「アッカトーネ」
(原題:Accattone)
1961年11月22日イタリア公開。
2004年5月15日日本公開。
ピエル・パオロ・パゾリーニの監督デビュー作。
脚本:セルジオ・チッティ、ピエル・パオロ・パゾリーニ
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
キャスト:
- ヴィットリオ・"アッカトーネ"・カタルディ:フランコ・チッティ
- ステラ:フランカ・パスット
- マッダレーナ:シルヴァーナ・コルシーニ
- アセンザ:パオラ:グイディ
- アモーレ:アドリアーナ・アスティ
あらすじ:
"アッカトーネ"(乞食)と渾名される青年ヴィットリオ(フランコ・チッティ)は働きもせず、売春婦のマッダレーナ(シルヴァーナ・コルシーニ)のヒモとして自堕落に生きている。
しかし、マッダレーナが警察に逮捕される。
困ったヴィットリオは疎遠だった妻の実家に助けを求めるが、追い出される。
そんな時、ステラ(フランカ・パスット)という少女と出会う。
彼女と人生をやり直そうかとも思ったが無理。
ステラに売春をやらせようとするが、それもできない。
やむなく泥棒稼業に手を染めるが、警察に追われて盗んだバイクで逃げるが交通事故に遭い、ヴィットリオはあっけなく死んでしまう。
コメント:
原題の「Accattone」とは、「乞食」という意味。
それが、主人公のあだ名だという。
そのカタカナをそのまま日本語タイトルにするとは芸がないと思われるが。
この作品に出てくるのは、ヒモ、売春婦、泥棒といった、戦後イタリアの経済復興とは無縁な社会の底辺にいる人々。
こうした人々を描くことや、聖と俗の境界線を曖昧にすることは、当時のイタリアではスキャンダラスだった。
パゾリーニ自身はネオレアリズモと距離を置こうとしたが、この映画は第2世代のネオレアリズモと評され、批評家の中には、これまで見た映画の中で最も辛い映画という人もいる。
主演のフランコ・チッティは英国アカデミー賞 主演男優賞にノミネートされた。
日本では長らく公開されず、1992年にクラウンレコードが原題Accattoneの直訳である『乞食』(こじき)という題名でビデオ発売。
2001年、パイオニアLDCがDVDをリリースした時に『アッカトーネ』に改題。劇場初公開は2004年5月15日から6月4日にかけてユーロスペースで催された『ボンジョルノ・パゾリーニ』で、『アッカトーネ』のタイトルで上映された。
パゾリーニは、イタリアにおける特異な作風の異色監督として有名である。
代表作は、1964年の『マタイによる福音書』を忠実に映像化した『奇跡の丘』だ。
これで、第25回ヴェネツィア国際映画祭で審査員特別賞と国際カトリック映画事務局賞を受賞し、米アカデミー賞でも技術部門で3部門にノミネートされた。
特異な作風、後世に与えた影響、そして謎の死など、20世紀の映画史において伝説的な存在である。
主な作品は、以下の通り:
『奇跡の丘』(1964年)
『テオレマ』(1968年)
『デカメロン』(1971年)
『アラビアンナイト』(1974年)
『ソドムの市』(1975年)
この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。