「就職(1961)」
(原題:Il Posto)
1961年9月1日公開。
日本未公開。
ヴェネツィア国際映画祭でイタリア批評家賞受賞。
脚本:エットーレ・ロンバルド、エルマンノ・オルミ
監督:エルマンノ・オルミ
キャスト:
ドメニコ・カントーニ:サンドロ・パンセリ
アントニエッタ・マセッティ:ロレダナ・デット
あらすじ:
この映画は、家族がお金に困っているため、教育の後半部分を諦めた青年・ドメニコ(サンドロ・パンセリ)の物語である。
都市の大企業への就職に応募した彼は、奇妙な一連の試験、身体検査、面接を通過する。
テストの短い休息中に、彼は、自分と母親を養うために学校教育を放棄した若い女の子・アントニエッタ(ロレダナ・デット)に出会う。
二人は地元のカフェでコーヒーを飲みながら、自分たちの野心や人生について話し合う。
ドメニコは彼女に惹かれるが、異なる部署に就職したためすぐに別れてしまう。
上司と面会したところ、事務職の求人がないことを知らされ、より良い職を待ってメッセンジャーの仕事に就くことになる。
ドメニコは他の従業員を観察し、時には楽観的に彼らの優しさに注目し、また時にはオフィスの暗さが彼らに与えた影響に注目する。
アントニエッタを見つけ出そうとしていた彼は、ある日、他の二人の若者の中に彼女を見つける。
彼は彼女に近づかなかったが、後で偶然彼女にぶつかる。
彼女は彼を労働者のために開催される大晦日のパーティーに招待した。
一人でパーティーに到着した彼は、気まずい孤独とアントニエッタの不在に気づいたが、年配のカップルの同席への誘いに応じる。
彼は、他の若者が踊ったり楽しんだりしているのを観察しながら、自分は黙って年配のカップルと一緒にいた。
年上の女性にダンスを誘われると、彼は酒を飲み始め、やがてパーティーの盛り上がりに加わるようになる。
夜はゲスト全員が参加するシンプルで自由なダンスで最高潮に達した。
翌日彼が仕事に戻ると、退職後に最近空いた従業員のデスクを提供される。
しかし、デスクに落ち着く前に、周囲のかなり年配のスタッフが不安になり、ドメニコが見つけた「高級な」デスクに座るのを何年も待ち続けてきたことに不満を漏らす。
彼は、議場の最前列に座るには20年待たなければならないことを知った。
薄暗い隅に移動したドメニコは「生涯の仕事」の初日を始めるのであった。
コメント:
本作の原題「Il Posto」は、「仕事」という意味である。
「定職」という意味でもある。
イタリアの少年が、自分の将来を見据えて、さまざまな職業への就職を目指して挑戦する健気な様子を描いた佳作だ。
エルマンノ・オルミ監督による 1961 年のイタリアのドラマ。
オルミの最初の主要な作品としてよく引用される、イタリアのネオレアリズモの作品。
この人は、1931年7月24日、イタリア・ロンバルディア州に生まれたイタリアを代表する映画監督である。
1953年、22歳で映画監督としてデビューし、5年間でドキュメンタリーや短編を20本以上製作した。
1959年、初の長編『Il tempo si è fermato』を発表。
1961年、長編2作目となる本作が、同年のヴェネツィア国際映画祭でイタリア批評家賞など3つの賞を受賞。
英国映画協会サザーランド杯も受賞し、翌1962年のダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では監督賞を受賞した。
2008年、この映画はイタリア文化遺産省の保存すべきイタリア映画100本、「1942年から1978年までのこの国の集団的記憶を変えた」100本のリストに選定されている。
オルミ監督は、本作後も数多くの映画を制作し、たくさんの映画賞を獲得した。
1978年、ベルガモ地方の農民たちの生活をドキュメンタリー風に描いた『木靴の樹』を発表。
同年の第31回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールとエキュメニカル審査員賞を受賞し、翌1979年にもセザール賞の外国映画賞、ナストロ・ダルジェント賞の最優秀作品監督賞、原作賞、脚本賞、撮影賞の4賞を受賞した。
1987年の『偽りの晩餐』は同年のヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞、心理学会賞、国際映画批評家連盟賞の3賞を受賞。
翌1988年にはヨーゼフ・ロートの小説を原作にした『聖なる酔っぱらいの伝説』が同映画祭で金獅子賞と国際カトリック映画事務局賞を受賞し、翌1989年のナストロ・ダルジェント賞では最優秀作品監督賞と脚本賞、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞でも監督賞と編集賞を受賞した。
2001年の『ジョヴァンニ』は第54回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映され、同年のフライアーノ国際映画祭では作品賞を受賞。
その他にナストロ・ダルジェント賞の最優秀作品監督賞、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では作品賞、監督賞、製作賞、脚本賞の4賞を受賞した。
2008年には第65回ヴェネツィア国際映画祭で長年の功績に対して栄誉金獅子賞が授与された。
この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。