映画『ハリー・ポッター』(英: Harry Potter)は、J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズを原作とする英米の映画シリーズである。
ワーナー・ブラザース製作。
現在8作。
シリーズ累計の興行成績は、世界歴代3位の77億ドルとなっている。
まずは、第1作を詳細にレビューする。
「ハリー・ポッターと賢者の石」
(原題:Harry Potter And The Sorcerer's Stone(米)/ Harry Potter and the Philosopher's Stone(英))
2001年11月4日公開。
まずは、「ハリー・ポッター」シリーズ第1作。
興行収入:$1,022,290,019。
原作:J・K・ローリング
脚本:スティーブ・クローブス
監督:クリス・コロンバス
主なキャスト:
ハリー・ポッター:ダニエル・ラドクリフ
ロン・ウィーズリー:ルパート・グリント
ハーマイオニー・グレンジャー:エマ・ワトソン
ルビウス・ハグリッド:ロビー・コルトレーン
ヴォルデモート卿:リチャード・ブレマー
アルバス・ダンブルドア校長:リチャード・ハリス
セブルス・スネイプ:アラン・リックマン
クィリナス・クィレル:イアン・ハート
ネタバレ:
10年前に両親が亡くなったあと、ロンドン近郊のサレーに住むダーズリー家に引き取られていたハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)は、伯父バーノンと伯母(母親の姉)ペチュニアになかば虐待とも言える扱いを受け、その息子である同い年の従兄ダドリーにもいじめられる孤独な毎日を送っていた。
しかしハリーには、追いかけてくるダドリーから瞬間移動で逃げたり、蛇と会話してダドリーに襲わせたりといった、困ったことになると何かが起きるという、自分でも分からない不思議な力があった。
1991年。
11歳を目前にしたとき、ホグワーツ魔法魔術学校から「階段下の物置内」を自室とするハリー宛に入学許可証が届く。
しかし、バーノンはハリーに手紙を見せず、その後も毎日徐々に枚数を増やしながら送られてくる手紙を避けるために家から逃げ出してまで、ハリーの魔法学校入学を阻止しようとする。
しかし送り主は遠い逃亡先のホテルにさえも手紙を送ってくる。
そして、ようやく人里離れた海の上の小屋を見つけて逃げ込んだダーズリー一家のまえに、見知らぬ大男が現れる。
大男の名はルビウス・ハグリッド。
ホグワーツの森番をしているという。
ハグリッドは、ダーズリー夫妻がハリーにひた隠しにしていたハリーの本当の生い立ちを告げる。
交通事故で亡くなったと聞かされていた両親は、じつは高名な魔法使いであり、当時強大な勢力を有した史上最凶とも言われる闇の魔法使い・ヴォルデモート卿に殺害されていたのだった。
ヴォルデモートは生後間もないハリーも殺そうとしたが、なぜか魔法が自身にはね返ったことでハリーは生き延び、ヴォルデモートは肉体を失って逃げ去った。
ヴォルデモートと対峙しながら唯一逃げ延びたハリーは、魔法界で「生き残った男の子」として有名だったのだ。
翌日、入学に際して必要な教材を買い揃えるため、ハグリッドに連れられてダイアゴン横丁を訪れる。
そこで同じく今回ホグワーツに入学するという少年と出会うが、魔法界の名家の出であるらしく、ハグリッドを悪く言ったり純血主義を語ったりしたため、嫌いになりはじめる。
そうして準備を整えたハリーはハグリッドに渡されたチケットで後日「ホグワーツ特急」に乗り込み、そこでロン・ウィーズリー(ルパート・グリント)やハーマイオニー・グレンジャー(エマ・ワトソン)に出会う。
また、ダイアゴン横丁で出会った少年ドラコ・マルフォイとも再会し、そこでも嫌味ばかりを言うマルフォイを本格的に嫌いになる。
ホグワーツの入学式で「組分け帽子」による組(寮)分けが名前順に行われ、悪い噂が多いうえにマルフォイの入寮が決まった「スリザリン」だけは嫌だと願いながら、ハリーは組分け帽子をかぶる。
帽子は迷いながらもスリザリンを勧めるがハリーの意志を汲み、勇気ある者が住まう寮「グリフィンドール」に決まる。
入学式の挨拶でアルバス・ダンブルドア校長(リチャード・ハリス)は「禁じられた森」と4階の廊下へは立ち入らないよう、全校生徒に告げる。
同じグリフィンドール生となったロンは汽車での一件もあり、すぐに親友になる。
