イタリア映画 「あんなに愛しあったのに」 戦友だった三人の男たちの生き様を描くノスタルジー作品! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「あんなに愛しあったのに」

(原題:C'eravamo tanto amati)

 

We All Loved Each Other So Much (1974) - IMDb

 

「あんなに愛しあったのに」 全編

 

1974年公開。

エットーレ・スコーラ監督作品の人気作。

 

脚本:アージェ・スカルペッリ、エットーレ・スコラ 

監督:エットーレ・スコラ

 

キャスト:

アントニオ:ニーノ・マンフレーディ

ジャンニ:ヴィットリオ・ガスマン

ニコラ:ステファノ・サッタ・フロレス

ルチアーノ:ステファニア・サンドレッリ

エリデ:ショヴァンナ・ラッリ

 

We All Loved Each Other So Much - Wikipedia

 

あらすじ:

第二次大戦中のレジスタンスの同志、アントニオ(ニーノ・マンフレーディ)、ジャンニ(ヴィットリオ・ガスマン)、ニコラ(ステファノ・サッタ・フロレス)の3人は戦後、故郷でそれぞれの生活を始める。

ローマで病院の看護人をしていたアントニオは患者のルチアーノ(ステファニア・サンドレッリ)と恋に落ちるが、そんなさなか、弁護士を目指しているジャンニに偶然再会し、恋の三つ巴の末にジャンニに彼女を奪われてしまう。

一方、田舎で高校教師をしていたニコラもヴィットリオ・デ・シーカの「自転車泥棒」にショックを受け、映画評論家を志して妻子を残しローマに出てきていた。

その頃ジャンニは弁護を引き受けた建設業者の娘エリデ(ショヴァンナ・ラッリ)と結婚し、棄てられたルチアーノはアントニオと再会した時、一緒にいたニコラに優しく慰められ、彼と一夜の関係を結ぶ。

そんな彼らの恋愛模様の上にも年月が過ぎ、折しもフェリーニの「甘い生活」のロケが行なわれているトレビの泉の前で、アントニオは女優への道を歩み始めたルチアーノと5年ぶりに再会し、何度かの衝突はあったものの、ついに彼女と結ばれる。

そしてまた何十年かが過ぎた後、アントニオはジャンニとニコラに再会する。

ジャンニは義父の会社の実権を手に入れていたが、エリデを交通事故で失い、今やアントニオの妻となったルチアーノの姿を前に彼女への愛が忘れられず、傷心を胸にその場を立ち去る。

翌日、アントニオとルチアーノ、ニコラはジャンニの家を訪れるが、3人が目にしたのは余りにも孤独な彼の姿だった。

 

We All Loved Each Other So Much (1974) - IMDb

 

コメント:

 

同じ一人の女性を愛した3人の親友同士の30年間に渡る人生模様を、戦後イタリア映画の黄金時代への郷愁を織り混ぜて描いたノスタルジック・ラブ・ストーリー。

 

原題の「C'eravamo tanto amati」は、「私たちはお互いにとても愛し合っていた」という意味。

「昔は、戦友同士で仲が良かったのに・・・」ということらしい。

まあ、人生ままならないということだ。

 

C'eravamo tanto amati...quel 25 Aprile - Kulturjam

 

トレビの泉で「甘い生活」撮影中という設定でフェリーニとマストロヤンニが本人役で特別出演している。

実際の映画「甘い生活」からは14年も経っているので、マストロヤンニの外見に少々違和感がある。

 

お話は、カラー映像で、現在から始まる。

オンボロ車から降りた二人の男と一人の女が、ある豪邸の前にやってくる。

それは彼らの旧友の家だった。

すぐに回想の白黒画面に移行する。

 

C'eravamo tanto amati - Wikipedia, la enciclopedia libre

 

三人の男、アントニオ、ジャンニ、二コラは、パルチザン仲間だった。

終戦を迎え、それぞれの暮らしに戻る。
ローマで病院の救急隊員として働くアントニオは、女優志願のルチアーナと出会い、一目惚れする。

弁護士事務所で助手となっていたジャンニがローマに出てきて再会し、彼女を紹介すると、彼女とジャンニは互いに一目惚れして、付き合い出す。

そのことを知ったアントニオはジャンニを殴り、二人はそれっきりとなる。
教師をしていた二コラは、熱狂的な映画ファンで、それが嵩じて映画評論雑誌を出版しようとローマに上京するも、うまくいかず、あきれた女房子供は田舎に帰ってしまう。
ジャンニは弁護を頼まれたでっぷりした富豪に見初められ、その娘と結婚することになる。
ルチアーナは自殺未遂を起こす。

二コラの知らせでアントニオは駆けつけるが、ジャンニは現れない。
回復した彼女と二コラは関係をもってしまう。

結果、皆ばらばらになる。


時は流れて、カラー画面に移行。
相変わらず、病院の救急隊員として働いているアントニオ。

映画評論家としてはさっぱり目が出ず、テレビの映画クイズ番組に挑戦して勝ち残り続けるも、最後の最後で大好きな『自転車泥棒』のクイズが不正解とみなされ、高額な賞金を手に入れそこなった二コラ。

成功したものの孤独で心が満たされないジャンニ。
アントニオの乗る救急車が、トレヴィの泉での映画ロケ(フェリーニの『甘い生活』)で足止めされる。

そこで端役を得ようと参加していたルチアーナと再会する...


果たして、時を経て再会する旧友たちの行く末はいかに?

 

C'eravamo tanto amati (1974) di Ettore Scola - Recensione | Quinlan.it


たわいもないストーリーなのだが、この映画は中高年が観ると、じんわり心に染みるものがある。

意外とこの作品は人気があるようだ。

暇があれば、気分転換に良いかも。

 

エットーレ・スコラは、イタリア映画界で監督や脚本家として活躍した人物。

本作のあと、1976年の『醜い奴、汚い奴、悪い奴』で第29回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞、1980年の『テラス』で第33回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞、1984年の『ル・バル』で第34回ベルリン国際映画祭銀熊賞 (監督賞)を受賞した。

 

この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。