「ありきたりな狂気の物語」
(原題:Storie di ordinaria follia)
1981年公開。
日本未公開。
酒と女におぼれた詩人の悦楽物語。
受賞歴:
1982年 - ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞
監督賞: マルコ・フェレーリ
脚本賞:セルジオ・アミデイ、マルコ・フェレーリ
最優秀写真賞: トニーノ・デリ・コッリ
最優秀編集賞: ルッジェロ・マストロヤンニ
1982年 - シルバーリボン賞
最優秀映画監督:マルコ・フェレーリ
最優秀写真賞:トニーノ・デリ・コッリ
原作:チャールズ・ブコウスキー「ありきたりな狂気の物語」
脚本:マルコ・フェレーリ、 セルジオ・アミディ
監督:マルコ・フェレーリ
キャスト:
チャールズ・サーキング:ベン・ギャザラ
キャス:オルネラ・ムーティ
ヴィッキ:タニヤ・ロペール
あらすじ:
ロサンゼルスの薄汚れたアパートに住む詩人のチャールズ・サーキング(ベン・ギャザラ)という男。
妻のヴィッキ(タニヤ・ロペール)と別れた彼は、浜辺でキャス(オルネラ・ムーティ)という名前の若い売春婦と出会った。
彼女はいつもは金持ちばかりを相手にしている高級売春婦であったが、やがてチャールズと付き合い始め、チャールズもそれをきっかけに詩のインスピレーションを取り戻した。
ある日、何日も家を出ていたキャスが再びチャールズの元へくると、チャールズは別の少女と同居していた。
キャスは嫉妬し、チャールズもまた、酒やドラッグにふける生活に舞い戻って行く。
しかし危ういところでチャールズを助け出したキャスは、海辺のホテルに行き、2人はそこで幸福な一時期を過ごす。
だが、仕事でチャールズがニューヨークへ出かけているあいだに、キャスは自殺してしまう。
酒へ溺れる生活がまた始まるが、そこに見知らぬ少女が現れ、チャールズを浜辺へいざなう。
裸の少女にチャールズはすがりついた。
コメント:
原作は、米国の著名な作家・詩人のチャールズ・ブコウスキーの同名短編小説。
まるで原作者の自伝のような内容の作品だ。
主人公は、アル中で、インスピレーションを失った詩人の男。
妻と別れてから、男は若い娼婦と知り合い深い仲になって、インスピレーションを取り戻し、また作家として生きられるようになる。
だが、しばらく女が留守にしている間に男はほかの女と深い仲になってしまい、そこから二人の仲がこじれ、男が再び酒におぼれる生活に戻る。
女が死んで、しばらくしてから、また似たような少女が彼の前に現れる。
女の力がいかに偉大かということをこの作品は訴えているようだ。
あらすじだけ見ていると、なんだつまらんと思いがちだが、酒や女が好きな男には十分理解できる作品になっていて、こういう映画が見たかったよなあと思える。
色彩感覚も日本映画とは全然違っていて、引き付けられる。
女のファッションも演技も実に良い!
愛した女・キャスが自殺して、彼女の葬儀に来たチャールズは、彼女にキスし、そのあと彼女の下半身を触り、
「美しすぎる」
と何度もつぶやくシーンは最高!
これぞ、男が見る映画で、女子供に見せてもわからないだろうという、なかなかのエロいシーン満載のぶっ飛び映画だ!
この映画は、なんと日本未公開。
イタリア映画祭では上映されたらしいが、映画館での正式上映もネット配信もなかったようだ。
日本語版DVDは無い。
英語版DVDはあったらしいが、現在品切れ中:
こんな男向けの素晴らしい映画がなぜ日本で上映されないのか。
現在YouTubeで全編無料視聴可能。
英語版。