「戦争 はだかの兵隊」
(原題 : La grande guerra)
1959年9月公開。
第一次世界大戦におけるイタリアの戦闘を描いた作品。
ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞。
脚本:アージェ、スカルペッリ、ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ、マリオ・モニチェリ
監督:マリオ・モニチェリ
キャスト:
- アルベルト・ソルディ : オレステ
- ヴィットリオ・ガスマン : ジョバンニ
- シルヴァーナ・マンガーノ : コスタンチーナ
- フォルコ・ルリ : ボルディン
- ベルナール・ブリエ : カステリ
あらすじ:
一九一七年、イタリア軍はオーストリア軍の攻撃で敗退を重ねていた。
--徴兵所で前科者のジョバンニ(ヴィットリオ・ガスマン)は衛生兵オレステ(アルベルト・ソルディ)に目をつけ、買収して、徴兵を逃れようとした。
だが、相手はただのネズミではなく、金をだましとられたあげく、入隊させられ、激しい訓練を受けた。
前線送りの汽車の中で、オレステに出会い、追いかけたが、結局二人はコンビになることになった。
チリアーノの町の宿舎で、彼らの隊は前線からひきあげてきた隊と合流した。
温厚なガリーナ中尉や兵士ボルディン(フォルコ・ルリ)などがいた。
町にはただ一人の女性コスタンチーナ(シルヴァーナ・マンガーノ)がいるが、ジョバンニは言葉たくみに家にはいりこみ、ものにしてしまった。
だが、敵もさるもの、彼の財布は抜き取られていて、気づいたのは、部隊の前線出発の時だった。
--壕は敵前二百メートル。
ジョバンニは鉄条網を切り開く役に指名されたが、ボルディンが代役を引き受けた。
彼はそんな金を家族に仕送りするのだ。
突破口が開き、突撃になった。
その最中に、彼ら二人は電話線敷設の役目を果した。
彼らの隊の強行策が成功し、戦いは勝利に終わった。
犠牲は大きかったが。雨季が来て、雪にかわり、また春がきた。
ガリーナ隊長は頑強な陣地を構築するため、彼ら二人に、鉄条網と杭を、師団本部の倉庫に取りにやらせた。
ジョバンニは仕事をオレステにおしつけ、コスタンチーナに会いに行く。
その夜、敵の猛砲撃が彼らの部隊に加えられるのが見えた。
翌朝帰った時、陣地は無残にふっとび、ボルディンたち多数の兵士が死んでいた。
--部隊は休暇命令で後方の町へ帰った。
ボロボロの兵士たちが人々を驚かせた。
オレステは歓迎会の席上で金を集め、ジョバンニと遊びに行こうとしたが、ボルディン夫人が夫を探しているのに会った。
彼が死んだとは、彼らも言えなかった。
集めた金を夫人に渡した。
--イタリア軍の敗退は続いた。
避難民のごったがえすポンテ・サン・フェデレの町で、ジョバンニはなつかしいコスタンチーナに出会った。
それが別れになろうとは、二人とも思わなかった。
--最後の抵抗線・ピアヴェ河畔の旅館に配属された。
カステリ守備隊長(ベルナール・ブリエ)は二人を砲兵隊へ連絡にやった。
仕事を果し、酒を飲んで砲兵隊の馬小屋に寝た。
その間、部隊は後退し、敵軍が入ってきた。
スパイとして二人は引き出された。
オレステがイタリア軍が河にかけた橋のことをつい話してしまい、その所在を追求された。
言わねば銃殺だ。
二人は一度は言う気になったが、ジョバンニがふみとどまった。
彼がまず銃殺され、臆病者のオレステも、何も知らねえと叫びながら撃たれた、
二人の身体は並んで横たわった。
--その後、反撃に成功したイタリア軍が死体の横を怒涛のように通りすぎた。
コメント:
第一次大戦のイタリア軍隊を背景に、兵士たちの人間ドラマを描いたもの。
現代の「La grande guerra」とは『第一次世界大戦』の事。
本作は、マリオ・モニチェリ監督による 1959 年公開のイタリアのコメディドラマ戦争映画。
第一次世界大戦における、要領の良い二人の若い兵士の軍隊生活を描いた作品である。
この映画はコメディタッチで演じられているが、塹壕戦の恐ろしさと厳しさを視聴者から隠していない。
ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。
アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた。
2008年、この映画はイタリア文化遺産省の保存すべきイタリア映画100本、つまり「1942年から1978年までのこの国の集団的記憶を変えた」100本のリストに選ばれている。
いかつい男たちに混じって存在感を見せるのは、『にがい米』に主演した、セックス・アピール万点の女優・シルヴァーナ・マンガーノだ。
彼女を観るためにこの映画を見に行った人が多いという。
監督をつとめたマリオ・モニチェリイタリアの映画監督、脚本家。
トスカーナ州ヴィアレッジョ出身。
イタリア式コメディの第一人者として知られた。
主な作品は以下の通り:
- 『大尉の娘』 La figlia del capitano : 監督マリオ・カメリーニ、1947年 - 脚本
- 『無法者の掟』 In nome della legge : 監督ピエトロ・ジェルミ、1948年 - 脚本
- 『騎士の到着』 È arrivato il cavaliere : 共同監督ステーノ、1950年
- 『刑事と泥棒』 Guardie e ladri : 共同監督ステーノ、1951年 - 第5回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞
- 『父と息子たち』 Padri e figli : 1957年 - 第7回ベルリン国際映画祭銀熊賞監督賞受賞
- 『美女の中の美女』 La donna più bella del mondo : 監督ロバート・Z・レナード、1955年 - 脚本
- 『いつもの見知らぬ男たち』 I soliti ignoti : 1958年
- 『戦争・はだかの兵隊』 La grande guerra : 1959年 - 第32回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、第20回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞
- ボッカチオ'70 - Boccaccio '70 (第1話 『レンツォとルチアーナ』): 1962年
- 『明日に生きる』 I compagni : 1963年 - マール・デル・プラタ国際映画祭最優秀作品賞受賞
- 『ゴールデン・ハンター』 Casanova '70 : 1965年 - ビデオ題『カサノヴァ'70』、第38回アカデミー賞脚本賞ノミネート
- Donatella : 1956年 - 第6回ベルリン国際映画祭金熊賞ノミネート
- 『結婚大追跡』 La ragazza con la pistola : 1968年 - 第41回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート
- 『ちゃちなブルジョワ』 Un Borghese piccolo piccolo : 1968年 - 第30回カンヌ国際映画祭パルムドールノミネート
- 『求む大佐』 Vogliamo i colonnelli : 1973年 - 第26回カンヌ国際映画祭パルムドールノミネート
- 『私の友だち』 Amici miei : 1975年
- 『親愛なるミケーレ』 Caro Michele : 1976年 - 第26回ベルリン国際映画祭銀熊賞監督賞受賞
- 『新怪物たち』 I Nuovi mostri : 1978年 - 第51回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート
- 『アニタと子猫と…』 Viaggio con Anita : 1979年
- Il marchese del Grillo : 1982年 - 第32回ベルリン国際映画祭銀熊賞監督賞受賞
- Le due vite di Mattia Pascal : 1985年 - 第38回カンヌ国際映画祭パルムドールノミネート
- 『女たちのテーブル』 Speriamo che sia femmina : 1986年 - ナストロ・ダルジェント最優秀作品監督賞受賞
- 『マンマ・ミーア人生』 I picari : 1987年
- Cari fottutissimi amici : 1993年 - 第44回ベルリン国際映画祭金熊賞ノミネート
- 『トスカーナの休日』 Under the Tuscan Sun : 監督オードリー・ウェルズ、2003年 - 出演
- 『マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶』 Marcello, una vita dolce : 監督マリオ・カナーレ / アンナローザ・モッリ、2006年 - 出演
- 『砂漠の薔薇』 Le rose del deserto : 2006年 - 長篇遺作