「チコと鮫」
(原題:Ti-Koyo e il suo pescecane)
1962年11月18日公開。
タヒチの海での少年とサメの出会いを描く。
原作:クレメント・リシェール
脚本:イタロ・カルビーノ
監督:フォルコ・クイリチ
キャスト:
- チコ: アル・カウエ
- 少年時代のチコ: デニス・プヒラ
- ディアーナ: マルレーヌ・アマング
- 少女時代のディアーナ: ディアーナ・サムソイ
あらすじ:
神秘的、童話的であり、時には夢のように非現実的でさえある南海の楽園タヒチ。
昔からここの漁夫たちにとって、人食い鮫は最大の仇敵とされていた。
ある時、少年チコ(デニス・プヒラ)は海岸に迷い込んでいた人食い鮫の子供を見つけた。
チコは、女友だちのディアーナ(ディアーナ・サムソイ)と一緒に浜辺に水たまりをつくり、餌を与えて小さな鮫をひそかに育てていった。
ある日、だいぶ成長した鮫は、チコとディアーナを豊かな色彩に満ちた大洋の海底深く、あるいは珊瑚礁の間を次々と案内して、すばらしい風景の浜辺へつれ出すのだった。
だが、突然、海底深くもぐり、二人の視野から姿を消した。
それ以来、鮫は毎日海岸で待つチコのもとには帰って来なかった。
十年たち、チコ(アル・カウエ)はたくましい若者に成長していた。
仲間たちと漁に出たチコは、ある日、海底で五メートルもある巨大な鮫と再会した。
鮫に対する友情は、チコを現実の社会からだんだん引き離していった。
だが、タヒチにも文明の波が押しよせ、チコと鮫がかつてのように楽しく暮すことはできなくなってきた。
チコは将来を約束した美しい幼な友だちディアーナ(マルレーヌ・アマングデアーナ)と鮫をつれ、二人と一匹が平和に暮せる島を求めて、タヒチを出て行く決心をした。
長年、アメリカで暮し、文明生活を身につけてきたディアーナはチコの愛情と、文明と近代が彼女に与えた生活との二者択一に悩んだが、潔よく文明を捨て、人間性の回復を求めて、チコとともにタヒチの波間に消えていった。
コメント:
クレメント・リシェール (Clement Richer) の小説『Ti-Coyo and His Shark』を原作として、フォルコ・クイリチが監督した。
フランスとイタリアの合作映画であるこの映画は、漁師と鮫の、幼い頃から始まった友情を描いたものである。
ロケーション撮影は、フランス領ポリネシアでおこなわれた。
出演者は、いずれも職業俳優ではなく、ポリネシア人の素人であった。
タヒチの海を舞台に、人間と自然との共存の大切さを訴える蝉ドキュメンタリー映画である。
監督のフォルコ・クイリチは、イタリアを代表する海洋ドキュメンタリー映画のプロフェッショナルである。
この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。