ロンは純血の魔法使いで、ハリーにいろいろな魔法界の習慣を教える。
一方、両親ともマグル(非魔法使い)であるが優等生の女の子・ハーマイオニーとは、彼女の規則に厳格でお節介ともいえる性格からそりがあわない。
しかしふたりはハロウィンの日にハーマイオニーを助けるためにトロールを倒す。
この日を境にハリーはハーマイオニーと和解し、のちのちまでこの三人は行動をともにするようになるのだ。
三人は、魔法薬学の教授であるセブルス・スネイプ(アラン・リックマン)が、禁じられた廊下に隠された「なにか」を盗もうとしていると疑う。
というのも、スネイプはハロウィンの日のトロール騒ぎのなかでひとりだけ4階に向かい、待ち受けていた三頭犬に足を噛まれていた。
そしてハーマイオニーによると、スネイプはハリーの初めてのクィディッチの試合で、呪文をかけてハリーを箒(ほうき)から落とそうとしたという。
だがハグリッドは、ダンブルドアの信頼を理由にスネイプを疑おうとしないうえに、「なにか」については何も話そうとしない。三人は図書館に足繁く通い、ハグリッドがうっかり漏らしたニコラス・フラメルのことを調べようとする。
クリスマス休暇に学校に残っていたハリーは、送り主不明のプレゼントを受け取る。
それは着ると目では見えなくなる「透明マント」で、ハリーの父ジェームズが所有していたものらしい。
ハリーはこれを着て深夜の図書館に行き、フラメルについて調べようとするが、魔法がかかっている禁書の棚の本を開いたために、学校の管理人アーガス・フィルチに見つかりそうになり、手近な教室へと逃げ込む。
そこには鏡があり、覗くとハリーの死んだ家族を映し出す。
これに魅了されたハリーは翌日ロンを誘って鏡を見せるが、ロンは将来の栄光に輝く自分自身を見る。
そして、三たび鏡を見に来たハリーはダンブルドアに遭遇する。
ダンブルドアはその鏡が人の心の奥底の望みを映す「みぞの鏡」であり、これに魅入られて発狂した者がいたことを説明し、もう鏡を探してはいけないとハリーに忠告する。
学期が再開され、三人はようやくフラメルがダンブルドアの友人で著名な錬金術師であることを突き止める。
唯一彼だけが所有するという「賢者の石」(どんな金属も黄金に変え、飲めば不老不死になる「命の水」を作り出す不思議な石)こそが、学校に隠され、スネイプに狙われているものだと確信する。
そしてハリーは深夜の校内で、スネイプが「闇の魔術に対する防衛術」の神経質な教師・クィリナス・クィレル(イアン・ハート)を脅しているところを目撃する。
クィレルは脅しに屈しなかったが、それも時間の問題に思われた。
三人からそれを聞かされたハグリッドは、スネイプがホグワーツの教授陣とともに守りの魔法を仕掛けたことから、スネイプへの疑いをなお否定する。
そして三人のもとに別の新たな問題を持ち込む。ホグズミードにある酒場「ホッグズ・ヘッド」で、見知らぬ男から入手した非合法のドラゴンの卵を孵し、家で隠して育てるというのだ。
案の定、生まれたドラゴン・ノーバートは素人の手に負えない大きさになり、苦境に陥る。
だが、ロンの兄でドラゴン研究者のチャーリー・ウィーズリーとその友人のおかげで、夜間にドラゴンをこっそり逃がすことに成功する。
しかし、その計画を盗み聞いていたマルフォイの密告によって、夜中に校内を出歩いているところをマルフォイもろともフィルチに捕まる。
罰則として、一同とともに禁じられた森でハグリッドの仕事を手伝うことになったハリーだが、森のなかでマントを着た正体不明のものに襲われる。
それは蘇りの効能があるというユニコーンの血を啜っていた。
ケンタウルスのフィレンツェに辛くも助けられたハリーは、自分を襲ったものがヴォルデモート卿で、失った肉体を取り戻すため学校に隠された賢者の石を狙っているとほのめかされる。
ヴォルデモートが石を手に入れることを三人は危惧する。
進級試験の最終日、ハグリッドが酒場でドラゴンの卵をくれた男に、賢者の石が隠された場所を守っている三頭犬のフラッフィーに対処する方法を教えたことを知る。
守りの秘密が完全に漏れたことを悟ったハリーたち三人は、副校長のミネルバ・マクゴナガル教授に危険を伝えようとするが、まともに取り合ってもらえず、さらにはダンブルドアが緊急に魔法省へ呼び出されて不在だということを聞く。
ダンブルドアが不在となるその夜を狙って、スネイプが賢者の石を盗みに入ることを三人は確信する。
彼らは内通者のあとを追って、ポモーナ・スプラウト教授の悪魔の罠、フィリウス・フリットウィック教授の空飛ぶ鍵などの仕掛けを突破しながら、石が隠された一室へと迫る。
