大佛次郎の映像 NHK大河ドラマ「赤穂浪士」 大佛次郎原作の大ヒット・テレビドラマ! | 人生・嵐も晴れもあり!

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大佛次郎の小説「赤穂浪士」を映像化した作品として、映画に引き続き、テレビドラマをレビューしたい。

 

最も有名なものは、1963~1964年度に放送された、NHK大河ドラマ「赤穂浪士」である。

これぞ、大佛次郎の世界である。

 

「赤穂浪士」

 

大河ドラマ 赤穂浪士|番組|NHKアーカイブス

 

大河ドラマ 「赤穂浪士」の紹介動画

 

放送期間:1964年1月5日~12月27日

 

原作:大佛次郎

脚本:村上元三

演出:井上博 他

 

主なキャスト:

大石・浅野家

大石内蔵助(おおいし くらのすけ)
演:長谷川一夫
りく
演:山田五十鈴
大石主税(おおいし ちから)
演:中村賀津雄(現・中村嘉葎雄)
大石吉千代(おおいし きちちよ)
演:市川銀之助(現・市川團蔵)
八助(はちすけ)
演:片岡半蔵
浅野内匠頭(あさの たくみのかみ)
演:尾上梅幸
あぐり
演:岸田今日子
浅野大学(あさの だいがく)
演:城所英夫
大石無人(おおいし むじん)
演:河津清三郎
大石三平(おおいし さんぺい)
演:花柳喜章
無人の子。
 

赤穂四十七士

小野寺十内(おのでら じゅうない)
演:志村喬
堀部弥兵衛(ほりべ やへえ)
演:中村芝鶴
片岡源五右衛門(かたおか げんごえもん)
演:中村又五郎
不破数右衛門(ふわ かずえもん)
演:黒川弥太郎
原惣右衛門(はら そうえもん)
演:中村福助
前原伊助(まえはら いすけ)
演:林成年
奥田孫太夫(おくだ まごだゆう)
演:下元勉
礒貝十郎左衛門(いそがい じゅうろうざえもん)
演:井上孝雄
堀部安兵衛(ほりべ やすべえ)
演:加藤武
吉田忠左衛門(よしだ ちゅうざえもん)
演:巌金四郎
矢頭右衛門七(やとう えもしち)
演:舟木一夫

吉良・上杉家

吉良上野介(きら こうづけのすけ)
演:滝沢修
小林平七(こばやし へいしち)
演:芦田伸介
左右田孫兵衛(そうだ まごべえ)
演:小山源喜
上杉綱憲(うえすぎ つなのり)
演:山内雅人
千坂兵部(ちさか ひょうぶ)
演:實川延若

幕府・大名・旗本

徳川綱吉(とくがわ つなよし)
演:守田勘弥
柳沢出羽守(やなぎさわ でわのかみ)
演:坂東三津五郎
細川越中守(ほそかわ えっちゅうのかみ)
演:嵐寛寿郎
堀内伝右衛門(ほりうち でんえもん)
演:大友柳太朗
土屋相模守(つちや さがみのかみ)
演:坂東蓑助
脇坂淡路守(わきさか あわじのかみ)
演:久米明
阿部豊後守(あべ ぶんごのかみ)
演:市村羽左衛門
稲葉正通(いなば まさみち)
演:尾上九朗右衛門
伊達左京亮(だて さきょうのすけ)
演:市村家橘(現・市村吉五郎)
仙石伯耆守(せんごく ほうきのかみ)
演:清水将夫
荒木十左衛門(あらき じゅうざえもん)
演:信欣三
土岐伊予守(とき いよのかみ)
演:永田靖
多門伝八郎(おかど でんぱちろう)
演:中村吉十郎
土屋主税(つちや ちから)
演:市村竹之丞(現・中村富十郎)
土屋家の腰元
演:石川祐代

原作小説の主役たち

堀田隼人(ほった はやと)
演:林与一
千坂の間者で浪人。
お仙(おせん)
演:淡島千景
千坂の間者。
蜘蛛の陣十郎(くものじんじゅうろう)
演:宇野重吉
江戸の大盗賊で隼人に協力する。
相沢新兵衛(あいざわ しんべえ)
演:西村晃
柳沢出羽守の間者。
目玉の金助(めだまのきんすけ)
演:穂積隆信
千坂の間者。

その他

丸岡朴庵(まるおか ぼくあん)
演:伴淳三郎
犬の医師。
お千賀(おちか)
演:瑳峨三智子
朴庵の妾。
春山権之丞(はるやま ごんのじょう)
演:杉浦宏策
浮橋太夫(うきはしだゆう)
演:越路吹雪
新井白石(あらい はくせき)
演:尾上松緑
山田宗徧(やまだ そうへん)
演:柳永二郎

 

 

 

 

コメント:

 

前作『花の生涯』がヒットしたことで、同作を企画したNHK芸能局長の長沢泰治は同趣向のドラマを毎年作る方針に変更し、「国民的文学をやれ」という指示を出した。

長谷川の主役起用も、前作の佐田啓二同様、スターを出すという長沢の意向による。

佐田の時と同じく、部下の合川明が交渉に当たり、まず所属していた大映に働きかけたもののテレビを軽蔑していた社長の

永田雅一は一顧だにしなかった。

合川は佐田の時にもおこなった本人との交渉に向かったところ、長谷川からはすぐに快諾を得る。

長谷川は『花の生涯』の放映開始後、「(主演の)尾上松緑のように毎週テレビに出てくれれば顔が見られる」という地方在住ファンの手紙を多数受け取っていたという。

長谷川を筆頭に豪華キャストをそろえたことは、当時の芸能マスコミやテレビ・映画業界からは「受信料でスターを集めた」というバッシングの対象にもなったが、後述する高い視聴率により大きなダメージには至らなかった。

