「青春の門 自立篇」
1982年1月23日公開。
「青春の門(1981)」の続編。
原作:五木寛之「青春の門」
脚本:高田宏治
監督:蔵原惟繕
キャスト:
- 伊吹 信介 - 佐藤浩市 - 早稲田大学入学を機に福岡から上京。自分がどういう人間か何に向いているのかを模索する。
- 牧 織江 - 杉田かおる - 好意を寄せる信介の後を追って上京する。しかし不慣れな都会暮らしに不運が続きトラブルに遭う。
- カオル - 桃井かおり - 娼婦。美人できっぷが良く姉御肌だが、ちょっと気難しい性格。周りで困り事があると手助けしようとする。
- 緒方 達也 - 風間杜夫 - 信介の大学先輩。大学の劇団に所属し演出を担当。やや強引な性格で金にだらしない。
- 河内 正和 - 平田満 - 信介の大学の同級生。緒方と同じ劇団に所属。
- 沢野 昌子 - 城戸真亜子 - 緒方の劇団仲間。比較的裕福な家の娘。緒方や他の学生たちと共に学生運動に参加している。
- 沢野 怜子 - 江月美穂 - 昌子の母。夫がいるのかは不明だが、緒方を用心棒代わりに自宅に間借りさせている。
- 笹崎 ルミ - 山本ゆり子
- 藤井 道子 - 矢場みどり
- 悦子 - 片桐夕子
- マリ - 高橋洋子
- 静子 - 橘麻紀
- 照代 - 緑魔子
- 「一竜」女将 - 馬渕晴子 - 売春宿の経営者。カオルたち遊女に頑張って稼いでもらう。
- 角田 卓治 - 火野正平 - 詳細は不明だが売春宿で働く。好意を寄せるカオルに気に入られようと色々と頼まれ事を聞いている。
- 初美 - 西川峰子 - カオルと同じ店の娼婦で、年上である彼女を慕っている。常連客の河内に本気で恋心を抱く。
- 浜崎 竜二 - 矢吹二朗 - ボクシングの学生チャンピオン。数ヶ月後、信介とボクシングで戦う。
- ラーメン屋店主 - 江幡高志 - 上京直後の織江の雇い主。ある時店の金が無くなってしまい織江が盗んだと疑う。
- 木元 良次 - 小林稔侍 - 飲み屋のマスターだが、2階に待機させた女性に売春させるガラの悪い男。織江とトラブルを起こす。
- 二木 英治 - 萬屋錦之介(特別出演) - 木元の知人。『人斬り英治』の異名を持つヤクザ風の男で木元も恐れる存在。
- おえい - 加賀まりこ - 英治の女。女郎として働く。これまで英治から義理人情を理由に苦労させられてきたが彼に惚れている。
- 早瀬 理子 - 中島ゆたか - 石井の恋人。東京女子医大のスポーツ医学の教授。石井の子を妊娠している。
- 石井 忠雄 - 渡瀬恒彦 - 大学の体育の実技を教える教授。ボクシングジムで、信介に個人的にボクシングを教え始める。
あらすじ:
生まれ故郷の筑豊を後にした伊吹信介(佐藤浩市)は、単身上京し早稲田大学に入学した。
立川基地拡張反対運動が盛り上がり、混沌とした世相の中、信介はコッペパンを噛じりながら、下宿捜しに奔走する毎日だった。
そんなある日、信介は緒方(風間杜夫)という演劇部の学生と知り合い、泥酔の末、下宿に案内され、その部屋を提供してもらうことになった。
しかし、翌朝、緒方の姿はなく、緒方は下宿代を半年分もためて、とっくにこの家を追い出されていた。
学生証を持っていかれた信介はアルバイトもできずに困っていたが、偶然、伊勢丹の側で兎を売っていた緒方を発見し、詰問したが緒方は悪びれるふうもなく、信介にそのバイトを押しつけてどこへともなく去ってしまう。
緒方は変な学生だった。
血を売った金で、信介を売春宿に誘った。
そこで会った美貌の娼婦・カオル(桃井かおり)は、数日前、信介から兎を買った女だった。
書斉には信介が読んだこともないような本がぎっしり並べられていた。
やがて信介は、ボクシング部に入り、講師の石井(渡瀬恒彦)の指導で本格的なトレーニングを始めた。
その頃、信介の幼なじみの織江(杉田かおる)は信介の後を追って上京し、ラーメン屋に住み込んで働いていたが、店の金を盗んだといわれカッとして店を飛び出してしまう。
途方に暮れる織江に、チンビラの卓治(火野正平)が甘い言葉をかけてきた。
その気になればいくらでも稼げると連れていかれた場所は、カオルのいる店だった。
卓治に犯されそうになった織江を助けたのはカオルだった。
カオルのはからいで、織江は女中としてその店で働く事になった。
その織江を久しぶりに信介が訪ねるが留守なので、カオルの部屋で休んでいると、急にカオルが胃ケイレンを起こした。
信介が背中をさすっていると、カオルが抱きついてきた。
折り悪しく、帰ってきた織江がその場を目撃して、行先きも告げず姿を消してしまう。
信介もカオルも必死で捜すが、その努力も空しかった。
そんなある日、卓治がやって来て、織江は池袋西口の青線じみたいかがわしい店で働いていることを告げる。
信介はカオルから五万円を受け取って織江を救い出しにいくが、おかみとバーテンは取りあわなかった。
信介はその場に居合わせた北池会の人斬り英治(萬屋錦之介)に完膚なきまでに叩きのめされたが、その英治のはからいで織江が帰ってきた。
その頃、石井と恋人の理子(中島ゆたか)は、子供を生む、生まないで揉めていた。
理子は信介に病院に一緒について来てくれと頼み、信介は同意した。
信介は、石井に理子が今日子供を堕ろしたことを報告し、石井の態度を激しくなじった。
その日から石井は人が変わったように酒びたりになり、新宿二丁目に顔を出すようになった。
どこか陰のある石井にカオルは好意を持った。
信介のまわりで暗い事件が続いた。
こともあろうに人斬り英治が殺され、石井とカオルが薬を呑んで自殺をはかった。
幸いにも二人は命をとりとめたが、信介にとっては、人の生きざま死にざまを見せつけられた思いがした。
信介は演劇部に入った。
そして、緒方たちと一緒に新たな人生を目指して北海道に旅立っていく――。
コメント:
菅原文太と松坂慶子が主演した「青春の門(1981)」の続編である。
佐藤浩市が主演で、信介が東京に出てきてからを演じている。
映画デビュー1年後で、もう主役だ。
萬屋錦之介にフルボッコにされるシーンはかわいそうだが、新旧の主役交代を感じさせる。
桃井かおりが頑張っている。
男優では任侠のヤクザを演じる萬屋錦之介の存在感が秀でていて、少ない出番ながら他の俳優を圧倒している。
時は昭和31年。早稲田大学に入学した信介(佐藤浩市)を追って織江(杉田かおる)が上京。
店の金を盗まれたことから売春宿で下働きをすることになる。
だが、信介が遊女(桃井かおり)と抱き合っているのを見てしまい、池袋西口の売春バーに身を売る。
織江を請け出しに来た信介がヤクザ(萬屋錦之助)と出会い、信介の義父には義理があると請け出しを肩代わりしてもらう。
この情婦を加賀まりこが演じている。
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