「ナポリの饗宴」
(原題:Carosello Napoletano)
1954年5月26日公開。
ナポリ300年史のミュージカル映画。
1954年カンヌ国際映画祭国際賞受賞。
監督・脚本:エットーレ・ジャンニーニ
キャスト:
辻音楽師サルヴァトーレ・エスポジト:パオロ・ストッパ
プルチネッラ:レオニード・マシーン
ブリジダ:マリア・フィオーレ
木綿売りの青年:アントニオ
お針子カルメリーナ:マリア・ピア・カジリオ
モデルのシジーナ:ソフィア・ローレン
作曲家ルイジーノ:ジャコモ・ロンディネッラ
マルゲリータ:イヴェット・ショオヴィレ
ドン・ラッファエーレ:フォルコ・ルリ
あらすじ:
ナポリの辻音楽師サルヴァトーレ・エスポジト(パオロ・ストッパ)一家が狂言廻しになって、この歌物語が展開される。
《ミケレンマ物語》
三百年前のナポリ。
青年ミケーレが男たちと船に乗組んで働きに行っている間にサラセン人がナポリを襲い、ミケーレの恋人アンジェラは辱めを受けた。
ミケーレが帰ってきたときアンジェラは崖から海に身を投げて自らの命を絶った。
《プルチネッラの物語》
プルチネッラ(レオニード・マシーン)は、ナポリの精神を体現する仮面劇役者。
出演中、彼はばったり倒れ、楽屋へ運ばれたが息絶えた。
しかし、プルチネッラの精神は、その仮面とともにいつまでも生きて行くであろう。
《惚れ薬の物語》
町の娘ブリジダ(マリア・フィオーレ)は木綿売りの青年(アントニオ)に片想い、怪しげな薬売りに惚れ薬のおまじないをしてもらっても効力はさらになく、青年がお針子カルメリーナ(マリア・ピア・カジリオ)にキスしたと聞いて、憤慨したブリジダはカルメリーナと大喧嘩をはじめる。
《シジーナの恋物語》
写真モデルのシジーナ(ソフィア・ローレン)には作曲家ルイジーノ(ジャコモ・ロンディネッラ)という恋人がいた。
だが、シジーナが舞台に出て有名になるにつれて二人の間は遠くなって行った。
第一次大戦が二人をまた結びつけたのも束の間の喜び、ルイジーノは戦死してしまった。
《マルゲリータの物語》
ある夜、マルゲリータ(イヴェット・ショオヴィレ)の家へ、彼女の恋人だった町のボス、ドン・ラッファエーレ(フォルコ・ルリ)が刑を終えて訪れる。
同じ頃、ならず者エンリクッチョも来た。
だが、彼女の部屋にはすでに船員のドン・アルマンドが来ていた。
三人の対決はドン・アルマンドの死をもたらす
マルゲリータはわが身の悲運に息絶えてしまった。
--かくて物語はフィナーレになる。
サルヴァトーレ家は、夜のとばりの落ちたナポリの道をトボトボと去って行く。
コメント:
本作は、エットーレ・ジャンニーニ監督、レオニード・マシーヌ、アキッレ・ミロ、アゴスティーノ・サルヴィエッティ主演のイタリアのコメディ映画である。
1954 年のカンヌ国際映画祭に出品され 、国際賞を受賞した。
2008年、この映画はイタリア文化遺産省による「保存すべきイタリア映画100本」のリストに選ばれた。
エットーレ・ジャンニーニが原作・脚色・監督に当たった色彩ミュージカル1954年作品。
この人は、ナポリ生まれのイタリアの脚本家、映画監督で、ネオレアリズモ、イタリア式コメディの映画作家として知られている。
5つのエピソードを通して、17世紀から現代までのナポリ300年の歴史を物語る。
趣向を凝らしたセットを背景に、虚構と現実をボーダーレスに行き交いながら,ナポリの歴史を紡ぐドラマ展開になっている。
色とりどりの衣装を身にまとったエキストラたちが、所狭しと歌い踊るエネルギッシュなモブシーンなど、要所に見どころはあって楽しめる。
なんといっても、ソフィア・ローレンの圧倒的な存在感が光る。
出演シーンは少ないながら、抜群のプロポーションで画面を艶やかに彩っている。
「フニクリ・フニクラ」や「サンタ・ルチア」といったお馴染みのナポリ民謡も心に残る。
この映画は、まさにイタリア民謡を世界に知らしめる作品となっている。
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