スター結集の一方で、吉田沢右衛門役に緒形拳を起用する案もあったが、緒形は新国劇のスケジュールとのやりくりが付かず結局出演を辞退している。緒形は翌年の『太閤記』をはじめとする幾つかの作品でレギュラー出演をした後、1982年の『峠の群像』で大石内蔵助を演じている。また、後に赤穂事件を題材とした大河2作(『元禄太平記』『元禄繚乱』)でメインキャストを演じた石坂浩二が端役で出演していた。

赤穂四十七士たちの討ち入りを決意するまでの苦悩や葛藤、彼らに関わる人々の思惑などを1年間かけてじっくりと描き、また討入り後も切腹までを4回にわたって放送した。

吉良邸のオープンセットは東京都杉並区のNHK富士見ヶ丘グラウンド(2015年 閉鎖)に建てられ、収録の際には1000人を超すギャラリーが集まった。

大河ドラマの名称は、この『赤穂浪士』放送中に、読売新聞が外国の大河小説に倣って、前作『花の生涯』で井伊直弼、今作『赤穂浪士』で大石内蔵助の生涯を描くことから、「大河ドラマ」と呼称したことに由来する。

 

視聴率は優に30%を超え、浪士の討入りが放送された回には視聴率53.0%という大河ドラマ史上最高視聴率記録をも打ち立てた。

この記録は2021年現在まで未だに破られていない。ただし、この当時は大河ドラマはまだ日曜午後8時からの放送ではなかった(当時、日曜午後8時枠はコメディドラマの『若い季節』であった)。

全話の平均視聴率は31.9%で歴代4位。

前作「花の生涯」の平均視聴率20.2パーセントに対して31.9パーセントと大幅にアップしたのだ。

芥川也寸志のテーマ曲も話題となった。

この曲は芥川が新東宝映画『たけくらべ』(1955年)の主題曲を使い回ししたものだったが、板ムチによるビシッ、ビシッという音が討ち入りの厳しさを感じさせ、視聴者の共感を得て、レコードも発売された。

放送から50年以上経つ現在でも「忠臣蔵といえばこの音楽」というイメージが定着している。

また「大河のテーマは交響楽」というイメージも定着し、翌年からのNHK交響楽団によるテーマ演奏へとつながった。

 

この作品で最も人気があったのは、大石内蔵助を演じた長谷川一夫、矢頭右衛門七を演じた舟木一夫。堀田隼人を演じた林与一、蜘蛛の陣十郎を演じた宇野重吉である。

 

長谷川一夫は時代劇のトップスターであり、このドラマの主役だから当たり前。

 

赤穂浪士 | 気ままにおしゃべり

 

舟木一夫は、歌謡界のスターだったからこちらも当たり前。

 

NHK大河ドラマ “赤穂浪士” | 昭和歌謡 | 趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)

 

林与一は、当時はほぼ無名だったが、二枚気で、ニヒルで、このドラマの影の主人公的なポジションだったこともあり、一気に人気に火がついた。

 

NHKアーカイブス - 【明日6/28 ごごナマ出演!林与一さん】<総合 午後1時~>... | Facebook

 

さらに人気沸騰したのが、宇野重吉。

それまでは、名前はある程度知られていたが、この作品で大注目され、その後も人気は続いた。

その理由は、この作品のテーマにもなっている、作品の舞台における元禄の太平の世とお犬様ブームを批判する勢力の一人として実に味のある大泥棒振りだ受けたのだ、

上辺だけは好景気で江戸の町はみんなが幸せだという受けれた世の中だが、その裏では幕府のお偉いさんとイヌの世話をする者たちがうまい汁を吸っていることへの批判の急先鋒として、その存在感がくっきりとドラマで浮上したのだ。

これこそ、大佛次郎が見せたいところだったに違いない。

未来に希望を見いだせない江戸の浪人・堀田隼人を演じる林与一のニヒルな横顔と共に、いかにもワルという人相の蜘蛛の陣十郎を演じた宇野重吉は、このドラマの裏の主人公なのである。

残念ながら、宇野重吉の蜘蛛の陣十郎の画像・動画はネット上には現在存在していない。

NHKの「あの人に会いたい」という番組の紹介動画に搭載された宇野重吉の姿がこちら:

 

 

 

この大河ドラマに大佛次郎の名作「赤穂浪士」が採用されたということは、「鞍馬天狗」などで数多くの映画を世に出した大佛次郎の日本の国に対するさまざまな想いが通じたのではないだろうか。

 

日本の民衆が何を望んで生きてきたかを、このドラマは少しは描けたのではなかろうか。

 

なお、「赤穂浪士」を含む「忠臣蔵」ものをNHKがドラマ化した作品は、以下の通り:

大河ドラマ 第2作『赤穂浪士』 1964(昭和39)年
大河ドラマ 第13作『元禄太平記』 1975(昭和50)年
大河ドラマ 第20作『峠の群像』 1982(昭和57)年
大河ドラマ 第38作『元禄繚乱』 1999(平成11)年
金曜時代劇『最後の忠臣蔵』 2004(平成16)年
BS時代劇『薄桜記』 2012(平成24)年
土曜時代劇『忠臣蔵の恋~四十八人目の忠臣~』 2016(平成28)年

 

 

 

このドラマは、NHKオンデマンドで動画配信中: