「乞食大将(1952)」
1952年4月3日公開。
戦国武将・後藤又兵衛を描く名作。
原作:大佛次郎
監督 : 松田定次
脚本 : 八尋不二
キャスト:
- 市川右太衛門 : 後藤又兵衛
- 藤野秀夫 : 徳川家康
- 中村芳子 : 鶴姫
- 月形龍之介 : 黒田甲斐守長政
- 羅門光三郎 : 宇都宮鎮房
- 嵐徳三郎 : 本多正信
- 荒木忍 : 夜須平四郎
- 香川良介 : 福島丹波
- 葛木香一 : 明石全登
- 小川隆 : 黒田惣兵衛
- 見明凡太朗 : 堤西堂
- 南部彰三 : 馬蔵
- 澤村マサヒコ : 花若
- 原聖四郎 : 野村太郎兵衛
- 水野浩 : 牢番の老人
- 津島慶一郎 : 朝倉嘉兵衛
- 島田照夫 : 朝末
- 常盤操子 : 菊の井
- 横山文彦 : 蒲池弥惣
- 葉山富之輔 : 母里太兵衛
- 大河原左雁次 : 松村彦右衛門
- 藤川準 : 堀五郎太
- 興津光 : 篠隅助之亟
- 小池柳星 : 長者丸弥七
あらすじ:
豊前中津の城主・黒田長政(月形龍之介)は、領下の豪族・宇都宮鎮房(羅門光三郎)と戦い大敗するが、その家臣・後藤又兵衛(市川右太衛門)の夜討ちが効を奏して形成逆転、宇都宮勢を破って鎮房の妹・鶴姫(中村芳子)と鎮房の子・花若(澤村マサヒコ)を人質とする。
更に和議を結んだ相手である鎮房を騙し討ちにしようとし、長政はその役目を又兵衛に託そうとするが、又兵衛は日頃から鎮房と一騎打ちの勝負をしたいと願っていて、騙し討ちは御免だと断る。
しかし、長政の謀に嵌って追い詰められた鎮房と廊下で鉢合せになり、結局、他の者に討たせるよりはと一対一で刀と槍を交え鎮房を討ち取ることとなる。
又兵衛は、その功により鶴姫と花若の命乞いをした上で、長政の下を去る。
時は流れ、又兵衛は自分に従う家来たちを引き連れ、時に乞食のような生活をしながらも諸国を流れ歩いていた。
鶴姫は剃髪をして尼になり、花若は立派な若武者なっていた。
慶長19(1614)年、徳川家康(藤野秀夫)と豊臣秀頼が大坂城で最後の一戦を交えようとしたとき、徳川家臣・本多正信(嵐徳三郎)から頼まれてやってきた又兵衛旧知の京都相国寺の僧・堤西堂(見明凡太朗)は、又兵衛が徳川方につけば播磨国を賜るとの家康からの話をもちかけるが、又兵衛はそうした徳川の招きをふり切って敗色濃い秀頼方につくと言う。
又兵衛が堤西堂を通して花若の徳川方大名への士官に尽力したことを知った鶴姫は、別れを言いに来た又兵衛に鎮房遺愛の兜を手向ける。
又兵衛は、「父の仇」と気色ばむ花若に、この兜を目印に自分の首を取って手柄とするよう言い残してその場を去る―。
コメント:
戦国武将の後藤又兵衛を題材にした大佛次郎の歴史小説。
1944年10月25日から1945年3月6日にかけて朝日新聞に掲載されるが、用紙不足のため中絶。
戦後になって『新太陽』1945年12月号、『モダン日本』1946年1・2月合併号、3月号に掲載されて完結した。
1947年に苦楽社から書籍として出版され、1987年に『乞食大将 後藤又兵衛』と改題して徳間書店から再出版された。
大映により2度映画化され、テレビドラマ化も1度されている。
本作はその最初の映画である。
豊前中津の城主・黒田長政は領下の豪族城井谷の宇都宮鎮房と戦い大敗する。
だが、その臣・後藤又兵衛の夜討が効を奏して遂に宇都宮勢を破って鎮房の子花若と妹鶴姫を人質とした。
長政は更に鎮房を騙し討ちにしようとした。
又兵衛は日頃鎮房と一騎打ちの勝負をしたいと願っていたが騙し討ちは御免だと反対する。
しかし、結局他の者たちに討たせるよりはと、廊下で一戦を交えてこれを討ちとめた。
その功により、若花、鶴姫の命乞いをした上、長政の下を去った。
時は流れ、又兵衛は自分に従う家来たちをひきつれ諸国を流れ歩いていた。
花若も立派な若武者になり、鶴姫は剃髪をして尼になっていた。
慶長十九年、徳川と豊臣秀頼が最後の一戦を交えんとした時、又兵衛は徳川の招きをふり切って敗色の濃い秀頼方へ進んで味方した。
そしてかつて自分が討った鎮房の子に討たれてやるのであった。
歴史上の人物として有名な、後藤又兵衛を描いた小説の映画化第1作である。
終戦後、民間情報局教育局による禁止映画再審査によって第一回に解除された劇映画八本のうち、未封切であったものの一本である。
原作は、日本の歴史上の人物を数多く描いた大佛次郎の代表作の一つである。
この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。