「悪魔」
2018年2月24日公開。
「TANIZAKI TRIBUTE」第3作。
原作:谷崎潤一郎「悪魔」&「続・悪魔」
脚本:山口健人
監督:藤井道人
キャスト:
吉村界人 | 佐伯 |
大野いと | 林照子 |
前田公輝 | 鈴木 |
あらすじ:
大学進学のため上京した佐伯吉村界人は、大家の千枝と彼女の娘・照子(大野いと)、彼女たちの親戚にあたる鈴木(前田公輝)が住む林邸に下宿する。
やがて佐伯は酒に溺れ、幻覚に苦しむように。
そんな佐伯の部屋へ、照子が頻繁にやってきた。
高校生ながら不思議な色気を持ち、小悪魔のように佐伯を惑わせる照子。
彼女を偏愛する鈴木は二人の様子を見て照子に近づかないよう佐伯に警告。
反発する佐伯だったが……。
コメント:
「TANIZAKI TRIBUTE」3部作の最終作である。
人間の強迫観念を映し出すドラマ。
大学進学のため林邸で下宿し始めた佐伯は、林家の親戚筋にあたる鈴木から大家の娘・照子に近づかないよう警告される。
出演は「太陽を掴め」の吉村界人、「雨にゆれる女」の大野いと、「ホテルコパン」の前田公輝ほか。
下宿先の女子高生に翻弄される青年の姿を通して、少女に抱く幻想的なエロティズムを描いている。
かつてフェリーニ監督が、テレンス・スタンプを主役にした『悪魔の首飾り』と共通するテーマ。
国立大学の心理学科に入学した佐伯は、心の中にある死への執着を恐れながらも、下宿先で女子高生の輝子に惹かれる。
同居人の鈴木は、輝子の婚約者だと言い張り、彼女に近寄るなと言う。
輝子は、そんな鈴木の妄想に付き合うなと、佐伯の部屋に入り浸る。
佐伯が、徐々に死への執着から解き放たれた頃に、2人の関係を嫉妬した鈴木が姿を消す。
佐伯を演じる吉村界人は、昨年から出演作が続く。
演技派の若手俳優として、一作毎に役の幅を広げているのが判る。
そんな楽しみがある役者だ。
女子高生は大野いとが演じる。
少女のあどけなさから、一転して大人の女の顔に移る。
その変化を巧く表現している。
藤井道人監督が挑戦的な演出を試みている。
少し独りよがりなシーンもあるが、象徴的な画面作りに挑む姿勢は評価に値いする。
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