々の正体を知って追跡するドイツ軍を振り切って、イギリスへと旅立つのだった。
コメント:
ナチス占領下のワルシャワから脱出する俳優一座の姿を描くコメディ映画。
監督は、『ニノチカ』で一世風靡したエルンスト・ルビッチ。
ハンガリー人の戯曲家レンジェル・メニヘールトが、友人のエルンスト・ルビッチのために書いた『ポーランドはまだ失われてはいない』をルビッチが映画化したもの。
ポーランドの国民賛歌のような意味合いを持った作品である。
タイトルは、シェイクスピアの名作「ハムレット」での主人公の名セリフ。
英語:「To be, or not to be: that is the question.」
日本語訳:「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ。」
とにかくシナリオがかなり凝っていてハラハラドキドキのシーンや、笑えるシーンが満載だ。
ナチス・ドイツがポーランド侵攻するワルシャワが舞台である。
舞台は1939年、第二次世界大戦直前のワルシャワ。
俳優のヨーゼフとマリアのトゥーラ夫妻は「ハムレット」で互いに主役を演じる看板役者だったが、ハンサムな若い中尉ソビンスキーに愛を告白されたマリアは、ヨーゼフが「生きるべきか死ぬべきか……」の長セリフを独白する間、中尉との逢瀬を楽しんでいた。
やがてポーランド情勢が悪化。
トゥーラ夫妻の一座は、劇場そのものをゲシュタポ本部に見立ててナチを相手に大芝居を打つのだった。
大戦下の1942年に制作されながらも、諧謔と粋、遊びに溢れた、随所にルビッチらしい洗練を感じる傑作コメディ。
ワルシャワで「ハムレット」を上演していた劇団員が、ナチスの防諜活動に巻き込まれる。
ワルシャワの街中で、人々がある男に注目している。
ヒトラーが現れたのだ。
と言っても、本物ではなく、劇団員の扮装。
それは、ヒトラー役の劇団員が、自分がヒトラー似かどうかを試すものだったが、本名でサインをせがまれる。
「ハムレット」を演じている俳優夫婦がいるが、妻マリアに毎日花が届く。
気になる夫だったが、妻あてのファンレターに返事を出した。
「夫が出演している間なら会える。夫が『TO BE or NOT TO BE』というセリフを言ったら楽屋に来て」との返事。
これがハムレットの有名なセリフであり、自分が名ゼリフを言うとその男が観客席から出ていくあたりも笑える。
その直後、ナチス攻撃でワルシャワが壊滅的被害を受け、イギリスに逃げていたところに、ひとりの博士が居た。
皆の情報を集めてゲシュタポに連絡するナチスのスパイだった。
このスパイから情報を奪い返そうとするあたりから、夫妻とパイロットがゲシュタポ基地に出入りすることになるが、夫の付け髭での変装はナイスアイデアだ。
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