ロンは途中、ミネルバ・マクゴナガル教授が仕掛けた巨大チェスと勇敢に戦うが、ハリーを勝利に導くために自分が犠牲になって気絶する。
一方、ハーマイオニーは、スネイプの罠である薬の論理パズルを解く。
ハリーはハーマイオニーに自分が賢者の石を盗もうとしている者のあとを追ったことをダンブルドアへ知らせるよう依頼し、ついに最後の部屋に辿り着く。
そこでハリーが見たのは、スネイプではなくクィレルだった。
じつはクィレルこそが、ヴォルデモート卿の内通者だった。
クィレルはターバンで隠した後頭部に、ヴォルデモートを憑依させていたのだ。
クィレルはなぜか部屋に設置されていた「みぞの鏡」から賢者の石をどうしても取り出せなかったが、ハリーが鏡を覗くと石は簡単にハリーのポケットに入る。
ヴォルデモートはクィレルにハリーを殺させて石を奪おうとするが、クィレルはハリーの体に触れただけで身体が焼けただれて死亡する。
ヴォルデモートは憑依した人間が死んだために、ふたたび体を持たないままの姿で消えていく。
ハリーが気がつくと医務室に横たわっており、ダンブルドアが見舞いに来ていた。彼は魔法省で偽の呼び出しに気づいてホグワーツに急いで戻り、ハリーを救い出したのである。
ダンブルドアは、フラメルと話し合って賢者の石を壊したことを語る。
ダンブルドアは、クィレルがハリーに触れられなかったのはハリーの母親であるリリーの守りの魔法のおかげであったこと、そして、クィディッチの試合でスネイプはハリーを殺そうとしたのではなく、むしろクィレルの呪文に抗してハリーを救おうとしていたことなどを語る。
ハリーだけが石を取り出すことに成功した理由は、「みぞの鏡」が賢者の石を使いたい者ではなく、見つけたい者の手に入るように仕組まれていたためであった。
学年度末パーティーでグリフィンドール寮は、寮対抗杯の駆け込みの点数として、ロンがホグワーツでもまれにみるチェスの名試合を制したことで50点、ハーマイオニーが薬の論理パズルを解いたことや友人の危機を救ったことで50点、ハリーが並外れた勇気と精神力を発揮したことで60点を与えられ、1位であるスリザリンと同位になる。
さらにはネビル・ロングボトムが、規則破りをする三人を止めようとしたことも勇気のいる行為と評価されて10点をもらい、グリフィンドールは寮杯を獲得する。
そして夏休みを迎え、生徒たちは帰りのホグワーツ特急に乗り込み、ハリーもダーズリー家に帰宅するのであった。
(クライマックスシーン)
コメント:
孤児の少年が魔法使いとして成長していく様を描くファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズの映画化第1作である。
1作目から10億ドルを超える興行収入となった。
魔法使いの世界を通して主人公ハリーが親友たちと助け合いながら、悪の魔法使いと戦い続け、「賢者の石」の由来を理解する。
ハリー・ポッターの魅力がどういうところにあるのかが分かる素晴らしい作品になっている。
監督のクリス・コロンバスは、米国の脚本家、映画監督として名高い。
ペンシルベニア州で生まれ、オハイオ州で育った。
イタリアとチェコ系の家系である。
オハイオ州ウォーレンのジョン・F・ケネディ・ハイスクールを卒業し、その後はニューヨーク大学で映画製作を学ぶ。
代表作は、脚本では『グレムリン』と『グーニーズ』、監督作品はあの大ヒットした『ホーム・アローン』シリーズ、『ミセス・ダウト』そして『ハリー・ポッター』シリーズの第1作~第3作である。
ハリー・ポッターをずっと演じ続けたダニエル・ラドクリフは、1989年生まれのイギリスの俳優。
ロンドン南西部のフラム出身。身長は165cmと低い。
父は北アイルランド出身、母はユダヤ系イギリス人であるが、特定の宗教にこだわらず自由な家庭環境であった。
オーストラリアを訪問中に、朝のテレビ番組『トゥデイ』に出演し、番組の司会者から「ずいぶん長い間『ハリー・ポッター』のダークな面と取り組んでいるけれども、君は信心深いの」と聞かれ、「そんなことはないです。母はユダヤ系、父はプロテスタント。宗教的に興味深い環境になっていますが、僕は全然信心深くない無神論者です」と回答した。
アメリカの映画俳優は、自分の血筋を公言することが通常ではないため、新聞紙で大スクープになった。
