イタリア映画 「予告された殺人の記録」 カリブでの殺人を描くフランチェスコ・ロージの作品! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「予告された殺人の記録」

(原題:Crónica de una muerte anunciada

 

Crónica de una muerte anunciada - Película 1986 - SensaCine.com

 

「予告された殺人の記録」 全編

 

1987年公開。

ノーベル賞作家ガブリエル・ガルシア・マルケスの同名小説の映画化。

 

原作:ガブリエル・ガルシア・マルケス

脚本:フランチェスコ・ロージ、トニーノ・グエッラ

監督:フランチェスコ・ロージ

 

キャスト:

クリスト・ベトヤ:ジャン・マリア・ヴォロンテ

バヤルド・サン・ロマン:ルパート・エヴェレット

アンヘラ:オルネラ・ムーティ

母親:イレーネ・パパス

サンティアゴ・ナサール:アントニー・ドロン

 

Crónica de una muerte anunciada", la película | Señal Colombia

 

あらすじ:

物語は25年ぶりに故郷に戻ってきた医師クリスト・ベトヤ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)の回想によって進められる。カリブ海にある河沿いの町。

鉄道もない閉鎖的なこの町に、ひとりの異邦人がやって来た。

彼の名はバヤルド・サン・ロマン(ルパート・エヴェレット)。

パナマ帽をかぶり、日焼けした肌のこの男は、どこか不思議な魅力を備えていた。

ある日、バヤルドは広場を通りかかるアンヘラ(オルネラ・ムーティ)と出逢う。

彼は質素で美しい彼女に強く惹かれ、彼女こそが長年探し求めていた結婚の相手だと決める。

バヤルドの強引な求愛と、彼が金持ちだと分かり、玉のこしにのせようとした母親(イレーネ・パパス)ら家族の説得に負けたアンヘラは、ついに結婚を承諾する。

婚礼は華々しく行われ、ついには町をあげての一大饗宴にまでなる。

しかし不幸が起きたのは、その直後だった。

その夜、新婦が処女でないことを知ったバヤルドは、絶望し彼女を母親のもとに返す。

驚いた一家は、娘の貞操を奪った男の名を聞きだそうとした。

責めたてられたアンヘラがついに叫んだのは、富も名誉もあるハンサムな青年サンティアゴ・ナサール(アントニー・ドロン)の名だった。

双子の兄弟は家の名誉を守るため、サンティアゴ殺害を予告する。

そして、白昼の広場で人々が見守る中、宿命劇を演じるかのごとく、復讐が成し遂げられる。

だが事件の後、バヤルドに対する深い愛に目覚めたアンヘラは、愛の証に25年にわたって彼に手紙を送り続けていた。

そしてある日、船から一人の男が降り立つ。

鞍袋から大量の手紙を取り出し撒き散らす男。

手紙に気づいたアンヘラの前に姿を現わしたその男は、今は初老となったバヤルドであった。

 

PELICULA : CRONICA DE UNA MUERTE ANUNCIADA , 1987. BASADA EN LA OBRA  HOMONIMA DE GABRIEL GARCIA MARQUEZ. DIRECTOR , FRANCESCO ROSI. ACTORES ,  ORNELLA MUTI , ANTHONY DELON Stock Photo - Alamy

 

コメント:

 

カリブ海にある河沿いの町を舞台に、予告殺人を巡っての祝祭的、神話的な物語を描く。

 

ノーベル賞作家ガブリエル・ガルシア・マルケスの同名小説の映画化。

この人は、中南米のコロンビアの作家・小説家。

架空の都市マコンドを舞台にした作品を中心に魔術的リアリズムの旗手として数々の作家に多大な影響を与える。

1982年にノーベル文学賞受賞。

『百年の孤独』『コレラの時代の愛』は、2002年にノルウェイ・ブッククラブによって「世界傑作文学100」に選ばれる。

コロンビアで何かがあるたびにスポークスマンのような役割を果たすこともあるという。

 

開放的な人々、だからこそ娘や息子をモラルで守りたい母親たち、狭い世界の幸せ。
妻となった人が処女かどうかを調べる方法って科学的に見て実在するんだろうか。

処女膜は鼓膜と違って突き破って終わりってものじゃないのに、そんな迷信のようなもので女性を裁くなんて魔女裁判みたいだ。

異国の娘を金で買っておいて処女だとか処女じゃないとかとやかく言うのもお門違い・・・。

明らかにそこだけ存在感が違うルパート・エヴェレット。

登場した瞬間から、何かが乱される予感がする。
しかしこの映画だけを見ても、時系列が難しくて全体を把握できないかも。

 

サンチアゴの召使い部屋とか、事件が起こる広場の広さとか、想像していた通り。

全くイメージできなかったのは、司祭とそのパレードの光景。

”村祭り”が終わり、やけにガランとした広場を取り囲んで、闘牛を眺めるように3人を見守る人々だ。

見所は、事件のドラマ性ではない。

お金のために娘を結婚させる、誰かをかばうために嘘をつく、名誉のために殺人を犯すしかないと思う、殺人を真剣に止めようと思わない、むしろ内心そうなってしまえと思う・・・。

そういう、人の心の中の一番痛い部分がこの物語の中に詰まっているのだ。

婚礼の夜にうち捨てた妻に25年ぶりに会う男の気持ちとか、村人全員の生贄に捧げられたようなサンチアゴという存在に現れる人間の中の冷酷さとかも、いくら深く深く読み込んでも理解しきれない。

 

主人公のバヤルドを演じたルパート・エヴェレットの存在感がすさまじい。

この人は、父親は政治家、母親はスコットランド貴族の出という上流階級に生まれたイギリスの俳優。

これまでシェイクスピア原作の作品や英国の歴史ものなど、数多くの英国映画に出演している。

 

コロンビアの小説家の作品を原作に、英国俳優を主役にする映画を世に出すというロージ監督の手腕が際立つ作品になっている。

イタリア映画の世界でのステイタスがここまでアップしたのだ。

 

 

この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。