「アニー・ホール」
(原題:Annie Hall)
1977年4月20日公開。
興行収入:$38,251,425。
受賞歴:
1977年アカデミー賞:
- 作品賞受賞 - チャールズ・H・ジョフィ、ジャック・ローリンズ
- 主演女優賞受賞 - ダイアン・キートン
- 監督賞受賞 - ウディ・アレン
- 脚本賞受賞 - ウディ・アレン、マーシャル・ブリックマン
- 主演男優賞ノミネート - ウディ・アレン
1978年ゴールデングローブ賞:
- 受賞:主演女優賞 ミュージカル・コメディ部門(ダイアン・キートン)。
- ノミネート:作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、監督賞(ウディ・アレン)、主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)(ウディ・アレン)。
1978年英国アカデミー賞(BAFTA賞)
- 受賞:作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門。
脚本:ウディ・アレン、マーシャル・ブリックマン
監督:ウディ・アレン
キャスト:
アルビー:ウディ・アレン
アニー:ダイアン・キートン
ロブ:トニー・ロバーツ
あらすじ:
ニューヨークとは限らない。
大都会とは少々変わり者でも生きていける所だ。
山の手に住むユダヤ系のアルビー(W・アレン)もそんな1人。
彼はTVやナイトクラブのトークショーで稼ぐ漫談芸人。
歳の頃は40、離婚歴1回のド近眼メガネ人間だ。
そんな風采の上がらない小男の彼だが、なぜか女の子には人気がいい。
彼の周りにはいつも女の子がウロチョロ。
そんな彼がある日、友人のTVディレクターのロブ(T・ロバーツ)達とテニスに行って、1人の美人と出会った。
会話もユニークな彼女の名は、アニー(D・キートン)。
どこか屈託のない童女の雰囲気の彼女に出会ってからアルビーが変わった。
アニーとのデートが日課の一つになったのだ。
2人が同棲生活に入ったのはそれから間もなく。お互いにのぼせあがっていた2人も時がたつにつれて、お互いのアラが目についてきた。
アルビーの周りには、あいかわらずTV局の女ロビン(J・マーゴリン)や、アリソン(C・ケーン)がいて、アニーは気になり、アルビーもアニーのつかみどころのない生き方がわからない。
ましてアルビーは、男の独占欲にめざめてきたのだ。
行きづまった2人の関係。2人は精神分析医の所に行き、2人の溝は埋まったかに見えた。
だがそんなある日、アニーがいつものようにクラブで歌っていると、プロ歌手トニー(P・サイモン)が彼女の歌をほめ、カリフォルニアにくるようにすすめる。
彼女は有頂天になり、精神状態も全快へとむかったが、アルビーはまだダメ。
彼はアニーとトニー、果てはロブとの仲まで疑い出したのだ。
もうこうなってはおしまいだ。
2人は別居を決意し、アニーはカリフォルニアに飛んで行った。
一方、残されたアルビーを襲う寂寥感。
アニーの後を追い、カリフォルニアに行き、やり直そうとアニーに迫るアルビーだったが、今のアニーは歌手としての成功の方が気になっていた--。
コメント:
ウディ・アレンの監督・脚本・主演による大ヒット・コメディ。
大都会ニューヨークに生きる男と女の出会いと別れをコミカルに描くラブ・ストーリー。
ウディ・アレンは死に取りつかれたコメディアン、アルビー・シンガーを演じる。
明るい性格のアニー・ホール(ダイアン・キートン)との関係を保とうとしている。
2人の数年にわたる関係が語られ、それぞれの過去にあった様々な出来事を途中に挟みながら進行する(アニーはアルビーが子供のころの家族を「見る」ことができ、アルビーも同様にアニーの過去の恋人とのやりとりを観察している)。
彼はブルックリンで育ち、彼の父はバンパーカー(bumper cars)の営業をしていて、彼の家はコニーアイランドのローラーコースターの下にあることが、アルビーの回想場面からわかる。
数年後、口論と仲直りが何度も続き、自分たちは相性がわるいし、別れるだろうと2人は悟る。
アニーはハリウッドのレコード・プロデューサー(ポール・サイモン)のもとに引っ越してしまう。
アルビーは結局、未だに彼女を愛していることに気付き、ニューヨークの自分の所に戻ってくるよう説得するが、うまくいかない。
あきらめたアルビーは自分たちの関係について芝居を書くためにニューヨークに戻る。
この芝居のエンディングは、彼が彼女を取り戻すのに成功するというものだった。
のちに彼らは友人として良好な関係で再会し、そのとき2人にはすでに別の恋人がいた。
愛と人の関係はしばしば痛みをともない、複雑なものにもかかわらず、誰もが必要としているのだと思いを巡らせながら、アルビーは映画を終わらせる。
ウディ・アレン作品のなかで最も人気がある作品の1つ。
アカデミー賞をふくむ数々の賞を受賞した。
ウディ・アレンは、以前はコメディの作り手として知られていたが、『アニー・ホール』を監督したのは彼にとって大きな転機となり、作品にまじめさが加わったといわれる。
長い会話や、長回し、陽気さと傷心にテーマを置く等の、現在までに至るアレン映画のスタイルを確立した作品である。
イングマール・ベルイマンとフェデリコ・フェリーニはともにアレンが敬愛する映画作家であり、本作においてもその影響が窺えるという。
アルビーとアニーとロブが、アルビーの子供のころを訪ねるシーンは、ベルイマンの非常に有名で賞賛されている作品、『野いちご』で使用されている物語手法である。アレンは『ウディ・アレンの重罪と軽罪』でもこのテクニックを使っている。
登場人物のJudahが子供時代を訪ね、彼が犯した犯罪について倫理的な質問を父にする。
同様に、学校のシーンは、『フェリーニのアマルコルド』などのフェリーニ作品の影響を受けているとされる。
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