2012年7月22日に、南アフリカのCityPressに対し、「自分は(上記のほか)南アフリカ人、ポーランド人、ロシア人などの血が入っている」と告白、南アフリカとのつながりがあることを強調した。
母方の祖父が南アフリカ人であるが、「“世界で最も良い人”というようなタイプではなかったので、僕たちはほとんどこのことを話さない。祖父は基本的に祖母のことを大事にしない人だった。だから祖母は生まれて2週間の僕の母親を連れて、南アフリカから逃げた。母は南アフリカ航空で南アフリカから出国した赤ちゃんの中で、最年少だったそうだ。」と語っている。
また、米ニュースサイト「デイリー・ビースト」のインタビューでは、英国の王制に反対であることを明かしている。
とてもフランクな性格のようだ。
まだ34才の若手俳優であり、ハリーポッターシリーズ後も毎年のように映画に出演しているバリバリの現役である。
ハリー・ポッターの親友であり、ヒロインでもある美少女・ハーマイオニーを演じ続けたエマ・ワトソン。
この女優もイギリス国籍だ。
フランスのパリ市内マレ地区で、イギリス人の両親とも弁護士である母ジャクリーン・ルズビーと父クリス・ワトソンのもとに生まれた。
5歳まではパリ西郊のメゾン=ラフィットで育ったが、幼少期に両親が離婚したことで母親とイギリスのオックスフォードに移住した。
週末は父親の家があるロンドンで過ごした。
そのためフランス語は少しなら話せるという。
オックスフォードでは弟とドラゴン・スクールに入学した。
また、将来は女優になりたいと夢見ていたワトソンは、6歳からオックスフォードのステージコーチ・シアター・アーツ・スクールに通い、歌と演技とダンスを勉強した。
10歳までに、Arthur:The Young YearsやThe Happy Princeを含むさまざまなステージコーチの作品や学校での演劇をしたが、『ハリー・ポッター』シリーズの前にプロとして活動したことは一度もなかった。
ドラゴンスクールのあとは、オックスフォード近くのヘディントン・スクールに移った。
1999年、『ハリー・ポッターと賢者の石』のキャスティングが開始された。
キャスティングエージェントはオックスフォード演劇教師を通してワトソンを見つけ、プロデューサーは彼女の自信に感銘を受けた。
8回のオーディションのあと、プロデューサーのデヴィッド・ハイマンはハーマイオニー・グレンジャーになるワトソンと、共演者になるダニエル・ラドクリフとルパート・グリントに合格を伝えた。
この映画は、初日の売上高と初週末の売上記録を更新し、2001年の最高興行収益を記録した。
批評家たちは主人公3人組の演技を称賛し、ワトソンは特に高い評価を得て、デイリー・テレグラフは彼女の演技を「賞賛に値する」と言い、IGNは彼女が「ショーを盗んだ」と評した。ワトソンは5つの賞にノミネートされ、ヤング・アーティスト・アワードを受賞した。
翌年、シリーズ第2作『ハリー・ポッターと秘密の部屋』に出演し、主演俳優の演技はレビュアーから称賛を受けた。『ロサンゼルスタイムズ』紙はワトソンと仲間が映画の間で成熟したと記述したが、『タイムズ』紙は非常に人気があるハーマイオニーを「過少使用」しているとクリス・コロンバス監督を批判した。この演技でドイツの雑誌『ブラボー』からオットー賞を受賞した[14]。
2004年には『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』が公開された。
この映画はシリーズ全体で最低の興行収入を記録し、主演のラドクリフの演技は酷評された。
しかし、ワトソンの演技は称賛され、2つの賞を受賞した。
2005年に公開された『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』により、ワトソンと『ハリー・ポッター』シリーズは新たなマイルストーンを記録。
この映画は、『ハリー・ポッター』シリーズでの公開初週末とアメリカでの5月以外の公開初週末、イギリスでの公開初週末の記録を残した。
批評家たちはワトソンと彼女の10代の共演者の成熟を称賛した。ワトソンにとって、映画のユーモアの多くは、3人の主人公が成熟するにつれて緊張から生まれたという。
その年の後半、ティーンヴォーグの表紙に最年少で登場した。
2006年にはエリザベス2世の80歳の誕生日の記念イベントでショートムービーに出演した。
エマ・ワトソンは、まさにハリー・ポッターによって世界的な女優に成長したのである。
この映画は。Amazon Primeで動画配信中: